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2023/12/21
【医師監修】指しゃぶりをするのはいつまで?やめさせる方法や長引く場合の影響は
赤ちゃんが指しゃぶりをしている姿をかわいく思いつつも「ちょっとしすぎかも」と心配されるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
指しゃぶりは、成長プロセスの中の自然な行動。心配しすぎることはありませんが、あまりに長引くと、歯並びへの影響など気になるかもしれません。
指しゃぶりの原因や時期、長引く場合の対応法、気になる歯並びへの影響まで、東京医科大学教授で小児科がご専門の山中岳先生監修のもと解説します。
監修者
山中 岳 先生
子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さまの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。
指しゃぶりはいつからいつまですることが多い?
指しゃぶりは、生後2〜4か月ごろから始まることが多く、成長とともに自然に減っていきます。一般的には、次のようなプロセスとなります。
● 生後2〜4か月ごろ
指しゃぶりをするようになる。
● 1歳ごろ
つかまり立ちや一人で歩くことができるようになるにつれ、手を使う必要があるため、指しゃぶりの頻度が減っていく。手持ち無沙汰な時や、眠い時にのみ見られるように。
● 3歳以降
起きている時は、ほぼ見られなくなる。寝る時にクセとして指しゃぶりをすることがある。
指しゃぶりをするようになる。
● 1歳ごろ
つかまり立ちや一人で歩くことができるようになるにつれ、手を使う必要があるため、指しゃぶりの頻度が減っていく。手持ち無沙汰な時や、眠い時にのみ見られるように。
● 3歳以降
起きている時は、ほぼ見られなくなる。寝る時にクセとして指しゃぶりをすることがある。
赤ちゃんの発達は個人差が大きいため、上のプロセスとは異なることもあります。いずれにせよ、指しゃぶりは成長過程における生理的な行動であるため、心配しすぎなくても大丈夫です。
指しゃぶりをする理由は?
赤ちゃんが指しゃぶりをするのには、次の2つの理由があります。いずれも、どんな赤ちゃんにも見られる生理的な行動です。
理由1:指や手の存在を確認するため
指しゃぶりが見られるようになったころの赤ちゃんは、口のそばにきた指やものをなんでも無意識に口に入れてしゃぶります。これにより、ものの存在や形や感触といった性質を確認しているのです。指しゃぶりをするのも、自分の指や手の存在を確認したり、形や味を学習したりしていると考えられます。
口の周りに触れた物をなんでもしゃぶることは、目と手の協調運動を学ぶことにもつながります。
理由2:気持ちが落ち着くから
手持ち無沙汰で退屈な時や眠い時、不安を感じている時に、指しゃぶりをすることで気持ちが落ち着くと言われています。
退屈や不安と聞くと「寂しい思いをさせている?」と心配されるかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、日常的にどんな赤ちゃんでも感じる当たり前の感情なので不安に思う必要はありません。
指しゃぶりが長引く影響は? 歯並びに関係する?
指しゃぶりが長引くと心配になることもありますよね。歯並びへの影響が気になるかたもいらっしゃるでしょう。
日本小児歯科学会によると、指しゃぶりは3歳ごろまでは特に禁止する必要はないとのことですので、あまり神経質になりすぎなくて大丈夫です(※1)。
日本小児歯科学会によると、指しゃぶりは3歳ごろまでは特に禁止する必要はないとのことですので、あまり神経質になりすぎなくて大丈夫です(※1)。
指しゃぶりが長引く場合は、お子さまの不安や緊張が強いのではないか、または愛情が不足しているのではないかと心配されることもあるかと思いますが、クセになって習慣化してしまっているだけの可能性が高いです。
歯並びへの影響
指しゃぶりは、3歳ごろまでは特に禁止する必要はないのは前述のとおりです。しかし、それ以降も強い指しゃぶりがある場合は、歯並びに影響する可能性があります。
強い力で指をしゃぶることで、口の中の圧力が高まることや、歯や頬の筋肉に力がかかることで次のような影響があることが指摘されています。
● 上の前歯が前に出て、出っ歯につながる
● 上下の前歯がかみ合わず、スキマができる開咬(かいこう)につながる
● 開咬により、舌足らずな発音になる
● 口呼吸をしがちになる
● 上下の前歯がかみ合わず、スキマができる開咬(かいこう)につながる
● 開咬により、舌足らずな発音になる
● 口呼吸をしがちになる
長引く指しゃぶりが気になる場合は、小児科や小児歯科で相談してみるといいですね。
指しゃぶりを少しずつやめられるようにするには?
3歳までは指しゃぶりを無理にやめさせなくてもよいのは前述のとおりですが、4歳を過ぎても、頻繁に指しゃぶりが見られるようであれば、クセになってしまっている可能性も。指しゃぶり以外のことに意識が向くようにして、徐々に指しゃぶりをやめられるようにしていけるといいでしょう。
ですが、指を口から無理やり抜いたり、強い言葉で禁止したりするのはNG。次のような方法を試してみてください。
● 外遊びや運動でエネルギーを発散させる
外遊びや運動をしている最中は、夢中になるため指しゃぶりをしている余裕がありません。また、思い切り体を動かすことはエネルギー発散になるもの。寝付きもよくなり、寝るまでの指しゃぶりも軽減できるかもしれません。
● 手を使う機会を増やす
手持ち無沙汰になると、つい指しゃぶりをしてしまうことが多いものです。そのため、積み木や折り紙、パズルなど手を使う機会を増やしてみましょう。集中して手先を使うことで、指を口に持っていくことを防げるでしょう。
● 安心して寝付けるようにする
子どもは、暗い部屋や眠りに落ちることに不安を感じやすいものです。そのため、指しゃぶりで気持ちを落ち着かせようとします。指しゃぶりをしなくても安心できるよう、寝付くまで添い寝をしたり、背中をさすったりしてあげられるといいですね。
● 優しく言葉で説明する
言葉でのコミュニケーションが取りやすくなっている場合は、指しゃぶりをしないほうがいい理由を優しく説明してあげるのもいいですね。「バイ菌がお口に入っちゃうよ」「歯がきれいに生えなくなっちゃうよ」とわかりやすく説明してあげましょう。
まとめ
指しゃぶりは、成長過程での自然な行動。モノの存在を確認したり、気持ちを落ち着かせたりすることに役立ちます。そのため、3歳までの指しゃぶりはやめさせなければと神経質になりすぎなくてOK。4歳になっても長引いている場合は、歯並びに影響が及ぶケースもあるので、指に意識が向かないようにするサポートを心がけましょう。その際は、無理強いすることなく、自然に指しゃぶりを卒業できるように働きかけられるとよいですね。
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