システムエンジニアに関する4つの現状 仕事内容と必要なスキルや適性を解説

システムエンジニアの活躍の場は広がり続けるといわれています。どうすればエンジニアになれるのか、どのような仕事をするのか疑問に思う人もいるでしょう。この記事ではシステムエンジニアの現状や分野、必要なスキルを解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

この記事のポイント

システムエンジニアとは

システムエンジニアとは、Webサイトを設計したりネット上のデータのやり取りを安全・快適におこなうための基盤システムを開発したりする仕事です。ほかにも、企業から依頼された情報管理のためのシステムを作ったり、家電製品を離れた場所から操作できる仕組みを作ったりもします。 システムエンジニアは分野によって必要な技術や使う機材が変わり、技術が進化するたびに知識を習得し続けていかなければなりません。新しいことにどんどんチャレンジしていく気持ちが必要な仕事といえるでしょう。

システムエンジニアに関する4つの現状

システムエンジニアに関する現状や、今後の将来性はどのようなものなのかについて紹介します。ここからは、システムエンジニアがどのような場で必要とされているか、どのように仕事をしているのか、システムエンジニアに関する4つの現状を紹介します。

【1】システムエンジニアの需要

IT需要は今後も伸び続けると予測されていることから、システムエンジニアの需要も常に高い水準にあるといえるでしょう。その一方で、これまでの技術に加えてデータサイエンス(データから有意義な情報を引き出す研究分野)や、AI・人工知能などの最先端の技術も続々と開発されています。 システエンジニアは需要の高い仕事ですが、新技術に関わる仕事をするには、働きながら学び続ける必要があるでしょう。

【2】システムエンジニアの仕事形態

システムエンジニアの仕事は情報保護やコンプライアンス(社会的規範・社内のルールを守ること)の関係で、社内での業務が一般的です。施設の中にシステムを作る仕事もあるため、出張などが多い分野もあるでしょう。 勤務先はWeb開発会社やシステム開発会社、コンピューターメーカーなどで、東京・大阪・名古屋などの大きな都市部に集中していることがほとんどでしょう。 通常は日中の業務がほとんどですが、忙しい時期は残業や休日出勤、夜勤で働くこともあるといわれています。

【3】システムエンジニアの平均年収

システムエンジニアの平均年収は、約500万円~700万円といわれています。開発する分野によって平均収入に差があり、比較的高いのは基盤システムを設計・開発するインフラエンジニア・基盤システムエンジニアと呼ばれる仕事です。

【4】システムエンジニアの将来性

日本の経済発展が成長し続け、Webサイトやスマートフォンのアプリでのサービス提供や、企業の情報システムの重要性も高まっています。このことから、システムエンジニアは今後もなくてはならない仕事だといえるでしょう。また、インターネット上や企業のソフトなどのシステム開発だけでなく、家電製品や機械機器のシステムも多機能なものが続々と登場しています。このような製品の開発にもシステムエンジニアの技術は必要不可欠といえます。

システムエンジニアの6つの仕事内容

ここからはシステムエンジニアの仕事内容について解説していきます。今回は、クライアントの要求分析と要件定義を始めとした6つの項目をピックアップしていきます。システムエンジニアの6つの仕事内容について興味がある方は、参考にしてください。

【1】クライアントの要求分析と要件定義

まずは、クライアントがどういった機能を求めているのか、しっかりと聞き取る要求分析と、どのようなシステムにするかの要件定義をおこないます。たとえばWebサイト開発ならサイトに求められる機能をクライアントと話し合い、理解する必要があります。ほかにも業務システム開発なら、クライアントの業務の流れとコンピュータの処理内容を把握して、便利な機能などを提案することも重要といえます。 要求分析と要件定義をしっかりおこなうことで、システムができあがった時に「依頼した内容と違う」といった事態を防げるでしょう。

【2】システム全体の基本設計

どのような構造にするか、どのような機能を付けるかを決定し、情報漏洩などに備えたセキュリティ設定などを決めていくのが基本設計です。クライアントとの話し合いで決まった要件定義をもとに、データベースの設計や画面構成、外部システムとの連携を固めていきます。

