2017/03/29
[第4回] 主体的・対話的で深い学びを実現するために、教員はどう取り組めばよいのか [3/4]
Q. 思考を活性化するためには、ICTをどのように使うと効果的でしょうか?
A. 学習活動のプロセスが可視化されることで、これまでは見えなかった活動の評価や指導が可能となります
ICTなどのテクノロジーは、教育の原理と絡めて使うことが重要です。グループワークでは、なかなか全員が参加する活動にならないという悩みをよく聞きます。協働学習では、グループで話し合ったりする目に見える顕在的協働と、目に見える活動ではないけれども、人とのかかわりの中で自己の学びを構成していく潜在的協働がありますが、この潜在的協働はテクノロジーがあることで、より行いやすくなります。ネットワークにつながっていることで、全員の意見が見えるようになり、今まで発言できずに埋もれていた子どものよい意見が取り上げられたり、全員の意見を等しく見て議論ができるようになったりします。これまでの授業では取り上げることが難しかった子どもの姿も、見取ることができるようになるでしょう。一人ひとりの子どもが人の考えを参考にして、自分の考えを高めたり、新たな考えを創出したりすることも促進されます。
また、資質・能力の育成においては、その成長をいかに見取り、評価するのかが大きな課題ですが、コンピュータを使うと容易に思考のプロセスを残せるようになります。それが、主に形成的評価としてプロセスを評価することにもつながっていきます。
そして、これからは、社会に役立つものや新しいものの創出、及び問題解決に、テクノロジーを活用することが必須となるでしょう。
Q. 海外では、どのような学びが行われているのでしょうか?
A. 実際の社会問題にコミットし、社会の中で問題解決をする学びが行われています
海外では、現代的な課題、例えば難民問題や環境問題などのニュースでよく見かける問題にコミットする活動が多く見られます。今、自分たちに何ができるのか、どのように貢献できるのかを考えるのです。また、考えるだけでなく、実際に物を作ったり、募金活動をして資金を作ったりするなど、具体的な活動に取り組みながら、社会の中で学んでいきます。その際、教員は教えるというよりも、子どもと一緒に探究しながら、共に未知の課題に取り組んでいます。
本来、学びとは、社会とつながっているものであると考えます。学校は学校、社会は社会と切り離してしまうと、加速度的に変化が大きい今日の社会では、もはやその動きについていけなくなってしまうでしょう。今、学校で学んでいることが、日常生活や社会に役立つことだと分かると、子どもたちにとっても学びは面白いものになるはずです。
また、社会に働きかけていくことは、問題解決力やコラボレーション力といった資質・能力の育成にもつながっていきます。