本当は怖い「いびき」。お子さまは大丈夫?

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実は私、小学1年生までの記憶がないんです……と言ったらみなさんは驚きませんか? もちろん、記憶がないくらいなので成績も最悪。当時、親は真剣に自分の将来を心配していたようです(笑)。

その原因は、みなさんも聞いたことがあるかもしれない「睡眠時無呼吸症候群」。寝ている時に激しく苦しそうな「いびき」をかき、30秒に1度くらい「クァッ!」というような音を出して呼吸が止まります。 睡眠中だから寝ている本人は気付けないのですが、たびたび呼吸が止まるような状況で脳が休まるはずはありません。とくに人間の記憶は寝ている間に整理されます。とくに私はひどい症状だったらしく、だから今でも小1までの記憶がまったくないのです。
しかも、怖いデータがあります。

有病率は100人に2人程度。実は身近な病気です。
子どもに多い病気です(リンパ腺が発達する時期のため)

では、具体的にどんな状況であれば「睡眠時無呼吸症候群」を疑ったほうがよいのでしょうか?
まず「無呼吸」とは10秒以上の呼吸停止と定義され、この無呼吸が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上あるかたは睡眠時無呼吸症候群と診断されます。「いびき」は舌のつけねがのどに落ち込んだり、リンパ腺が肥大したりするなどして、気道がふさがれることで起こります。よって、日常的に「いびき」をかく人は程度の差こそあれ、睡眠の質は良くないと考えてよいでしょう。

次に、自覚できる症状です。「いびき」がひどいうえに、以下のような状況であれば疑ってみる必要があります。

夜中に起きる回数が多い。
朝の目覚めが悪い。何時間寝てもどうも頭がすっきりしない。
昼、集中していなければならない時に眠気がある。

では、これらの状況から何が起こるのでしょうか? まずは子どものころの私のように、記憶力が減退します。しかも昼間、激しい眠気に襲われることがあるため、授業に集中できません。要するに、たかが「いびき」で大切なお子さまの将来が大きく変わってしまうこともあり得る、ということです。そして、重要なこと。

「睡眠時無呼吸症候群」の判断は一般のかたには難しいので、最終的には耳鼻科や睡眠外来、小児科などにかかり、医師の判断を仰いでください。

そう、疑わしいと思ったらご家庭で安易な判断を下さないでほしいのです。そして、たとえば扁桃腺(へんとうせん)を切るなどの手術をすれば、この病気は克服できるのです。
さらに、付け加えたいことがあります。この「睡眠時無呼吸症候群」は、当然ですが、子どもだけの病気ではありません。放っておくと心臓病、脳卒中、眠気が原因の交通事故などで大人の身体をも脅かします。とくに肥満気味のかたは首の肉で気道がふさがれ、「睡眠時無呼吸症候群」に陥りやすい傾向があります。あなたの家族にも注意が必要なのです。さらにはあなた自身にも──。

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