冬は家族の健康管理にいっそう気をつかう季節。
子どものいる家庭では特に感染症や予防接種の話題もいろいろ気になります。
今月は、そんな冬の病気に関する情報を特集!
今、気になることをまとめてご紹介します。
とはいえ、どんな病気も一番の予防法は正しい生活習慣ですね。
よく寝て、よく食べ、運動もして、元気に楽しく過ごしましょう!
2011年12月26日更新
※2014年10月時点での情報です。(監修:小児科医 二瓶健次先生)
冬はどんな病気が流行するの?
子どものいる家庭で気をつけたい冬の病気。症状などの特徴をまとめてご紹介します。
ノロウイルス・ロタウイルス
主な症状:発熱、嘔吐、下痢、脱水、けいれんなど
(下痢は水のような状態で回数が多く、ロタウイルスでは白っぽい便が出ることもあります)
インフルエンザ
主な症状:高熱、頭痛、重症化するとけいれん、意識障害など
(幼児では不機嫌で元気がないなどが病気のサインになります)
RSウイルス
主な症状:発熱、咳、ぜん鳴(ゼーゼーと音がする呼吸)、顔色不良、不機嫌、呼吸困難など
★ 冬の感染症ですが2011年は夏にも流行。繰り返しかかることもあるので冬も引き続き注意して気になる症状が見られたら早めに受診を。
★ 未熟児、心臓疾患、その他重篤な基礎疾患がある乳児にはRSウイルス感染を予防する「シナジス」の投与が適応となります。これはワクチンではなく、高濃度の抗体が含まれる「γグロブリン」です。
感冒(風邪)
主な症状:咳、鼻水、くしゃみ、発熱、のどの痛みなど
★風邪は悪化すると肺炎(発熱、咳、ぜん鳴、呼吸困難など)や中耳炎(発熱、不機嫌、耳を痛がる、耳だれ、耳の聞こえが悪い、長く続く咳、原因のわからない発熱など)を起こすこともあるので早めの受診が大切。
百日咳
主な症状:咳(特に夜間の乾いた感じで連続する咳、長く続く咳)、呼吸困難、発熱など
マイコプラズマ肺炎
主な症状:発熱、長く続く咳など
★今冬は例年以上に流行しています。症状が風邪に似ているので最初の受診では気づかない場合も。咳が続くときは再受診を。
- ・熱の経過(朝・昼・夕・寝る前にチェック)
- ・熱以外の症状
呼吸の音や状態・咳の様子やひどくなる時間帯・嘔吐や下痢の状態(便の状態・回数)・尿の有無・どこか痛がるか・けいれんの有無や意識の状態 - ・前の日に食べた物(家族特にきょうだい)
- ・園・近所・家庭での感染症の流行状況(家族特にきょうだい)
- ・これまでに受けた予防接種の種類と回数(母子健康手帳を持参しましょう)
うがい・手洗い
外出先から帰ってきたら、うがい・手洗いを習慣に。まずは大人が見本を見せて。うがいができない小さいお子さまは、水分補給で口の中をうるおすことでも細菌やウイルスの繁殖を抑える効果があります。
タオルの共有を避ける
手についた見えない細菌やウイルスにタオルから感染してしまうことがあります。小さなお子さまでも、できるだけタオルは別々に。まめに取り替えて清潔にしておくことも大切です。
オムツの処理時の注意
下痢や病気のとき、また病気の症状が治まったあともしばらくは細菌やウイルスが便に出ているので、使用後のオムツはしっかり密封して捨てましょう。オムツ替え後は手洗いもしっかりと。
便や嘔吐が付着したものの消毒には、加熱あるいは0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(子どもの手の届かないところに置いておく)で、処理することが推奨されています。
人ごみを避ける
インフルエンザや、そのほかの感染症の流行状況によっては、外出の日程や内容を見直すことも必要です。感染症の流行時期には、できるだけ人ごみを避け、ゆっくり過ごすようにしましょう。
今気になる予防接種のこと
子育てファミリーからの予防接種に関する気がかりや疑問におこたえします!
回答:二瓶健次先生(小児科医・子育てインフォ「子どもの病気・トラブル」総合監修)
Q: 生ワクチンを服用した(接種したとき)の注意点が知りたい!