【3】システムの詳細設計

基本設計をもとに、サイトやシステムで扱うデータやファイルの形式、内部処理の方法を決め、パーツごとに細かく分けた設計書を作成するのが詳細設計です。ここでの設計書を参考にプログラマーがプログラムを作ったり、Webサイトの場合はWebデザイナーと画面構成を検討しながらデザインを決めていく工程に進みます。 また、インフラエンジニアは基盤システムを設計・構築してOSなどをインストールした後、Web開発や業務用システムのエンジニアに開発を引き継ぎ、疑問点や不具合に対応します。

【4】システムのプログラミング

詳細設計の設計書をもとに、プログラマー、もしくは設計者がプログラミングしていきます。プログラミングとは、一般的にコンピュータが指示通りに動くようコーディングし、実際に動くかチェックしていくまでの工程を指します。コーディングとはC言語、Java、Pythonなどの世界共通の言語を使い、コンピュータに指示を出すためのコードを作ることです。 できあがったソフトウェアをプログラマーがパーツ単体ごとにテスト・修正し、パーツをつなげて外部システムとの連携やパーツ間のデータの受け渡しに問題がないかチェックします。

【5】システムの動作テスト

すべてのパーツができあがり、連携できたところで実際のデータを投入し、総合テストと呼ばれる動作テストをおこないます。品質管理や総合セキュリティ専門の担当者によって、さまざまな基準がクリアできているかをチェックする作業です。Webサイト開発によっては一般のユーザーに利用してもらい、使い勝手や問題点を挙げてもらう企業もあるでしょう。

【6】システムの保守と運用

システムが実際に運用され始めたら、順調に稼働するようにアフターケアをおこなっていきます。Webサイトや業務システム、基盤システムに問題が生じたら対応して解決し、クライアントから新たな機能の追加などを依頼されたら新たに開発するのも大事な役割といえるでしょう。

システムエンジニアに必要な4つのスキルや適性

きついイメージもあるシステムエンジニアですが、実際に就業するために向いている性格や勉強しておきたい分野はどのようなものなのでしょうか。ここからは、システムエンジニアを目指すために必要なスキルや適性を4つ挙げていきます。

【1】ITやコンピュータへの強い興味

ITやコンピュータ、新しい技術への強い興味や関心がある人は、システムエンジニアの素質が高いといえるでしょう。日々進化している情報システムの技術や知識を学び続け、分野によっては仕事をしながらIT関連の資格試験の勉強をする必要もあります。IT業界やコンピュータへの関心が高い人の方が情熱を持って続けやすい仕事です。 また、エンジニアといえば理系のイメージが強くありますが、実際に働いている人の中には文系の人や、他業種から職業訓練などを受け転職してくる人も少なくないでしょう。

【2】マネジメントの能力

システムの開発という目標を達成するための、マネジメント力も必要でしょう。複数のエンジニアが働く現場では、作業全体を見渡し、課題の解決や各々の工程をしっかり進めるマネージャーとしての視点を持つことが大切だといえます。 また、システム開発の多くの実績を経て、プロジェクトマネージャーとして昇進するケースも少なくありません。システムエンジニアに求められる能力のひとつとして、マネジメント力はとても重要でしょう。

【3】コミュニケーション能力

クライアントが必要としている機能や、業務内容を深く理解するためのコミュニケーション能力も必要といえます。クライアントへの提案のためのプレゼンテーションや、チーム内での意見交換など、さまざまな場面でコミュニケーション能力が重視されるでしょう。 システムエンジニアは専門的な仕事ではありますが、視野を狭めることなく情報収集をし、いろいろな年代の人と関わる必要がある仕事だといえるでしょう。

【4】システム設計に必要な技術力

より高度なシステムを開発するためには、新しい技術力と知識を蓄え続ける努力が必要です。Webサイトや業務システムの開発にはさまざまなプログラミング言語が使われ、セキュリティの知識も問われています。新しい技術を学ぶために、英語で記述されたサイトを読むことも少なくないでしょう。 さらにクライアントへのプレゼンテーションでWordやPowerPointを用いることもあるため、これらをスムーズに扱えることも求められます。システムエンジニアはさまざまな技術力と知識を学んでいくことで、活躍の場を広げていける仕事といえます。

システムエンジニアを目指すためには?

