教育におけるICTの活用事例を紹介!ITとの使い分け方とは?
ICTとIT、IoTの違いに悩む人もいるのではないでしょうか。本記事では、用語の使い分けから、実際にどのような業界、場面でICTが活用されているのかを紹介しています。これからの教育にも重要な役割を果たすICTについて、理解を深めてみましょう。
ICTとIoTとの違い
ICTは、Information & Communications Technologyの略称です。日本語では情報通信技術と言い、ICTは技術全般のことを指します。 対してIoTはInternet of Thingsの略称であり、物がインターネットに繋がっていること、またそのもののことです。関係性としては、ICTの活用の中にIoTが位置します。ICTはインターネットを繋いだ技術全般のこと、IoTはモノとインターネットが繋がる状態や技術、と考えるとよいでしょう。
ICTとITを使い分けている主な基準3つ
ITはInformation Technologyの略で、情報技術を意味します。これにはインターネットなどの通信技術や、PCなどのハードウェア、アプリケーション、インフラなどを含みます。 ITとICTは、似ている言葉ですがどのように使い分けるのでしょうか。ここで、ICTとITを使い分ける基準を3つ紹介します。
【1】何を重視するかによる使い分けがされている
ITはコンピューター関連の技術を重視している言葉であり、デジタル機器やデジタル化された情報、技術を指します。対してICTは、情報通信技術という言葉が示すように、特に情報伝達における技術の活用、方法を重視しています。このように、それぞれが重視しているものを意識すると、ITとICTの違いが分かりやすくなるでしょう。
【2】省庁によってどちらを扱うか異なる
ITとICTのどちらを使うかは、省庁によって異なる場合があります。経済産業省は、ITという用語を使っています。これは、経済産業省が通信の技術自体を扱うことが多いためです。それに対して総務省は情報通信に関する技術を扱うことが多く、ICTという用語を使います。
【3】国際的に定着しているICTが多く使われる
国際的にみると、ITよりもICTの方が定着しています。そのため、日本でもICTという呼称が広がっています。ここでICTと言う時には、ITの意味を含んでいることもあります。
ICTを活用した政府の取り組み7つ
社会が抱えている課題を解決するために、政府はICTの活用を推進しています。ICTを導入することは、分野を問わず生産性の向上や地方創生に役立つのです。ここでは、実際に政府が取り組んでいるICT活用事例を、7つ紹介します。
【1】安全なネットワーク環境の更なる推進
サイバー攻撃を受けることで官公庁や民間企業が持っている重要な情報が盗まれるなど、外部に流出し被害を受けることが増加しています。そのため、ICTの導入に伴ってセキュリティの重要性が高まってきています。サイバー攻撃による被害を防止するため、サイバー攻撃に耐えうるセキュリティ人材の育成に取り組んだり、攻撃で突破されにくい安全なネットワーク環境の推進を進めたりしています。
【2】地方活性化の推進
ICTを活用して地域の情報をやり取りしていくことで、地方活性化が促進されます。政府として、地方自治体がクラウドシステムを導入しやすいよう促進しています。クラウド上で情報管理や連携が可能になれば、経費削減や住民へのより質の高いサービス提供に繋がります。
【3】ビッグデータへの活用
IoTを様々な分野で導入することで、生産性、効率の改善に繋がります。少子高齢化が進む社会でも、ICTを活用してビッグデータを獲得・活用した生産性の向上を目指しています。特に生産性向上特別措置法に基づいてデータの共有や連携にかかる費用への減税措置が行われています。これによってデータの活用が促進されます。
【4】教育現場でのICTシステム環境構築の更なる推進
教育分野でもICT活用は進められています。教育の機会均等や格差是正を実現するため、クラウド上で利用できる低コストの学習教材の提供、教育ICTシステムの環境構築に取り組んでいます。 また、誰でもICT教育の恩恵を受けられるよう、1人1台端末やプログラミング教育が拡大しています。異なるシステム間でも学習データが連携できるようになることで、学習者や指導者の効率向上に繋がります。
【5】医療・健康・介護でのICTを活用した人手不足の解消
超高齢社会となっている日本に存在する、社会保障費の増大をはじめとした多くの問題も、ICTによって解決を目指しています。本人の同意を得てICTを活用しデータ連携を実現し、医療・介護分野の患者の情報を全国あらゆる場所から確認できる仕組み作りを進めています。より患者のニーズにマッチした医療・介護サービスの提供や、サービス提供側も業務効率改善に繋がっていきます。
【6】防災手段としての更なる普及
