まとめ方のコツ 04
すごい!おもしろい!
みんなの
自由研究作品
どんな風にまとめているかな?
おもしろい自由研究にするには、テーマ選びに加え、まとめ方もポイント。用紙選びから、写真の撮り方、文字の大きさや色、項目、演出など、考えることがたくさんあります。見た人が「おもしろい」と感じられるよう、工夫していきたいですね。実際に子どもたちが作った作品の中からヒントになるものを探してみましょう。いろいろな賞の受賞作品もたくさん紹介しています。
みんなのおもしろい自由研究作品を学年別に紹介
本や図鑑のような小学校低学年の作品から、完成度の高い中学生の研究論文、いろいろな賞の受賞作品、商品開発のきっかけになったという研究まで、学年別の作品をご紹介!
小学校低学年
低学年の自由研究は、大人の常識にとらわれないダイナミックなテーマ選びや構成が魅力。写真やカラフルなイラストで視覚に訴えたり、わかったことに加えて自分ならではの感想も書いたりと遊び心のあるまとめ方ができると、読み手が「おもしろい」と思うものに仕上げられます。
『トリケラトプスのか石』
北海道・小学1年生・リュウノスケさん
まとめた用紙:B5の画用紙を製本
大好きな恐竜の研究。化石キットで実際に発掘した様子や、北海道で発掘された化石の紹介などを本のようにまとめました。「写真を撮る角度や見出しの大きさ、大きな恐竜の写真は別の紙に印刷して貼りつけるなど、見やすさを考えたのがポイントです」
『ぼくが食べてきた昆虫食』
大阪府・小学2年生・YOSIN学院二宮大翔さん
出典:https://www.instagram.com/p/CNKFKuJn81I/
まとめた用紙:B4用紙を半分に折りホッチキスで止め、B5サイズの冊子に
大阪のアート&探求学習教室で取り組んできた昆虫食研究をまとめた作品。それぞれの昆虫を食べた感想を★マークで表すなど、視覚的な分かりやすさを配慮。「絵もカラフルにしたり、できるだけ本物に近くなるように描きました。バーコードを書いたら売ってる本物の本みたいになって、おもしろそうやなーと思いつきました」
事例から学ぶ!
おもしろくまとめるアイデア
本のようにまとめて製本する
写真やイラストを多く使い、インパクトを大きくする
自分の感想を視覚的にもわかりやすく伝える(星の数、顔マークなど)
小学校中学年
同じ写真や絵でも、それに合わせる文字の大きさや文章の長さで見え方は変わります。分かりやすさはもちろん、見た人にインパクトを与えるにはどうしたらいいか、考えてみましょう。
「第74回有田地方科学作品展」金賞
『カメレオンのレオン』
和歌山県・小学3年生・まぁとんさん
まとめた用紙:学校指定の四つ切り画用紙
飼育しているカメレオンの観察日記。見出し目立たせることで人の興味を引くようにしたほか、写真の大きさを揃え、余計なことをダラダラと書かずに短文にしてわかりやすくしました。「カメレオンの舌を出した瞬間の写真を撮るのが難しかったです」
事例から学ぶ!
おもしろくまとめるアイデア
写真の大きさや向きを揃え、見やすくする
無駄を省いて、端的な文章でまとめる
インパクトのある写真を使う
高さや場所、時間ごとの違いがひと目でわかるように、イラストや実物写真と観察した内容をまとめる
小学校高学年
情報量がさらに増えてくる高学年。文章が長くても読みやすい構成や、実験データを表にするなど「どうしたらこの情報が伝わるのか」を考えることが重要です。
『第12回「わたしとみんてつ」小学生新聞コンクール』金賞
・全国小学校社会科研協議会会長賞
『くらしを支える災害時の
鉄道の復旧』
(滋賀県・小学校6年・野嶋晏和さん)
まとめた用紙:マス目入りのB4用紙
鉄道会社への取材を新聞に。文字色や背景色を変えることで、字が多くても読みやすくなっています。「“自分が何を伝えたいのか”という目的を明確にし、事前に調べて知識を得てからインタビューを行いました。もともと新聞作りが好きなので、まとめる作業は苦ではありませんでした」
『紙漉実験Ⅱ』
(福井県・小学5年生・五十嵐優翔さん)
出典:https://www.instagram.com/p/CNKFKuJn81I/
まとめたアイテム:B4サイズの和紙を製本
野菜や果物など28種類もの植物から繊維を取り出し、どんな紙になるか実験。実際にできたものを貼り付けました。「小4から中2まで続けました。この研究がきっかけで『Food Paper』という商品ができたのも嬉しかったです」
事例から学ぶ!