システムエンジニアとして働くために必要な学歴や資格などは定められていません。しかし、実際に働いている人の多くは専門学校や大学でコンピュータ関係を学んできたケースが多い傾向にあるでしょう。システムエンジニアを目指すなら、情報工学・電気工学・電子工学などを学べる大学や大学院への進学を検討するのも一案といえます。

システムエンジニアのスキルアップに繋がる4つの資格

システムエンジニアは高度な専門知識を必要とする仕事です。将来、優良企業や有名企業で働きたいのなら、知識を所有していることを証明するために必要な資格や有利な資格を取っておくのもおすすめです。ここからは、システムエンジニアとしてスキルアップに繋がる資格を4つ紹介していきます。これらの資格試験には年齢制限がなく学生のうちからでも受験できるため、興味がある人は挑戦してみてもよいでしょう。

【1】基本情報技術者試験

システムエンジニアとしての基礎知識や実践的な技能を持っていることを証明できるのが基本情報技術者試験です。技術水準としては、指導者の指導をもとに適切なプログラムの設計・提案ができ、自らソフトウェアを開発できるレベルが求められるでしょう。

【2】応用情報技術者試験

基本情報技術者試験よりワンランク上の技術・知識が求められるのが、応用情報技術者試験です。技術だけでなく経営戦略や情報戦略の分野においても、クライアントへ新たな立案ができるような情報技術の知識も求められます。システム開発の面では予算や工程、品質の管理ができることや、自ら技術的な問題の解決ができる技能が必要といえます。

【3】システムアーキテクト試験

高度IT人材としての専門分野を持ち、要件定義から設計・開発・評価までを担えるリーダーになるための、知識や技術を求めるのがシステムアーキテクト試験です。「アーキテクト」には建築家や設計者という意味があり、その名の通りシステム全体を設計し、開発を主導しながら完成させるまでの一連の知識が求められます。また、組込みシステムやIoTを利用したシステムの機能仕様の決定、最適なシステムの設計の知識が問われるでしょう。

【4】ネットワークスペシャリスト試験

大規模な基盤システムを開発するインフラエンジニアに最適なのが、ネットワークスペシャリスト試験です。クライアントの目的に合った安全なネットワークを構築・維持するため、論理設計及び物理設計ができる技術と、ネットワーク関連企業を活用しながら適切な運用ができるかなどが問われるでしょう。

システムエンジニアについて理解しよう!

システムエンジニアは分野もさまざまで、情報の通り道を作るものや、Webサイトを動かすシステム、情報を管理するシステムの開発など多岐にわたるといえます。 さらに、家電製品に組み込まれたシステムからインターネットを通じて作動させるものなど、日々新たな技術も増えているため、調べるほどに興味深い分野が出てくるでしょう。スマートフォンのアプリや仕事を円滑にするためのシステム、身のまわりの家電など、さまざまなところにシステムエンジニアの仕事が関わっています。システムエンジニアの仕事に興味が出てきたら、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

[参照元]

『システムエンジニア(Webサイト開発) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト』(厚生労働省)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/314

『システムエンジニア(業務用システム) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト』(厚生労働省)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/312

『システムエンジニア(基盤システム) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト』(厚生労働省)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/318

『システムエンジニア(組込み、IoT) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト』(厚生労働省)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/315

『IT 人材需給に関する調査』(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

『我が国におけるIT人材の動向』(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/001_s01_00.pdf

『小学校プログラミング教育の手引(第三版)』(文部科学省)

https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_002.pdf

『プロジェクトマネージャ(IT)- 職業詳細 | 職業情報提供サイト』(厚生労働省)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/322

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