友達とゲームばかり。このまま成長して友人関係が築ける?[教えて!親野先生]

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今週の相談

小学1年生の息子ですが、友達と遊ぶのも、すべて手元で持つゲームです。公園などで遊ぶこともなく友達と集まってもみんなでゲームをしています。家では、1時間と決めてさせていますが、友達といると、なかなかむずかしいです。友達との関係も、ゲームを通じての会話や遊びになっているようで、このまま成長して、うまく友人関係が築いていけるのか心配です。よきアドバイスをおねがいします。(ちゃちゃんママさん)

【親野先生のアドバイス】
ちゃちゃんママさん、拝読いたしました。

これは、今とてもよく見られる光景ですね。せっかく一緒にいる子どもたちが、みんなそれぞれのゲームに没頭している。体を動かすでもなく五感を使うでもなく、活発に働いているのは目と指だけ。会話するでもなく遊び方の相談をするでもなく、怒るでもなくけんかするでもなく、お互いただそこにいるだけ。

「子どもってそんなものじゃないでしょ!」と言いたくなるのは、大人として当然のことです。でも、そういう子どもたちにしたのは間違いなく、今の大人たちなのです。ですから、これはその子だけの問題というより、今の子どもたちみんなの問題として考えていく必要があると思います。

私は、まず、子どもたちが豊かな友達体験をもてるようにしてやることが大切だと思います。そのために必要なのは時間と場所です。
たとえば、学校の休み時間を増やすとか、学校や公園に最高に安全で魅力的な遊具を用意するなどが必要です。学校の休み時間ならゲームでは遊べませんから、集団で関わり合いをもちながらする遊びをたくさん体験することができます。
また、ゲームに負けないくらい魅力的でしかも最高に安全な遊具があれば、もっと学校や公園で体を使って集団で遊ぶ子どもたちも増えるのです。
それと、子どもたちがもっと自然に親しんだり五感や体を使って活動したりできる場所も必要です。というのも、そういう活動のなかでこそ、豊かな友達体験も可能になるからです。

それと同時に、各家庭でも子どもが豊かな友達体験ができるようにしてやることも必要です。ブロックや粘土などの創造的な工夫ができるものは、やり始めると面白いものです。一度その面白さがわかると、創造的な活動は子どもにとってゲームよりも大きな魅力があるのです。そして、友達と一緒に作ることで楽しい関わり合いがもてるようになります。
人生ゲームなどのボードゲームも、大勢で関わりながら楽しめます。トランプやウノなどのカードゲームも、面白さがわかると今の子どもたちもけっこう熱中します。これらについては、食わず嫌いで面白さを知らない子が多いようです。うまくリードして興味をもたせてやるといいと思います。

友達体験を増やすために、学童保育やスポーツ少年団に入れるという方法もあります。
ただ、学童保育は、需要に供給が追いつかなくて倍率が高いところが多いようです。
また、スポーツ少年団は、親にかなり時間的な余裕がないと対応できないところが多いようです。そのあたりが解決できれば、この二つは友達体験を増やすという点で大きな効果があると思います。

次に、サマーキャンプ、子どもセミナー、山村留学、子ども体験教室、子ども合宿、子ども体験ツアーなどに参加させる方法もあります。お金がかかるところもありますが、自治体やNPOが主催のものなら比較的安くてすみます。
時間としては短くても、さまざまな活動をとおして見ず知らずの子どもたちと知り合いになっていく過程は、子どもにとって得難い体験になります。

最後に、一つ強調しておきたいことがあります。
それは、ゲーム依存をなくすためには、親子や家族のコミュニケーションを深めることがとても大切だということです。
たとえば、食事のときにはテレビを消して会話を弾ませるとか、家事などの共同作業を増やすとか、一緒に遊んだり触れ合ったりする時間を増やすなどです。
また、コミュニケーションを兼ねながら、五感を使った本物体験や楽しみながらの楽勉に心がけるといいでしょう。

このようなことが少ないと、その穴埋めにゲームに走ることが多くなってしまいます。
親子や家族のコミュニケーションが少ない子ほどゲームにのめり込みやすい、という調査結果が既にはっきり出ています。一度にすべては無理ですが、ぜひ、できるところから始めてみてください。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。ちゃちゃんママさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等