(ページの下部に「プログラミングで育成する資質・能力の評価規準(試行版)」へのリンクがあります)

「プログラミング的思考」とは

文部科学省によると、「プログラミング的思考」とは、「コンピュテーショナル・シンキング」の考え方を踏まえつつ、プログラミングと論理的思考との関係を整理しながら提言された定義である、とされ、次のように定義されています。

「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

「プログラミング的思考」とは、簡単に言うと、コンピュータやプログラミングの概念にもとづいた問題解決型の思考です。例えば、コンピュータで処理する対象を細かくして実行しやすくしたり、それらの処理を実行するために繰り返しや条件分岐を用いたりします。大きなプログラムを開発する場合は、処理できる単位を細かくして実行しやすくします。

この考え方は、社会問題の解決においても同様に活用することができます。複雑な問題を小さな単位に分割して解きやすくしたり、問題の中でも適切な側面だけを取り上げるなど、現実社会の問題解決にも応用できる思考能力ということができます。

主に小学校段階におけるプログラミング的思考

ベネッセコーポレーションでは文部科学省より示された「プログラミング的思考」の定義をもとに、内容を整理しました。整理した「プログラミング的思考」より4つの要素を紹介します。

分解
大きな動きを解決可能な小さな動きに分けること。特に複雑な問題の場合には、解決できる小さな問題に分解して、問題を解決しやすくする。
<具体例>
・サンドイッチを作るとき、パンを並べる、バターを塗る、マスタードを塗る、などの活動内容を書きだすこと。
・正多角形の作図においては、正多角形が持っている「辺の長さがすべて等しい」、「角の大きさがすべて等しい」、「円に内接する」、「中心角の大きさがすべて等しい」などの正多角形の意味や性質など。
抽象化
目的に応じて適切な側面・性質だけを取り出し、他の部分を捨てること。
<具体例>
・サンドイッチを作る活動内容の中から、目的に応じて必要な内容だけを選ぶ。
・正多角形の作図においては、内角と辺の長さで作図する場合は、正多角形の意味や性質の中から、「辺の長さがすべて等しい」「角の大きさがすべて等しい」とう意味や性質を選ぶなど。
一般化
ものごとの類似性や関係性を見出すこと。さらにそれを別の場合でも利用できる内容にすること。一般化することで予想しやすくなったり、より汎用的に問題を解くことができる。例えば、順序や規則性、属性情報を見出すことで、次の「組合せ」のパターンを選ぶことができる。
<具体例>
・順序がある⇒順次(組合せ)
・規則性がある⇒繰り返し(組合せ)
・属性情報がある⇒条件分岐(組合せ)
組合せ
目的に合わせて試行錯誤しながら、明確でより良い手順を創造すること。組合せ方法には「順次」、「繰り返し」、「条件分岐」などが含まれる。
<具体例>
・効率的にサンドイッチを作るために、いくつかの具材の調理等の作業を並行で行う。
・正多角形の作図においては、例えば1辺が10cmの正三角形であれば、10cm右に進み、左に120度向きを変えている、それを3回繰り返しているなど。「組合せ」を使った実践事例
算数「偶数と奇数のカード手品」
算数「概数(四捨五入)」
算数「かけ算の筆算の仕方」
算数「小数のわり算」

「順次」を使った実践事例
算数「色板でかたちづくり」
算数「合同な図形」
体育「たいそうのうごき」
生活「めいれいのじゅんばん」
音楽「音のひびきをかんじとろう」
算数「空間内の点の位置の表し方」(小4・実践事例)

「繰り返し」を使った実践事例
算数「正多角形の性質」(小5・指導案)
音楽「リズムづくり」(小2・指導案)
総合「くりかえしのあるめいれい」

「条件分岐」を使った実践事例
理科「水溶液」
算数「三角形」
理科「電気を通すもの、磁石につくもの」
理科「昆虫を調べよう」
理科「植物の発芽と成長」

「プログラミング的思考」を育むプログラミング教育の流れ

ここまでは「プログラミング的思考」の各要素について説明してきました。「プログラミング的思考」を育成するためには、学習の流れの中でそれらをどのように位置付けるのかが大切です。以下の図は、一般的な問題発見・解決の流れと「プログラミング的思考」を育むプログラミング教育の流れを対比させて示したものです。

 

プログラミングで育成する資質・能力の評価規準

ベネッセでは、文部科学省が示した「プログラミング教育を通じて目指す育成すべき資質・能力」の枠組みや海外の事例を参考に、大学・企業・NPOなどに属する有識者と協力して、プログラミングで育成する資質・能力の評価規準を、三つの柱(知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等)別に整理しました。

ベネッセコーポレーションは、引き続き実証授業などを通した評価規準の改善、評価と指導の一体化に関する研究を行っていきます。また実証授業にともない、この評価規準も継続的に改善しながら、より教育現場に即した情報を提供していくことを目指していきます。

第2版「プログラミングで育成する資質・能力の評価規準(試行版)」Ver.2.0.0(2018/8/31版)
【第2版監修者(敬称略)】中川 一史(放送大学)【第2版実践協力者(敬称略)】井上昇(柏市立大津ヶ丘第一小学校)、金子和男(柏メディア研究会)、山中昭岳(さとえ学園小学校)、清水匠(茨木大学教育学部附属小学校)、津下哲也(備前市立香登小学校)、戸田市教育委員会、大阪市教育委員会、柏市教育委員会、柏メディア教育研究会
【第1版監修者(敬称略)】赤堀 侃司(東京工業大学名誉教授)、小泉 力一(尚美学園大学)、中川 一史(放送大学)、森本 康彦(東京学芸大学)、石戸 奈々子(NPO法人CANVAS)、阪上 吉宏(株式会社エデュテクノロジー)、日本マイクロソフト株式会社
※所属は各版の公開時のものであり、現在の所属とは異なる可能性があります。

第1版「プログラミングで育成する資質・能力の評価規準(試行版)」Ver.1.0.0(2017/5/27版)
【監修者(敬称略)】赤堀 侃司(東京工業大学名誉教授)、小泉 力一(尚美学園大学)、中川 一史(放送大学)、森本 康彦(東京学芸大学)、石戸 奈々子(NPO法人CANVAS)、阪上 吉宏(株式会社エデュテクノロジー)、日本マイクロソフト株式会社