小学校入学準備編 料理に対する子どもの関心を高めるコツ[食育につながるワンポイント]

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「家庭でできる食育」とはなんでしょうか。管理栄養士・医学博士であり、テレビや雑誌などで広く活躍されている本多京子先生にお話を伺います。

料理教室に連れて行けば大丈夫?

小学校への入学を機に、子どもを家事に参加させたいと考える保護者も多いようです。もちろん、料理への参加もその一つ。火や刃物を使うため、すぐにすべての調理工程に参加させるのは難しいかもしれませんが、できるところから少しずつ、という思いを持っているのではないでしょうか。
そのためにも、子ども自身の料理への関心を高めることが大切です。そこで、最近では親子で料理教室に参加したり、また地域で開催される食育関連のイベントに積極的に参加したりする親子が増えているようです。
しかし「料理教室に連れて行くと、その時は興味深く取り組んでいるけれど、家に帰ってから実際に料理を手伝おうとしない」「郷土の伝統料理を学ぶなど、地域のイベントは確かに楽しいけれど、家で普段つくる料理とあまりに違うので、家に帰ってから再現できない」といった声も聞かれます。

「食に関するイベントや行事は近年盛んに行われていますが、そこで得たものをそれぞれの家庭でどう生かすか。これは食育の大きな問題の一つです」(本多先生)
食に関するイベントに参加しても、子どもにとってそれはあくまで特別な出来事であり、日常の生活と結びついていないことが多い、と本多先生は指摘します。
「料理教室に通ったり、イベントに参加したりすることも良いことですが、それだけでは『楽しかったね』で終わってしまいます。やはり普段の生活でいろいろ工夫することが大切です」(本多先生)

家庭での普段の食事に工夫を

料理教室やイベントの参加はあくまできっかけづくりであり、それを日常的な食への興味・関心へとつなげていくことこそが保護者の役割と言えそうです。
「料理教室で習ったことがあれば、家で食事をつくる時に『このあいだ習った千切りをやってみて』と声をかけるのも一つです。郷土の伝統料理をつくったのであれば、それを完全に再現する必要はありません。その一部分でも十分だと思いますよ。保護者もイベントに参加したなら、その内容を咀嚼(そしゃく)して、家の手伝いにつなげていくことが大切です」(本多先生)

料理教室やイベントに参加しなくても、子どもの食への関心をもっと気軽に高める機会がある、と本多先生は説明します。
「それは給食です。給食の献立表を見て、『どれがおいしかった?』『どんな材料を使った料理だった?』『嫌いなにんじんは食べられた?』『それはどんな切り方・味付けしていたから?』などと話題はたくさんあります」(本多先生)
子どもの話を聞いて、興味を持ったものは実際につくってみてはどうでしょう。学校で食べているものを家でもつくって「どっちが好きだった? それはなぜ?」など、さらに話が広がるはずです。子どもの給食の献立表に関心を持ち、親子で話すことは、食育の大切な機会なのです。

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