認定こども園とは? それぞれの違いやメリット・デメリット簡単に解説!
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「認定こども園」とはどんな園なのだろうかと、疑問に感じているかたもいるでしょう。お子さまや保護者のかたにとってどのような良い点があるのか、どのような基準で認定されているのか、園選びをするときの違いは何か……。認定こども園の利用を考えている保護者のかたが知りたい情報をご紹介します。
認定こども園とは?
認定こども園とは、幼児教育・保育を一体的に行う施設です。幼稚園と保育所の両方の良さをあわせもっている施設だといえるでしょう。子ども・子育て支援新制度の取り組みとして、就学前の教育・保育を受けられる新たな選択肢として誕生しました。
認定は都道府県で行い、条例により認定内容が定められています。文部科学省・厚生労働省が定めた国の基準もありますが、それに加えて独自の基準を設けている所も。たとえば埼玉県では、満3歳以上児の1学級の園児数を、「満3歳以上満4歳未満児は20人以下(学級担任を2人以上置く場合は35人以下とすることができる)、満4歳以上児から35人以下」としています。国の基準は1学級35人以下ですから、より子ども1人ひとりに向き合える体制を整えているといえるでしょう。その他の自治体でも独自の設定を行っている所がありますから、詳しくは各都道府県のHP等を確認してください。
保育園や幼稚園と認定こども園の違いとは?
保育園は保護者の就労や家庭の状況などにより、保育を必要とする事由に該当する家庭のみが利用できる園です。入園を希望する際は、お住いの市町村から2号(3歳~5歳)・もしくは3号(0歳~2歳)の「保育認定」を受ける必要があり、就労がフルタイムかパートタイムによって規定の金額で預けられる最長時間が変わります。長期休暇がないために、保護者の仕事や介護などに影響が出にくい点が大きなメリットです。
幼稚園は、保護者の就労や家庭の状況に関わらず、満3歳から子どもを預けられます。こちらは保育認定を受ける必要はありません。幼稚園では夏休み・冬休み・春休みの長期休暇があるため、働く保護者はその間、子どもをみてもらえる場所を探す必要があることも。
保育園と幼稚園の機能を併せ持った認定こども園は「内閣府」の管轄の、すべての子どもを預けることができる園です。認定こども園には「幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型」の4つのタイプがあります(後述)。2号・3号認定で保育園へ通った場合は、保育を必要とする事由に該当しなくなった場合(仕事をやめたときなど)は保育園を退園しなくてはいけませんが、認定こども園へ通っている場合は、3歳以降なら1号としてそのまま同じ園へ通い続けることができます。
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保育園と幼稚園・認定こども園の違いとは? 特徴や注意点をしっかり把握して選ぼう
認定こども園の種類
認定こども園は、家庭の事情や地域の実情などに応じて選択ができるように4つの種類に分けられています。ちなみに、保育所は厚生労働省の管轄で、幼稚園は文部科学省の管轄であるということは広く知られていますよね。これに対して、認定こども園は内閣府が管轄。つまり、厚生労働省も文部科学省も関わっており、両方の機能をもっていると考えてください。施設の種類にも、その特徴が現れています。
(1)幼保連携型
幼稚園教育要領に基づく幼稚園的機能と、保育所保育指針に基づく保育所的機能の両方をあわせもっている施設です。小学校児童との交流などを通して小学校との連携を図り、円滑に小学校へ進み教育が受けられるように教育・保育を行っています。幼保連携という名前の通り、両方の機能をあわせもつ単一の施設として、認定こども園の機能を果たしているタイプです。
(2)幼稚園型
公立や私立の認可幼稚園がもととなっている施設です。保育が必要なお子さまのための保育時間を確保して長時間預かりを実施したり、0歳からのお子さまを預かったりしています。幼稚園に保育所的な役割を備えることで、認定こども園としての機能を果たしているタイプです。
(3)保育所型
公立や私立の認可保育所がもととなっている施設です。保育が必要なお子さま以外のお子さまも受け入れるなど、就労していない保護者のかたでも利用できるようになっています。保育所に幼稚園的な役割を備えることで、認定こども園としての機能を果たしているタイプです。
(4)地方裁量型
幼稚園および保育所のいずれについても認可のない地域の教育・保育施設がもととなっている施設です。待機児童解消のため、新たに認定こども園とし、その機能を果たしています。
認定こども園の認定基準は?
認定こども園は、国が定める基準に従って認定されるか、参酌して各都道府県等が条例で定めているかのどちらかです。主な基準は以下を参考にしてください。
職員の資格
<幼保連携型>
・幼稚園教諭の免許状と保育士資格を併有している「保育教諭」を配置。
<その他の認定こども園>
・満3歳以上……幼稚園教諭の免許状と保育士資格を併有していること望ましい。
・満3歳未満……保育士資格が必要。
教育・保育の内容
・幼保連携型認定こども園教育・保育要領を踏まえて教育・保育を実施。幼稚園型は幼稚園教育要領、保育所型は保育所保育指針に基づいて教育・保育が行われる。
・小学校における教育との円滑な接続。
・認定こども園として特に配慮すべき事項を考慮。
認定こども園の場合、保育料はどのくらいかかるの?