ICTを活用した防災手段として、災害時でも素早く正確な情報を伝えられる体制を拡大しています。現在導入されているLアラートは、地方公共団体が放送局やアプリ事業者といったメディアを通して、災害時の情報を住民に届ける共通基盤です。他にも、地理空間情報を活用した情報の高度化、また防災拠点での無料Wi-Fi環境の拡充を目指しています。
【7】農作物生産・農業生産指導・青果物流通情報システムの実証
農業における人材不足などの課題を解決するため、農業に特化したシステムの導入も進んでいます。熟練農家が持っている能力を学習し、AIが収穫をサポートしていきます。 AI農業を実現するためには、データの扱いを農業全体で取り決めることが必要です。政府は各省が連携することでデータを標準化し、権利関係の整理を推し進めています。
ICTの教育業界以外での活用事例4選
ICTは、教育業界以外でも多くの分野で導入が進んでいます。ICTを有効活用することで、生産性が向上するなど円滑な業務遂行に役立っています。ここでは、実際にICTを活用して得られる効果について、4つの業界別に紹介していきます。
【1】テレワークへの活用
ICTを活用したテレワークの実現により、場所を問わずに働けるようになりました。これは労働人口の確保や生産性の向上、コスト削減に繋がっています。また、労働者にとっても、自分らしい働き方の実現や時間の有効活用が可能です。総務省はテレワークを推進するために、企業からのテレワーク導入についての相談を受け付けています。さらに、情報セキュリティやICTに関する無料コンサルティングも実施しています。
【2】医療機関への活用
医療機関は通常、それぞれの医療機関によって異なる診察券やカルテが準備されています。これは患者の管理への負担になると共に、医療機関側としても診察歴を把握しづらいという状況を生み出しているでしょう。医療機関にICTを導入し情報を一元管理することで、患者・医療機関双方の負担を減らし、診察歴が透明化することによる医療の質向上が実現します。また、医療機関や消防、行政がICTでつながることにより、迅速かつ的確な状況判断が可能です。1つの機関で完結せず医療に携わる仕組みに繋がります。
【3】農林水産業への活用
農林水産業でのICT活用は、スマート農業として拡大しています。スマート農業は、ロボットやAIといった先端技術を用い、課題解決する農業のことです。 スマート農業によって解決される課題は、例として作業の効率化や人件費の削減、作業記録を共有することの簡易化、蓄積したデータを解析することによる生育の予測などがあります。ドローンや自動走行する農業用器具を使い、農業の効率を高めます。
【4】介護業界への活用
介護現場でのICT活用では、情報のやり取りを電子化していき、データを蓄積するという動きがあります。紙媒体で情報共有するのに比較し、ICTを導入した場合は文書の作成にかかる時間的コストが大幅に削減され、介護職スタッフが現場に集中できるというメリットがあります。 また、ビッグデータが蓄積されると、その分エビデンスベースドで質のよい介護を提供できるようになります。
ICTについて理解して子どもに教えましょう
ICTは、今後も多くの分野で重要な役割を示します。 子どもの頃からICTに触れることで、主体的な学びの姿勢を身につけられます。子どもの習熟度についてデータが蓄積されるため、家族や学校でデータを共有することで、子どもの成長に必要なものが見えやすくなるでしょう。子どもへのICT教育のために、まず保護者や教職員がICTについてしっかりと理解を深めていくことが必要です。ICTへの理解を深め、子どもと一緒に学習や社会課題解決へ活用していきましょう。
[参照元]
『ICTスキル総合習得教材』(総務省)
https://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_1_1.pdf『ICT利活用の促進』(総務省)
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/index.html『農業ICTに関する政府の取り組みと方向性』(内閣官房)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo_dai5/siryou5.pdf『ICT地域活性化ポータル』(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/index.html『スマート農業』(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/『介護現場におけるICTの利用促進』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html『クラウドで教育をより良く 教育ICTガイドブック』(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000492552.pdf