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オンライン授業とは?メリットと導入に向けて準備すべきこと
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2020年4月のコロナによる緊急事態宣言から、子どもたちの学びの場がオンラインになることも増えてきました。こうした新しい学びのスタイルに対して保護者はどのように対応すればよいのでしょうか。この記事ではオンライン授業のメリット・デメリット、オンライン授業の課題、オンライン授業の活用事例について説明します。
この記事の目次
オンライン授業とは
そもそもオンライン授業とはどのようなものでしょうか。オンライン授業とは、インターネットを介して授業を行うことを指します。子どもたちはパソコンやタブレット、スマホを使って授業を受けます。教室に集まって授業を受ける必要がないため、自宅での受講も可能です。課題の提出や質問の受付はメールなどで行っています。
オンライン授業の種類
オンライン授業には大きく分けてふたつのタイプがあります。それはライブ配信とオンデマンドです。
ライブ配信
ライブ配信は先生が教室または自宅から授業を配信し、子どもたちは自宅で受講します。ライブ配信なので、リアルタイムでのやり取りが可能です。また従来から行われていたリアルな授業に近い形での授業スタイルになります。
オンデマンド
オンデマンドは、先生があらかじめ用意した動画や資料を、生徒側が好きな時間に見て学ぶ形式です。そのため、子どもたちのスケジュールに合わせて視聴することが可能です。
ライブ授業・オンデマンド・リアル授業の比較-メリット・デメリット
オンライン授業にはライブ配信やオンデマンドがありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。教室で実際に対面して行われるリアルな授業も同じです。ここではライブ授業、オンデマンド、リアル授業(対面で行われる従来の授業)のメリット・デメリットをあげて比較します。
ライブ授業
ライブ授業のメリットは、先生と子どもたちがリアルタイムでやり取りできることです。そのためリアルな授業と近い形で授業ができます。先生と子どもたちがその場でやり取りできるため、問題もその場で解決できます。
また今まで距離が遠くて通えなかった教室でも、オンライン授業であれば受講することが可能です。日本全国の素晴らしい授業が、対面授業に近い形で、自宅でも受講できるのは大きなメリットでしょう。他にもインフルエンザが流行した場合、これまでは学級閉鎖や休校措置しか取れず、元気な生徒の学習機会が減ってしまっていました。しかしライブ授業であれば、オンライン上で授業を行うことができ、元気な生徒は自宅で授業を受けることができます。
一方ライブ授業のデメリットは、安定して配信できるインターネット環境が必要だということです。ライブ授業の参加人数が多い場合は、より強固な通信環境が求められます。また受信側も通信環境をしっかり整えておかなければ、うまく授業を受信できないことがあります。せっかく授業に参加したのに、音声や映像が途切れてしまうこともあるわけです。
オンデマンド
オンデマンドのメリットは、あらかじめ資料や授業動画が用意されているため、子どもたちの好きな時間に勉強できることです。また理解できなければ何度でも学習できるので、理解が追いつきやすいと言えるでしょう。
一方オンデマンドのデメリットは、しっかり受講しているかどうかの確認手段を授業の配信側が用意しなければならないことです。いつでも受講していいとなると、結局最後まで受講しないこともありえます。
そのためいつ受講するのか、スケジュール管理をしっかりしなければならないでしょう。とくに小学校低学年の場合、保護者の方がスケジュール管理をする必要があります。
また動画だけを見て学習するのは、子どもたちにとって辛い場合もあります。先生や友達とのやり取りが必要な子もいるので、そうした点はデメリットと言えます。
リアル授業
従来の対面式のリアル授業のメリットは、授業をちゃんと聞いているかどうか、先生が確認しやすいことです。実際にノートをしっかりとっているかどうかは、教室で行う対面の授業であれば、子どもたちのノートを見ればすぐに確認できます。
また、子どもたちも友達と会って一緒に勉強することが可能になるため、楽しく勉強できる点もメリットのひとつです。
一方、リアルな授業のデメリットは、教室に集まらなければいけないことです。そのため授業時間だけでなく通学の時間も必要です。小学校低学年で塾や習い事に通っている場合は、保護者の方が送り迎えをするケースも多く、保護者にとってはそれだけ負担になります。
また、教室に長時間密集することが伝染病の感染リスクとなることもデメリットのひとつと言えるでしょう。
ライブ授業、オンデマンド、リアル授業のメリットとデメリットを述べてきましたが、まとめると以下のようになります。それぞれメリット、デメリットを把握した上で、授業方法として活用していく必要があるでしょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ライブ授業 | ・リアル授業に近い形での実施が可能 ・先生と子どもたちがその場でやり取りできる |
・配信者も受信者も安定したネット環境が必要 |
オンデマンド | ・時間の融通が利く ・ネット環境の影響が少ない |
・受講したかどうかの確認が必要 ・保護者のスケジュール管理が必要 |
