コンピュータサイエンス教育週間の2018年12月4日(火)に、埼玉県戸田市立戸田南小学校で、3年生を対象に担任の先生が「プログラミングステップゼロ」を使った授業を実施しました。
「コンピュータサイエンス教育週間」とは、米国の非営利団体「code.org」を中心に2013年から始まったコンピュータサイエンス教育の普及を目的とした活動で、期間中、1時間でもコンピュータサイエンスについて学校や課外活動で学んでみようという活動です。これまで180カ国以上で、約6.5億人が取り組み、2018年は全世界で約10万件のイベントが予定されています。
プログラミングステップゼロとは
「プログラミングステップゼロ」は、各教科等でのプログラミング教育を行う前にプログラミングの概念に触れ、動作に慣れるためのScratch アプリです。
通学路1から9まで段階的に思考を深められるようになっており、
- 通学路1~3では「順次」
- 通学路4~6では「繰り返し」
- 通学路7~9では「条件分岐」
に取り組むことができます。
家にいる女の子を登校させる
当日は、「おうちにいる女の子をとうこうさせよう」という目標が示されました。画面の簡単な説明の後、児童は通学路1を先生と一緒に取り組み、ブロックの順番が正しかったのかを確認しました。
直線の通学路なので、「前へすすむ」のブロックをいくつ並べるかがポイントです。中にはブロックの個数が足らずに、学校にたどり着いていない児童も見受けられました。適当に並べるのではなく、ゴール(学校)まで何マスあるから、「前へすすむ」のブロックの個数はいくつ必要ということを、プログラミングする前に計画することが必要です。
予想したとおりにゴールができたことを喜んでいる児童もいました。
「順次処理」から「繰り返し処理」へ
その後、児童が通学路2から6までを自分たちで工夫しながら取り組みました。
「順次」、「繰り返し」を理解すること、その思考をScratchでプログラミングし、思った通りに動くどうか確認すること、もし思った通りにいかなければどこが悪かったのか振り返ることで、探究的にScratchの学びを深めていきました。先生は随時児童の進捗を確認しながら、お互いに支援しあうよう、働きかけを行いました。
通学路4から6では、「繰り返し」のブロックを使うことが求められているのですが、「順次」の命令だけで考えている児童もいました。通学路のどこが「繰り返し」になっているのか、グループで話し合う時間をとってもよかったかもしれません。
「条件分岐」にチャレンジ!
本実践を行ったクラスでは既にScratchの授業を何回か実施しており、児童は比較的Scratchの扱い方に慣れていました。しかしながら「条件分岐」に取り組むのは初めてだったため、複数の児童が通学路6まで終わった段階で、先生から「条件分岐」についての説明を行いました。
その後、児童が自分で、「条件分岐」がテーマの通学路7から9に取り組み、数名の児童が、自分の作成したプログラムを共有しました。
キャラクターが同じ動きをしても、人によって使っているブロックの種類や量が異なることが確認できました。先生は、「同じ命令なら、ブロックが少ない方がいいよ」とコメントされていました。
日常の中にある様々な「条件分岐」
「条件分岐」をテーマとした通学路のプログラミング学習に取り組んだ後は、プリントを使って日常の中にある様々な「条件分岐」に気付くためのワークに取り組みました。
例えば、天気の条件によって、友達と遊ぶ内容が変わることや、横断歩道を渡る際の条件が信号機の色によって異なることなどを通して、Scratchで取り組んだ「条件分岐」が、身近な日常の中にあることを学びました。
やってみて、どうだったでしょうか?
児童からは「いつもより難しかった」、「使ったことのないプログラムで楽しかった」、「指示の積み重なりが大きなプログラムになることが面白かった」といった感想が出ました。
インターネット環境があれば、手軽に取り組める教材ですので、ぜひプログラミング教育にお役立てください。そして、実践を予定している場合や、既に実践を行いその内容の掲載が可能な場合はぜひ弊社までご連絡いただければ幸いです。
実践事例の紹介はお願いします。