2019年10月から、保育料が無償化となりました。認定こども園も、保育所・幼稚園と同様で無償化の対象です。ただし、年齢や収入によっては保育料が必要となる場合もあります。詳しく見ていきましょう。
(1)料金形態
実際に国が定めている料金形態は次の通りです。料金形態は1号~3号の認定区分で分けられています。
・1号認定:無料
・2号認定:無料
・3号認定:住民税非課税世帯は無料
保育料無償化に伴い、満3歳以上児の保育料は全員無料となっています。ただし、3号認定となる満3歳未満児の家庭の場合は保育料が必要となる場合が多いです。無料となるのは、住民税が非課税となっている世帯。生活保護を受けていたり、前年度の所得が一定額以下であったりする場合です。また、きょうだいが同時入園する場合には、保育料が半額、または無料となる場合もあります。こちらは自治体によって異なるため、確認してみてください。
(2)認定区分
認定こども園では、幼児教育・保育を利用するお子さまについて、3つの認定区分が設けられています。
・1号認定
満3歳以上で、保育の必要な事由に該当しない家庭のお子さまが、教育標準時間で通園する場合。
・2号認定
満3歳以上で、保育の必要な事由に該当する家庭のお子さまが、保育認定としての標準時間・短時間で通園する場合。
・3号認定
満3歳未満で、保育の必要な事由に該当する家庭のお子さまが、保育認定としての標準時間・短時間で通園する場合。
(3)保育の必要な事由とは?
就労中、産前産後、保護者のかたの疾病や障がい、同居親族などの介護・看護、火災などの災害の復旧、求職活動(起業準備を含む)、就学(職業訓練を含む)、虐待やDVの恐れがある、育休時の継続利用、その他市町村長が認める場合と定められています。つまり、保育を受ける必要性がある家庭を意味するといえるでしょう。
(4)保育料以外にかかるお金
保育料無償化の対象であっても、支払わなければならない費用があります。それが、通園送迎費、食材費、行事費、延長保育料(必要な場合)などです。ただし、食材費(給食費)については免除となる場合も。年収360万円未満相当世帯、または全世帯の第3子以降は、副食(おかず・おやつなど)の費用が免除となっています。実際に支払う金額は園や自治体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
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認定こども園の利用手続きは?
認定こども園を利用するには、まず認定区分を確認しましょう。認定こども園を始めとする施設を利用する子どもには、次の3つの認定区分が設けられています。
認定区分
1号認定:教育標準時間認定・満3歳以上
2号認定:保育認定(標準時間・短時間)・満3歳以上
3号認定:保育認定(標準時間・短時間)・満3歳未満
満3歳以上で保育を必要としない子どもは1号認定です。こちらの認定を受けると、幼稚園を利用することができます。
保育を必要とする子どもは2号・3号認定で、年齢によって分けられています。こちらの認定を受けると、保育所などを利用することが可能。また、2号・3号認定には「保育標準時間」と「保育短時間」の2種類があり、保育標準時間は最大11時間、保育短時間は最大8時間が利用可能時間です。就労時間など保護者のかたの状況から判断されることになります。
認定こども園は、いずれの認定区分であっても利用対象です。ただし、区分によって手続きの方法が異なります。
利用手続きの流れ
・1号認定の場合
園に直接申し込み→園から入園内定→園を通じて市町村に認定申請→園を通じて市町村から認定証交付→園と契約
※必要に応じて市町村が利用支援をする場合もあり
・2号・3号認定の場合
市町村に直接「保育の必要性」の認定を申請→市町村から認定証公布→園の利用希望の申し込み→市町村が利用調整→利用先の決定・園と契約
※認定の申請と園の利用希望申し込みを同時に行う場合もあり
認定こども園に通うメリット
認定こども園に通うことには、以下のようなメリットがあります。
縦割り保育の園なら異年齢の子ども同士で交流できる
園によっては、縦割り保育を行うところや、年長児などが未満児をお世話する活動を取り入れているところもあります。世代の違うお子さまどうしが交流することで、お互いの成長のきっかけにもなるのです。認定こども園には、0歳から通園しているお子さまもいます。縦割り保育を導入していなくても、自由遊びの時間には異年齢のお子さまと自由に関わる機会も多いでしょう。幼児教育を受けながら、小さなお子さまとも交流を持てるというメリットが得られます。
通い慣れた園で幼児教育が受けられる
転園の必要がないというのも、認定こども園のメリットです。年少から幼児教育を受けさせたいと考えていても、お子さまが満3歳になるまでは幼稚園に通えません。仕事をしている場合、お子さまが年少に達するまでは別の場所にある保育所に通い、年齢が達したら転園という方法を考えているかたもいるでしょう。しかし、認定こども園であれば通い慣れた園でそのまま幼児教育を受けることが可能。転園などによるお子さまの負担も軽減できます。
