電子書籍の読書履歴データを活用した研究の取り組みについて

子どもたちにとっての読書の効果

子どもたちには、読書に親しみ、さまざまな人の考え方や生き方に触れたり、新しい知識をたくさん身につけたりして、豊かな学びを体験してほしいもの。携帯電話やスマートフォンの普及により、子どもたちの活字ばなれを懸念する声がある一方で、読書に関連する調査によると、読む本の冊数は増えているという結果もあります。
ところで、本を読むことは豊かな学びにつながる、さらには知的な発達によいということが世の中では信じられています。それは本当でしょうか。大人たちは、子どもに本を読むことを積極的に勧めます。しかし、その効果を示す十分なデータがあるわけではありません。これまでも、さまざまな手法で読書の効用を調べる試みがなされてきましたが、読書をしている子どもが学力が高かったとしても、それは読書の効果なのか、頭の良い子どもが読書に親しみやすい結果なのかは分かっていません。

読書の効果を測る研究

そこで、私たちは、電子書籍の読書履歴と、学力テストやアンケート調査の結果を紐づけて、子どもたちの複数年にわたる変化を追跡する研究を行うことにしました。『進研ゼミ』の教材には、小・中・高校生約85.6万人、毎月平均38.6万人の子どもたちが利用する電子書籍のサービスが組み込まれています(2019年9月現在)。この利用データからは、子どもたちがどのような本をどれくらい読んでいるのか、どのような読み方をしているのかを知ることができます。今回はこのデータを用いて、読書の量や質が、さまざまな資質・能力の形成にどのような影響を与えているのかを検証します。電子書籍という実測データだからこそできる、そんな実証研究です。

「電子図書館まなびライブラリー」について

「電子図書館まなびライブラリー」については下記をご覧ください。
https://www.benesse.co.jp/zemi/ml/

研究の枠組み

研究の枠組み