先生の回答: 接種後1カ月くらいは、ウイルスが便に出ています。
家族に感染しないように、オムツ替えのあとは必ず手を洗って。オムツはビニール袋に入れて密封処理。この期間は使い捨てできる紙オムツの方がいいでしょう。
また、極めてまれにポリオウイルス感染が見られることがあるので、四肢のまひなど気になる様子が見られたらすぐに受診しましょう。
Q: ワクチンの効果はどのくらいの期間続く?
先生の回答: 現在のワクチンの効果は約半年とされていますので、秋に接種したワクチンの効果は、春までもつと考えてよいでしょう。ワクチンを接種していても感染する可能性はありますが、比較的軽く済みます。
Q: 遅れても接種した方がいい?
先生の回答: まだインフルエンザにかかっていなくて、接種してくれる病院や施設があれば接種をおすすめします。ただし、抗体ができて予防効果があらわれるまでに3~4週間かかるので、その期間をふくめて検討を。
Q: 季節性のものと定期接種の優先順位はどう考える?
先生の回答: インフルエンザは冬には必ず流行するので、流行前に接種する予定を立てましょう。そのほかの任意接種も流行し始めてからでは間に合わない場合も多いので、あらかじめ定期接種とともにスケジュールに組み込んでおくといいでしょう。
ただ、個々の体質や環境によって優先順位は変わります。かかりつけ医で相談してみてください。
Q: 予防接種よりも実際にかかった方がいいって本当?
先生の回答: 実際に感染した方が免疫効果は強くなりますが、症状が重くなりますし合併症の危険もあります。
一方、ワクチンの接種では、副作用(副反応)の出る確率は極めて低くなる半面、抗体は多少弱く、自然に減少していくので時間の経過により感染することがあります。
ただ、予防接種は個人の感染予防だけでなく、多くの人が受けることで流行を抑える効果も期待されます。それは、予防接種を受ける前の乳児への感染予防にもつながっています。
Q: 接種時の注意は?
先生の回答: 接種のときに子どもが泣いて暴れたり急に動いたりすると、針が途中で抜けて液が十分入らないことや、逆に針が深く入りすぎてしまうことがあります。
子どもを抱いたおうちのかたや補助のかたが、体と腕をしっかり押さえておくことが重要です。
Q: 同時接種で効果が弱まったり、リスクが高まったりすることは?
先生の回答: 同時接種でそれぞれのワクチンの効果が弱まったり、副反応のリスクが高まったりするとは考えられていません。
同時接種してはいけない組み合わせというのも特にないと言われています。
Q: 副反応が心配!
先生の回答: 出やすい副反応がわかっているワクチンも多いので、接種前に確認しておくと安心。とはいえ、重い副反応が出ることはごくまれです。以下のことを頭に入れ、あとはあまり心配しすぎないようにしましょう。
★強い反応(即時型アレルギー)が出ることが多いのは接種後30分以内。その間は、接種した施設内にいるといいでしょう。卵のアレルギーなどがある場合は、あらかじめ報告しておきましょう。
★1~2週間くらいして熱がでたり、痙攣や意識が障害されたりすることもあります(遅延型アレルギー)。
気になる症状がみられたら、まず受診を。
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予防接種の現状とこれから
ニュースなどで話題になった、近年変動のあったワクチンについて、現状をまとめました。
日本脳炎の接種が再開
2009年まで使われていたワクチンは接種後に重篤な副作用が発生したため、国が積極的に接種を勧奨する(すすめる)ことを控えていました。その後、より安全性の高い新しいワクチンが導入され、2010年には1期のみ、2011年からは2期についても新ワクチンの接種に切り替わりました。
現在は、これまで接種を控えていた子どもについても新ワクチンでの接種がすすめられています。
インフルエンザワクチン
6カ月の赤ちゃんから接種が可能になり、12歳までの乳幼児、児童は1回に接種するワクチンの量が増えます(接種回数は2回)。このため、予防効果が増して有効期間も長くなることが期待されています。
ロタウイルスのワクチンが接種開始
2011年11月、冬に流行するロタウイルスによる嘔吐・下痢を予防するためのワクチンが接種可能になりました。ただし、接種可能な期間が生後6週から24週までと限られています。生後2カ月から1回目から接種可能で、4週間以上の間隔で2回目が推奨されています(※)。費用は2回で約3万円程度。
市民団体などから定期接種に組み込むための要望書が提出されています。
(※)腸重積症との因果関係が明らかでないため、腸重積症の起こりにくい時期のみの接種とされている。