さまざまな家庭と交流ができる
保育所と幼稚園の特徴を兼ねそろえているため、両方のタイプの家庭と交流ができるのもメリットです。専業主婦のかたや共働きの家庭を始め、さまざまな生活スタイルのかたが集まる認定こども園。幼稚園・保育所では出会えなかった人と交流し情報交換することで、新しいママ友・パパ友の輪が広がるかもしれません。視野も広がり、お子さまの性格や発達にあわせた環境づくりができるでしょう。
給食が提供される
2・3号認定の場合は完全給食です。つまり、利用する認定こども園で2号・3号認定のお子さまを教育・保育している場合、給食が提供されるということ。給食室も設置されているため、園によっては1号認定でも給食を食べられる可能性があります。こちらは園によって異なるため、確認してみるとよいでしょう。
認定こども園に通うデメリット
認定こども園に通うことには、以下のようなデメリットもあります。
保育料以外にもかかる費用がある
認定こども園も、幼稚園や保育所と同じように保育料以外にかかる費用があります。保育料無償化の対象であっても、食材費や行事費などを支払う必要があるからです。認定された時間内にお迎えに行けない場合には、延長保育料も必要。私立か公立か、またどこに住んでいるかによってもかかる費用に差があります。詳細は希望の認定こども園や自治体に確認するとよいでしょう。
条件によって利用の優先順位が決まる
誰でも利用できる認定こども園ですが、申し込みが多い場合は利用できない可能性もあります。保育所と同じく、両親が共働きの場合や一人親世帯などが優先されるため、結果的には「誰でも利用できる」わけではないのが現状です。とはいえ、その他の家庭のお子さまが入園できないというわけではありません。優先順位や受け入れ人数は地域や園によっても異なりますので、入園前に情報収集をしっかりしておきましょう。
夏休みなどの長期休暇の扱いに注意
夏休みなどの長期休暇に関しては、園ごとに扱いが異なっています。たとえば、保育所型の認定こども園は保育所がベースになっているため、夏休みなどを設定していないことも多いです。しかし、幼稚園型の認定こども園は幼稚園がベースとなっており、夏休みなどの長期休暇がある場合も。ただし、1号認定のお子さまはお休み、2号・3号認定のお子さまは通常保育、という形を取っている園もあります。共働きなどで仕事を休むことが難しい場合は、事前にしっかり確認しておきましょう。
申し込みの際の注意点
申し込みについての注意点は、保育所や幼稚園と同様です。具体的には以下の点をチェックしてください。
- 願書配布日はいつか
- 提出場所はどこか(市町村か、園か)
- 願書以外に必要な書類はあるか
- 合否の決定方法はどうなっているか
- 結果連絡はいつなのか
誰でも利用できる認定こども園ですが、申し込み人数によっては利用調整が行われることもあります。その場合、期日に間に合わなければ入園できない可能性も。希望の園に入園するためには、願書の締め切りや合否連絡が来るタイミングなど、スケジュールをしっかり把握しておくことが大切です。
認定こども園の今後 選択肢は広がっていく?
地域差はありますが、幼稚園・保育所を運営している園が認定こども園に変わっていくケースは多く見られます。なかには、私立幼稚園が認定こども園になったことで料金が安くなったり、園によっては完全給食になったりするなど、保護者のかたにとってうれしい状況が生まれているところも。
また、「幼稚園の幼児教育を受けさせたかったけれど、仕事をしているので保育所を利用することにした」というかたや、「幼稚園に入れようと思っていたので仕事を諦めていた」というかた、そのどちらにとってもプラスになるのが認定こども園です。仕事をしながら幼児教育を受けさせられる、どちらも諦めなくてよい新しい選択肢として、今後重要になっていくのではないでしょうか。
細かい点については、認定こども園によってさまざまです。しっかりと情報収集をし、家庭にあった園探しをしてくださいね。
まとめ & 実践 TIPS
幼稚園と保育所、両方の良さを兼ねそろえている認定こども園。地域によってはまだ認知度が低いところもありますが、そのメリットや必要性は見逃せません。子どもが教育・保育を受ける場所として、新たな選択肢となってきた認定こども園。利用を考えている保護者のかたは、ぜひ参考にしてみてください。
出典:内閣府
「認定こども園概要」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/gaiyou.html
「幼児教育・保育の無償化について(日本語)」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/about/index.html
「よくわかる「子ども・子育て支援新制度」」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/sukusuku.html
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