うちの子は、計算まちがいがなくならないんですが、
これを改善する方法なんてあるのでしょうか・・・。
うちの子も同じ。そそっかしいのは性格だから、
もう無理なのかと。
うちも、本人は自信満々なのに採点してみると、
ケアレスミスが多い。
これも、お母さんたちがよく陥りがちなところ。この中で、家で計算練習をするとき、時間を計ることをしているお母さんは?
うちは、ストップウォッチで計っています。「早く正確に!」と口癖のように言っています。
それじゃ、お子さんは事故を起こして当然だ。
事故?
車の免許をとったとき、教習所に行ってすぐに、スピードを出せって言われましたか? アクセルとブレーキをまちがえてしまうようなレベルの初心者に、「どんどん飛ばして!」なんて指導する教官なんていなかったでしょう(笑)?「もう少しスピードを出して!」と言われるようになるのは、運転技術が一定に達してからです。計算も同じですよ。
でも、「計算は早く正確に」って言われますよね?
いやいや、それを言うなら「正確に早く」です。この順番がすごく大切。まずは「ゆっくり正しく解く」。これが基本。スピードを求めるのは、一定の計算力がついてからでいいんです。この順番が逆になってしまっている親御さんやお子さんは本当に多い。これでは、結果的に不正解がつづいて、お子さんは自信を失ってしまいます。交通事故を起こした人が、車の運転を苦手に思ってしまうのと同じです。
ちょっと反省・・・。
子どもがそそっかしい性格なのではなくて、私が、そそっかしくなるようにしていたのかも。
「ゆっくりでいいから、まちがえないように計算してごらん」という一言で、計算まちがいがグッと減る子はたくさんいますから、今日からは、ぜひそう言ってあげてください。
うちは、割と「ゆっくりでいいよ」と言っているのですが・・・。
「正確に早く」ができるようになったら、「見直す」ことが大切です。常に完璧な人間なんていないんですから。
それもよく言うのですが、うちの子は、自分でまちがいが見つけられなくて…。だから、私が「このあたりにまちがいがあるよ?」と言ってあげるようにしています。
大切なのは、それを言うタイミングですね。誰だって、自分が書く答えは「正しい」と信じているから、そう書くんです。だから、それを自ら「疑う」のは簡単なことではありません。でもだからといって、お子さんが十分に見直す前に、お母さんがまちがいを指摘してしまい、それにお子さんが慣れてしまうのは問題でしょう?だって、お子さんがテストを受けるときに、お母さんは付き添えないんですから。まずは、お子さんに自分の答えを疑う癖をつけさせることが大切。それができるようになって、それでもまちがいが見つけられないようなら、お母さんが見直す場所を指摘してあげてもいいと思います。
そうですね、今日から気をつけます(苦笑)
私もストップウォッチはしばらく、しまっておきます。
そそかっしいのは私のほうだったのかもしれません。
先生、今日は本当にどうもありがとうございました!
「つまずき」は成長のチャンス!算数や数学を「条件反射丸暗記」的な教育で育ってきた人は、「つまずき」をほとんど意識しません。本当の意味で数学が得意になる可能性をもつ人は、「つまずき」に対して敏感なのです。私自身、特に子どものころは、「なぜ?」「どうして?」と引っかかってしまうことが多く、大いにつまずいてきました。でも、その「つまずき」は、解消できると「成長」に変わります。したがって、お子さんの「つまずき」に落胆するのではなく、「成長のチャンス」と捉え、家庭での算数の学習に向き合ってみてください。
芳沢光雄(よしざわ みつお)先生 桜美林大学自然科学系リベラルアーツ学群教授。理学博士。算数・数学の面白さを訴え、考える力と理論力の重要性についての啓蒙活動に励んでいる。『算数が好きになる本 算数を学ぶ意味と方法がわかる(世の中への扉)』、『算数・数学が得意になる本』など著書多数。
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