2017/04/14
[特別編:1] アクティブ・ラーニングの実践における高校現場の課題とは(座談会 前編) [2/4]
授業の目的を生徒にも明示していく
清水:アクティブ・ラーニングが十分に機能しないケースが多い背景には、教師自身の理解不足があるとも思います。先生方と話していると、アクティブ・ラーニングをいわゆる「型」と捉えている人もいるようです。机を向かい合わせて話し合わせていれば、協働的な学習だということではありません。場を盛り上げようとした教師だけがアクティブ(能動的)になり、活動が空回りした結果、生徒たちはしらけてしまう。そうした経験をしたために、「自分には生徒が主体となるような授業ができないのではないか」と、怖くなってしまったという教師もいると聞きます。
藤井:我が校では、一昨年からタブレット端末を活用したアクティブ・ラーニングに取り組んでいますが、実践が進むにつれて、様々な課題が見えてきました。
その1つは、生徒の思考が深めきれない場合があることです。例えば、ICT教育の事例として実践した理科の授業では、動画を用意し、プレゼンテーションソフトで資料を整理して、授業中は生徒一人ひとりがタブレット端末を使って活動を進めるという授業を展開しました。大変内容の充実した授業でしたが、実は情報量が多すぎて生徒はついていくのに精いっぱいだったのです。その結果、思考するゆとりがなく、受動的になってしまっていたことが、授業後の生徒の意見から分かりました。
その1つは、生徒の思考が深めきれない場合があることです。例えば、ICT教育の事例として実践した理科の授業では、動画を用意し、プレゼンテーションソフトで資料を整理して、授業中は生徒一人ひとりがタブレット端末を使って活動を進めるという授業を展開しました。大変内容の充実した授業でしたが、実は情報量が多すぎて生徒はついていくのに精いっぱいだったのです。その結果、思考するゆとりがなく、受動的になってしまっていたことが、授業後の生徒の意見から分かりました。
清水:「生徒の思考をここに行き着かせよう」と決めてしまい、教師が誘導的になってしまう授業は、本校でも見られます。必要な材料を次々と提示して、「ほら、こうなったでしょう」といった授業です。しかし、本来は生徒自身が調べたり考えたりすべきことを教師が示してしまっているわけですから、生徒は考えたような気になるだけで、結局、何も残らない状態になりかねません。
清水和弘先生
藤井:本校におけるアクティブ・ラーニングの実践はまだ始まったばかりで、今は教科ごとにどのように授業を充実させるかを手探りしているような段階です。個々の教師の取り組みが先行していますが、今後は学校全体で目的の共有化を図る必要がありそうです。
清水:まずはいったん立ち止まり、アクティブ・ラーニングを通して思考力や判断力、表現力をどのように伸ばすのか、見つめ直す必要があるのだと思います。その上で、生徒に対して授業の目的を明示していくことが大事になると思います。それをしないと、生徒は一生懸命話し合ったにもかかわらず、結局、何を学んだかが分からないということが起こり得ます。「なぜ、その活動をするのか」がきちんと生徒に伝わり、さらに評価を通して「何を学んだのか」が振り返ることができる。そのような授業を目指したいと考えています。