2017/10/16

「英語4技能育成を考える」② -スピーキング力を伸ばしている学校はどんな学校か?-

グローバル教育研究室 室長
加藤由美子
次期学習指導要領では、これまでの学習指導要領以上に、英語4技能の力を総合的に育成することを目指しています。大学入試でも英語4技能の力を測定するための準備が進められており、すでに一部の大学入試では4技能測定が導入されています。文部科学省が英語力を調査した結果(*1)では、高校生の英語力の現状として、4技能がバランス良く育成されていないこと、「話すこと」・「書くこと」における課題が大きいことなどが指摘されています。
「あんなに勉強したのに英語が話せない。」「英語が話せたらなあ。」という言葉は日本人の間でよく聞かれます。ベネッセ教育総合研究所が中高生を対象に実施した調査(*2)の中でも、英語に関する意識において、「英語が話せたらかっこいい」は、「英語のテストでいい点を取りたい」に次いで「とてもそう思う+まあそう思う」で上位に位置しました。英語4技能の中でも「話すこと」には多くの人が苦手意識とともに憧れの気持ちをもっているようです。
では、英語を話す力はどのように伸ばせばよいのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所では根岸雅史先生(東京外国語大学)ご指導のもと、2016年度の「英語力を伸ばしている学校」の研究に続き、2017年度は「スピーキング力を伸ばしている学校」の研究を行っています。この調査研究では、GTECスピーキングテストを学校単位で受検した高校の1年次から2年次のスコアの伸びを比較し、スコアの伸びの著しかった学校の英語教育の在り方について、資料やインタビュー結果から分析を進めています。
その研究の中間報告を8月19日に島根大学で行われた全国英語教育学会で発表しました。発表内容は、スピーキングスコアの伸びの実態、出発点(1年次のスコア)による伸びの違い、スピーキングスコアが伸びている学校の特徴、スコアの伸びと授業時間数の関係についてです。当日は、学会初日の午前中という時間帯にもかかわらず、たくさんの先生方にお集まりいただき、スピーキング力向上への関心の高さがうかがえました。その学会での発表資料を、ARCLE WEBサイトに公開いたしました。スピーキング力を伸ばしている代表的な学校の4技能の伸びや授業内容についても紹介していますので、ぜひご参照ください。
また、筆者が参加しました“一期一会の小さな学校”「あスコラ」第4回も併せてご一読いただけましたら幸いです。その中でも「スピーキング力を伸ばしている学校」の研究の中間報告結果について紹介しています。