2020年度からの学校の教育はどう変わるの?

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2020年度から学校の教育課程が新しくなり、子どもの学びも変わろうとしています。保護者のみなさんは「何年生から?」「何がどう変わるの?」と不安に感じている方も多いと思います。今回は、主に2020年4月からスタートする小学校での学習指導要領に着目して、具体的に何が変わるのかをご紹介します。

幼児教育から大学教育まで

グローバル化や科学技術の進展など、社会が早いスピ—ドで変化していく中で、今の子どもたちがこれから先の社会を生きていくために大事な力。それは、用意された一つの正解にできるだけ早くたどり着く力ではなく、自ら課題を発見し、さまざまな価値観の人たちとともに、納得できる解決策を生み出し、行動する力です。2020年度からいよいよ始まる「新学習指導要領」による学校での教育は、そうした力を育成することを目的にしているのです。

今回の教育制度の変更は、幼児教育・小~高校での教育・大学入試・大学教育を全体的に変えていこうとする、国が本気で取り組むとても大きな制度変更です。

子どもが主体的に学ぶことを重視

2020年4月から小学校で施行される「学習指導要領」で、重視されているポイントの一つは「思考力・判断力・表現力」の育成です。これらの力は、さまざまな課題を解決するために必要な力だからです。考えを深め、課題の解決策を導き出すための材料や手段として、「知識や技能」を習得することはもちろん大事ですが、脈絡のないままただ知識を詰め込むような教育ではなくなっていきます。国語や算数などの教科の授業のなかで「なぜ○○なんだろう」「どうしたら□□ができるだろう」といった「問い」をたて、それを解決していくような授業が増えます。そのため、授業のスタイルも変わっていきます。保護者が小学生時代に経験したような、先生が黒板の前に立って、一斉に授業を行うスタイルだけでなく、「問い」を解決するため、となりどうしや3~4人のグループで意見を交換し合い、解決策を導き出していくような授業がすでに行われ始めています。

子どもが主体的に考え、周囲の仲間と対話をしながら、考えを深められるような授業に変えることで、思考力・判断力・表現力を高めていこうとしているのです。

プログラミング教育が始まる

例えば、料理で目玉焼きをつくるろうとしたら、どのようなどのような手順を考えますか?まずは、ボールに生卵を割って入れ、フライパンに油をひき、コンロでフライパンを温め、温まってきたら、その上に卵を落とし、、、という手順が頭に浮かびます。「○○したい」という目的に向かって、手立てを分解し、手順を試行錯誤しなが目的を達成すること。これがプログラミング的思考なのです。小学校でもこのような思考法を、各教科の授業の中で身に着けていきます。AIなどが発達していくこれからの社会では、情報技術を活用できるようになることは不可欠でしょう。そのため、小学校から「プログラミング的思考」を学び、複雑な課題をとらえやすく分解し、解決の手順を考え、コンピュータを活用しながら解決できる力を身につけることが大事になります。

英語が「教科」としてスタート

グローバル化が進むと、多様な人々と関わりながら生きていくことが当たり前になります。そうした人たちと関わるためにも、英語によるコミュニケーション能力の育成は必要です。早くから英語にたくさんふれることで、英語を生きた言葉として使えるようにすることが、小学校から英語を導入する目的です。具体的には、3、4年生では、週1コマ「聞く」「話す」を中心にあいさつや身近な会話などに慣れ親しみます。5、6年生では、教科として英語の授業がスタートします。「聞く」「話す」に加え、「読む」「書く」の活動も始まり、成績もつきますが、中学校のように単語を覚えて書いたり文法を暗記したりする、という授業ではありません。中学に行って「もっと英語を学びたいな」という子どもたちを育てていくことが小学校での英語ではとても大切です。

いままでお話してきたことは、2020年からいきなり変わるわけではなく、すでに今の小学校の中でも始まっています。お子さまに授業の様子を聞いたり、授業参観で実際にお子さまの学ぶ姿をご覧になったりするなどして、ぜひ、その変化を実感していただきたいと思います。

プロフィール

小泉和義