リアル授業 | ・先生が子どもたちの学習状況を確認しやすい ・友達と一緒に勉強できる |
・集まる場所が必要 ・送り迎えの時間など拘束される時間が多い |
オンライン授業を実現するためのツール
オンライン授業を実現するためのツールとしては、以下の5つが考えられます。すべて必須なツールというわけではありません。ひとつずつ見ていきましょう。
パソコン・タブレット
パソコンとタブレットは、配信する側も受信する側も必要です。とくに配信する側は授業のための資料提示をすることも多いので、パソコンを利用した方がよいです。受信側はタブレットでも問題ありません。もちろんスマホでも受信できますが、画面が小さいので画面上で資料を見る際には不便な場合が多いです。
ICTツール
オンライン授業を実施するためには配信側も受診側もICTツールが必要です。とくにライブ配信をする場合、ZOOMなどの動画配信ツールをパソコンやタブレットにダウンロードしておく必要あります。
カメラ
ライブ配信で授業を受ける際に、自分の顔が見えるようにするにはカメラが必要です。パソコンもタブレットもカメラが搭載されているものが多いので、カメラがついている場合は受信側として特に準備する必要はありません。配信者の方で、配信の画質が気になる人は、別途カメラを購入して配信する人もいます。
マイク/ヘッドセット
マイクやヘッドセットがなくてもオンライン授業は配信および受講可能ですが、マイクやヘッドセットを使用した方が相手に声が伝わりやすく、音声が聞き取りやすいです。また、ヘッドセットをワイヤレス(Bluetooth)で繋げておけば、パソコンから少し離れていてもコミュニケーションが取れるというメリットもあります。
充電保管庫
充電保管庫は、多くの生徒がオンライン授業を受講する際に、学校側や塾側でタブレットを大量に充電するために必要な物です。自宅でオンライン授業を受講する場合にはとくに必要ありません。
オンライン授業の課題点
オンライン授業の課題としては以下の3つが考えられます。
通信環境と設備の問題
ライブ配信でオンライン授業を受講する場合、通信環境の問題で上手く受講できない場合も多いです。またパソコンやタブレットを持っていない人もいるでしょう。そのためパソコンや通信環境がないご家庭に対して、ノートパソコンやポケットWi-Fiを貸し出すなどの対策を講じた大学もあります。
保護者の関わり方
小学校低学年の場合、保護者の方が一緒にいないと、パソコンやタブレットの操作の仕方がわからないことも多いです。他にもパソコンが保護者の物である場合、子どもが使ってもいいように設定をする必要があります。また保護者の方がそばにいることで、先生ではなく近くにいる保護者の方に質問する子どももいます。その場合、「先生に聞いてみて」など先生への質問を促す必要があります。
友達と学べない
オンライン授業は基本的に1人で受講します。友達と一緒に授業が受けられず孤独を感じる学生たちもいます。そうした学生たちのためのサポートも必要です。
教育現場のオンライン活用事例
教育現場では次のようにオンラインを活用しています。
学校教育
小・中・高でオンライン授業は少数ではありますが、実施しているところもあります。たとえばコロナによる休校期間中、熊本市は全公立小中学校でライブ授業を実施しました。熊本市がライブ授業を実施できたのは、熊本での震災後、学校のICT化を推し進めていたからです。研修もコロナ前に、すべての小学校の先生が終えていました。こうした準備の差が自治体ごとに出ていると言えます。他にも一部の学校では朝の会をオンラインで実施する試みが行われました。
文部科学省からオンライン授業を実施すべきだという発表が出されましたが、各学校で独自のオンライン授業を行うには設備も十分でなく、難しいのが現状です。今後1人1台のPCとネットワーク環境を用意するGIGAスクール構想が始まります。今まで2023年度までに1人1台のタブレットを配布する予定でしたが、前倒しされて、2020年度から配布を始めることになりました。それに合わせて通信環境も改善されるでしょう。
学習塾・予備校
学習塾や予備校では、オンデマンドのオンライン授業はこれまでも実施されていました。有名講師が登場する授業動画を見て勉強する方法です。
現在、ライブ授業も実施されていますが、コロナの影響もありリアル授業を補完する形で行われています。
大学・大学院
コロナの影響もあり、リアルな授業の代わりにオンライン授業が行われています。ライブ授業で行われる授業もあれば、オンデマンドの授業もあり、先生や大学によってそれぞれ違いがある状況です。
社員教育
一斉に集まっての社員研修が難しいため、オンデマンドで各自研修を受けるスタイルが主流になっています。実際にしっかりと研修を受けたかどうかのチェック(進捗管理)をするシステムも使われています。また今後は対面とオンラインを組み合わせる研修を行う会社が増えそうです。
社会人学習
社会人学習ではプログラミングをはじめ、オンライン授業が増えてきています。プログラミングでは各自、オンデマンドで学習をして、分からないところを指導者に聞く形の授業もあります。時間が限られる社会人は、このように時間調整ができる学習方法のニーズがあるでしょう。
まとめ
オンライン授業は新しい学び方として、今後も広がっていくのは間違いありません。しかしリアル授業が無くなるということではありませんので、リアル授業とオンライン授業の良い面をうまく組み合わせながら、学んでいく必要があるでしょう。