おもしろくまとめるアイデア
新聞のようにまとめる
文字量が多い場合も、文字色や文字の大きさ、背景色の使い方を工夫して読みやすくまとめる
何かを作ったり、取り出したりした研究の場合は、写真だけでなく、実際の成果物を貼り付ける。
中学生
中学ではテーマの種類が多岐にわたり、研究も深くなります。それぞれに最適なまとめ方を選ぶとともに、文章の起承転結に気を配るなど、すべてを読みきってもらえる工夫も必要です。
塩野直道記念 第8回「算数・数学の自由研究」
作品コンクール最優秀賞・文部科学大臣賞
『COVID-19 の感染拡大に
数理シミュレーションで挑む!』
(岡山県・中学3年生・佐野文音さん)
まとめた用紙:PCでの実験をA4のレポート用紙にまとめた
新型コロナウイルスの感染拡大と収束の様子をシュミレーションするプログラムを自ら作成し、その実験をまとめたレポート。「接触によって感染していく様子がまるで鬼ごっこのようだったので、以前作った鬼ごっこのようなゲームを土台に作成しました。条件(パラメーター)を変化させて感染の様子がどうなるのかを調べましたが、時間が足りなく少ないデータから考察するのに苦労しました」
第30回「私たちの身のまわりの環境地図作品展」
優良賞
『文京区坂道探検』
(東京都・中学1年生・坂本陽香さん)
出典:https://www.atomi.ac.jp/jh/activity/detail/3690/
まとめた用紙:四六判模造紙
第30回「私たちの身のまわりの環境地図作品展」への応募作品。自分の住む地域の坂道の由来をまとめました。「調べた坂道を見やすく紹介するために、地図内の坂道につけた番号と地図外の説明文を同じ色で書くなどしました」
事例から学ぶ!
おもしろくまとめるアイデア
見やすい表やグラフを作成する
結果だけでなく、感想や考察も詳しくまとめる
難しい内容をわかりやすく伝える工夫をする(ゲームにたとえて説明など)
ビジュアルと解説の対応をわかりやすくまとめる(番号、色の統一など)
書籍化された自由研究作品
近年、子どもたちの自由研究が話題になり、書籍化された作品も。視点やまとめ方など、多くの人が「面白い」と感じるポイントなど、参考になるはず。
『文房具図鑑 その文具の
いい所から悪い所まで最強解説』
(山本健太郎:著/いろは出版)
文房具マニアの小学6年生が1年間かけて制作した自由研究が話題となり書籍化。実物大で描かれたイラストのクオリティもさることながら、するどい感想や詳しい解説にはメーカー担当者も脱帽。
『文部科学大臣賞を受賞した小学1年生のすごい自由研究 「セミをさがしたなつやすみ」』
(吉川蒼都:著/KADOKAWA)
セミの幼虫をもらったことをきっかけに、小学1年生が取り組んだ自由研究をまとめた書籍。観察日記だけでなく、「全国児童才能開発コンテスト」審査委員長の総評、家族の作品や想いなども掲載されており、自由研究対策本としても参考にできる一冊。
まとめ
自由研究まとめ方のコツ ヒント集