2013/11/13
第1回 : 学校外教育費の支出格差はどのようなタイプの活動から生じるか?[2/4]
3.活動タイプ別の学校外教育費
1)活動タイプ別学校外教育費平均支出額の変化
図1、図2は、活動タイプ別に学校外教育費の平均支出額を示したものである(注2)。学校段階の上昇とともに学校外教育費が増加する活動タイプと、学校段階が上昇しても学校外教育費があまり増加しない活動タイプに分かれることがわかる。学校段階の上昇とともに学校外教育費が増加しているのは、図1のタイプ①、②、③、④、および図2のタイプ⑨、⑩、⑪、⑫である(図中、赤い枠線で囲った活動タイプ)。これらのタイプは表1が示すように、教室学習活動を経験しているタイプである。つまり、塾等に通っている場合には、学校外教育費が学年とともに増加するが、塾等に通わない場合は学校外教育費の伸びは小さいといえる。
次に、学校段階別にみてみよう。未就学児の段階では、すべての活動を行うタイプ①が突出して支出額が多い(27,300円)。また、タイプ②、タイプ③、タイプ⑨など3つの活動を行っている場合の学校外教育費も多く、15,000円以上となっている。その他のタイプは、1万円前後のグループ、3,000円~8,500円のグループに分れている。小学校1-3年生になっても、傾向に大きな変化はない。ただし、タイプ⑤、⑩、⑬などのスポーツ活動を行っている場合に、学校外教育費が伸びている。小学校4-6年生になると、活動タイプ別の支出額の差が大きくなり始める。教室学習活動を経験しているタイプ①、②、③、④、⑨、⑩、⑪が学校外教育費2万円以上となっている。また、家庭学習活動とスポーツ活動、芸術活動を組み合わせたタイプ⑤、⑥、⑦、教室学習活動のみのタイプ⑫、スポーツ活動と芸術活動のタイプ⑬が1万円台となっている。
中学生になると、教室学習活動を行うか否かによる学校外教育費の差が明確化する。教室学習活動を行っている場合、タイプ①②③④は3万円以上、タイプ⑨⑩⑪は25,000円以上と学校外教育費が高額となっている。また、教室学習活動のみのタイプ⑫も小学校4-6年生に比べると、支出額の伸びが大きい。他方で、教室学習活動を行わないタイプの学校外教育費はあまり伸びていない。高校生段階になると、この傾向がさらに明確化し、学校外教育費35,000円以上のタイプ①、②、③、④、2万円~3万円台前半のタイプ⑨、⑩、⑪、⑫、17,000円以下のそれ以外のタイプに分れている。もっとも高額のグループは教室学習活動と家庭学習活動の双方を、次に高額なグループは教室学習活動を行っており、最後のグループはいずれも行っていない。
以上のように、教室学習活動を行うか否かが、学校外教育費総額に大きな影響を与えていること、またその傾向は学校段階が進むほど顕著であることがわかる。
注2)学校外教育費は、支出額の範囲が大きいため、外れ値を決めることが難しい。ただ、ケース数が少ないカテゴリーの支出額への影響を避けるため、スポーツ活動、芸術活動の支出額については8万円より多いケースを、教室学習活動、家庭学習活動については10万円より多いケースを分析から除外している。