小学校入学準備編 スピードが遅くだらだら食べている![食育につながるワンポイント]

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「家庭でできる食育」とはなんでしょうか。管理栄養士・医学博士であり、テレビや雑誌などで広く活躍されている本多京子先生にお話を伺います。

30分テレビを消して食卓に集中を

小学校入学にあたっての保護者の不安としてよく耳にするのが「うちの子は、時間内に給食をちゃんと食べられるだろうか」という声です。給食時間は学校によって異なりますがだいたい15分から20分程度。「家のようにのんびり食べていたらすぐに片付けの時間になってしまう」と心配する保護者は多いようです。
最近、東京都足立区が給食の時間を試験的に5分延長したところ、子どもの食べ残しが減ったというニュースが話題になりました。確かに給食の時間そのものが短すぎるという意見もあり、学校としても改善の余地はありそうです。ただそれ以前に、だらだらと食べない習慣を子どもにしっかりと身に付けさせておくことも大切です。

「テレビを見たり、絵本や漫画を読んだりしながら食べることを許しているようでは、やはりだらだらとした食べ方になりがちですよね。家の食卓を、食べることに集中し、食を楽しめる環境にしなければいけません。 そして、時間を決めて、食事が済んだらテーブルの上をきれいに片付ける。食べ物をいつまでも出しっぱなしにしていてはけじめがつきませんよ」(本多先生)
「いただきます」から「ごちそうさま」まで、たとえば「30分」と時間を決めてその間はテレビを消してみてください、と本多先生は提案します。「特に小学校入学前後は、子どもが規則正しい生活習慣やけじめを身に付けるための大切な時期であり、保護者は食事への関心を阻害するものを毅然とした態度で排除すべき」と言います。

そもそもテレビを見ながら食事しているということは、親も子どももお互いの顔を見ないで食事をしていることになります。
「子どもは小学校入学で新しい環境に飛び込み、毎日いろんな経験をしています。そんな子どもの表情を見て、ぜひ話を聞いてあげてください。テレビを消すのは親子双方のためなんですよ」(本多先生)

食習慣を整えて家を「帰るべきところ」に

だらだらとした食事にならないためには、食事の時間にちゃんとお腹が空くようになることが大前提です。間食ばかりしていてお腹がいっぱいだと、食事は楽しくなく、だらだらしてしまいます。

また、毎日の食事の時間もできるだけ規則正しくそろえたほうがよいと本多先生は説明します。
「『うちの家は夜7時から30分間が晩ご飯』と子どもが家の生活のリズムを理解したら、そのうちその時間にちゃんとご飯を食べないと落ち着かないようになりますよ。つまり、食事の時間を軸にして生活そのものが整うんです。そんな家庭は、たとえ子どもが反抗期を迎えて保護者と向き合う時間が少なくなっても、食事の時だけは食卓に顔を見せるものです。そういう親子関係が維持できている以上、少々子どもが荒れても心配ありませんよ」(本多先生)

家庭での食習慣が確立して初めて、家庭は子どもにとって「どんな時も必ず帰るべき巣」としての機能を果たすと言えそうです。そのためには、子ども以上にまず保護者自身が、食習慣を整えるために努力しなければならないのです。

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