学校との共同研究

2017年度 その1

岐阜市の教育公表会で研究成果を報告しました(2018.2.26)

2018年1月20日(土)、岐阜市の平成29年度「5年先行く岐阜市の学校教育」公表会が行われ、その分科会でこれまでの研究成果を報告しました。当日の会場は、岐阜市の小中学校の先生方や保護者の方を中心に、ほぼ満席となりました。報告では、本研究にご協力いただいている岐阜市教育委員会と学校の先生方からも、研究の意義や実践内容を報告していただきました。詳しい報告内容は、こちらをご覧ください。(岡部悟志)
会場の様子(教員や保護者でほぼ満席)

岐阜市、有識者とともにコンソーシアムを立ち上げました(2017.9.20)

 研究2年目に入り、藍川中学校でも岐阜西中学校でも、タブレットを使った学習がかなり定着してきました。生徒の学習のログデータ、標準学力調査の結果、折々に行っているアンケート結果など、研究に必要となるデータがかなり蓄積されています。その分析から、基礎力・意欲を高めた生徒の特徴や、学習改善を促すデータの可視化(見える化)方法などがわかってきました。
 併せて、学校としての取り組み方や先生方の働きかけ、クラスのピア効果などによって、教材の活用が大きく左右される実態があることもわかりました。どのような働きかけや環境が生徒の学習を活性化させるのか。その研究を深化させる必要があります。
 そこで、岐阜市教育委員会と協議し、教育研究の専門家・有識者を招いて産官学連携のコンソーシアム(「タブレット教材を活かした基礎学力と学習意欲向上の取り組み」コンソーシアム、通称「タブレット学習」コンソーシアム)を立ち上げることにしました。
 当コンソーシアムでは、益子典文先生(岐阜大学教授)、稲垣忠先生(東北学院大学教授)、高橋純先生(東京学芸大学准教授)、北澤武先生(東京学芸大学准教授)に、教育実践への具体的な助言、データ活用に対する指導を賜ります。さらに、赤堀侃司先生(日本教育情報化振興会会長、東京工業大学名誉教授)にも全体監修をしていただきます。
 さらに、岐阜市教育委員会から早川三根夫氏(教育長)、若山和明氏(事務局長)、原昭雄氏(教育政策課長)、石神淳司氏(学校指導課長)の各位と、実践校である藍川中学校校長の本多正明先生、岐阜西中学校校長の松巾昭先生が加わり、われわれベネッセ教育総合研究所のメンバー(所長・谷山和成、副所長・木村治生、室長・中垣眞紀、研究員・岡部悟志)とともに、研究の大きな方向性を議論していくことになります。
 当コンソーシアムの1回目の研究会を、2017年7月19日(水)岐阜市の旧徹明小学校で行いました。当日は、①2016年度の取り組みの成果と課題をベネッセ教育総合研究所から報告し、②2017年度のの各校の立ち上がりの状況をお二人の校長先生から説明いただきました。さらに、③現状を踏まえて、今後、研究をどのように展開していくか、その方向性について全員で議論を行いました。
 主な論点は、以下のようなものです。
  1. 先生の役割について:活用が促進したクラスの状況を見ると、先生の働きかけの影響が大きい。指導者が家庭学習の必要やタブレット学習の良さを生徒に伝えることが大事。
  2. 教材の役割について:タブレット学習でできることは何かを明らかにしたい。そのうえで、他にどのような活動が必要なのかを考えるべき。
  3. 学び方の共有の重要性:忙しい中学生にとって効果のある教材の使い方など「学び方の共有」ができるとよい。
  4. 生徒の学習意欲向上:生徒にどのようなことをフィードバックすれば学習意欲が高まるのかを考えたい。
第1回タブレット学習コンソーシアムの様子
 議論では、学習効果を高めるための視点がたくさん提示されました。活動にはまだまだ課題もあり、改善すべき点の指摘もありました。子どもたちの学びをより充実できるように、各指導者からの意見を実践に反映させていきたいと思います。(木村治生)

東海テレビ「スイッチ!」の取材を受けました(2017.6.6)

今年で2年目となる岐阜市立藍川中学校の取り組みについて、東海テレビ「スイッチ!」の取材を受けました。
※2017年6月20日(火)に、東海テレビ「スイッチ!」(朝9時50分~)の「これアリっ!」 というコーナーで紹介されました。
当日の取材の様子
 当日の取材では、「朝の10分間学習での活用」と「授業(社会と数学)での活用」に真剣に取り組む生徒の様子を、カメラが追いました。途中、アナウンサーからインタビューを受けた生徒もいましたが、緊張しながらも、自分なりのタブレット学習の仕方などを交えながら、しっかりと受け答え。その様子を見て、タブレット配付からまだ1週間ほどしか経っていませんが、生徒たちの日々の学習の中に溶け込み始めている印象を受けました。
 また、松岡教頭先生は、昨年度からの取り組みの成果についてインタビューを受け、「学習記録からクラス単位や個人単位で苦手なところがわかり、教員の意識や指導の仕方が変わった」とおっしゃっていました。2年目となる今年は、実証研究としてきちんと検証を行い、研究の成果はもちろん、実践的な課題解決のノウハウ等も含めて、広く発信していきたいと考えています。(岡部 悟志)

2年目の実証研究がスタート! ~約310名の中2生へタブレット教材を配付しました(2017.5.30-31)

 昨年度の取り組み(2016年度 その1その2)に続き、2年目となる今年度は、岐阜市立藍川中学校と岐阜市立岐阜西中学校の中学2年生にご協力いただくことになりました。実証研究スタートとなる生徒一人ひとりへのタブレット配付にあたり、昨年度とは以下の3点が異なります。
  1. 対象となる生徒数が増えました。(昨年度:約250名 → 今年度:約310名)
  2. タブレットを配付する時期を早くしました。(昨年度:7月中旬 → 今年度:5月末)
  3. タブレットを汎用機(iPad)から学習専用機に変えました。
    (ネット接続等の安全性が高まり、生徒が使える学習コンテンツも豊富に)
 こうした背景には、学校の先生方や保護者の方に取り組みの意義や安全性についてご理解いただき、その上で、生徒たちが自ら進んで思う存分学ぶことができる学習環境を提供したい、という思いがあります。
 当日の授業(1クラス1コマずつ、2校合わせて9クラス分を実施)では、まず取り組みの概要について岐阜西中学校では松巾校長先生から、藍川中学校では松岡教頭先生から、お話しいただきました。その後、ベネッセ教育総合研究所の岡部から、タブレット教材の使い方や役立つ活用法などについて説明しました。
当日の授業の様子
さっそくタブレットに取り組む生徒たち
 配付当日から、授業中はもちろん、昼休みまで使ってタブレットに取り組む生徒をたくさん見かけました。約310名の生徒の学びが、いつ何をきっかけに変わっていくか? 生徒たちが残す学習記録を手掛かりに、先生方や保護者の方と一緒に考えていきたいです。(岡部 悟志)