子どもと一緒に言語生成AIを体験! オススメ活用法7選

数年前からメディアなどで盛んに取り上げられているAI(Artificial Intelligence:人工知能)。
特に昨年からは、文章を自動的に作れる機能を備えた「言語生成AI」が話題になっています。
言語生成AIを使うと、具体的にどんなことができるのでしょうか?
「文章を作れる」と聞いても、「わかるようで、実はよくわからない…」という人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、アメリカのOpenAI社が開発した言語生成AI「ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)」を使ってお子さまと一緒に楽しむ方法を、文部科学省のICT活用教育アドバイザーを務め、AI活用に詳しい広島工業大学教授の安藤明伸先生にうかがいました。
お子さまと一緒に、AIを使ってみる体験をしてみませんか?

※「ChatGPT」は、13歳未満は使用禁止、18歳未満は保護者の許可が必要と利用規約で定められています。

小・中学生のお子さまが興味を示したときには、必ず保護者のかたが一緒に使いましょう。
お子さまにも、「使いたいときは声をかけて」と言っておくことが大切です。

ChatGPTのオススメ使い方7選

ChatGPTのオススメの使い方7選

ChatGPTは、質問のしかたを工夫することでさまざまな用途に活用できます。
小・中学生のお子さまと一緒に楽しむなら、興味・関心を広げ、発想力を高める手助けになるような使い方ができると素敵です。
そんな目的にフィットする、ChatGPTを使った7タイプの活用法を紹介しましょう。
「どんな答えを出してくれるかな?」「質問のしかたを変えてみたらどうなる?」など、お子さまの想像力アップに役立つ声かけをしながら、一緒に楽しんでください。

1.言葉を変換してもらう
標準語の文章を入力して、「大阪弁に変換してください」「江戸時代の言葉に変換してください」などと頼むと、内容はそのままでそれらしい言葉に変換してくれます。
同じ意味の文章でも、方言や古い言葉に変換するとイメージがだいぶ変わるんだな」と、お子さまの国語に対する関心を高めるきっかけになります。

ChatGPTの特性を知る上でも、自分の地域の方言に変換してみてください。そうすると、自分が使っている方言と微妙に異なることに気が付くはずです。実際の方言とどこが違うのか、間違い探ししてみてください。

2.ストーリーを変換してもらう
「白雪姫のお話を現代風にアレンジして下さい」といった頼み方をすると、条件に合うストーリーをすぐ作ってくれます。
「白雪姫はスマートフォンを持っていること」など細かい条件を設定すると、さらに詳細なストーリーができあがります。
話が難しいときは、「小学生向けにしてください」と頼むと、平易な日本語にしてくれます。
「オリジナルのストーリーとどこが違うのか」を一緒に確認したり、「コメディに変えるにはどんな頼み方をしたらいい?」と話し合ったりと、アレンジを楽しんでみてください。

3.名所や人気スポットを紹介してもらう
自分の住む地域について「〇〇市のオススメスポットを紹介して。そして、そのスポットを効率的に回れるようなルートを教えてください。移動方法と所要時間、運賃も教えてください。」「歴史にゆかりのある場所を知りたい」などと質問すると、オススメの理由とあわせて紹介してくれます。
回答として挙げられた場所を訪れてみるなど、実際のアクションとセットで地理・歴史に対する関心を広げることができそうです。
※紹介された場所が実際にある場所か、正しい情報かは、自治体のウェブサイトなどで確認すると安心です。

4.クイズを出してもらう

お子さまが好きな分野・興味のあることなどについてクイズを考えてもらいましょう。その時に、ChatGPTが回答する型を指定することもできます。例えば
「○○についてクイズを3問出してください。書式は以下のようにしてください。
Q1:(ここに質問)
A:(ここに正答)
解説:(ここに、その問題に関する解説)」

と聞くと、しっかりとこの型で答えてくれます。

AIは「それらしい情報」は作成できますが正誤の判断はしないので、お子さまがその分野に詳しければ、「この解答は正しくない」と見抜ける場合もあるでしょう。
AIの限界を知るのにも役立つはずです。

5.アイデアを出してもらう
「犬を飼う予定なので名前の候補を挙げて欲しい」といったアイデアを募る質問をすると、いくつかの候補を挙げてくれます。その時、ChatGPTに踏まえて欲しい情報を与えることができます。例えば以下のように聞いてみると、AIと楽しいやりとりができそうです。

私の飼っている犬は、以下のような特徴と飼い主としての願いがあります。これらを踏まえて、ふさわしい名前を考えてください。

#特徴
・白いチワワ
・人懐っこい性格

#飼い主としての願い
・小さくても存在感のある犬になってほしい
・長生きしてほしい

6.レシピを考えてもらう
冷蔵庫にある材料を入力して料理レシピを教えてもらう、といった使い方もできますが、「人参を使わずに人参の風味がする料理レシピを教えて」などハードルの高い質問にも答えてくれます。
回答として得られたレシピをお子さまと一緒に作り、AIが正しいかを検証してみるのもよいでしょう。

7.オススメしてもらう
例えばお子さまの好きなお笑い芸人を挙げて、「他に私が好きそうなお笑い芸人を教えて下さい」と質問すると、何人かの芸人(+オススメの理由)を教えてくれます。
知らなかった芸人の名前が挙がってくることもあり、無理なく調味を広げることができます。
作家やマンガ家、声優などお子さまの好きなジャンルで試してみましょう。

使うときに注意したい5つのポイント

使うときに注意したい5つのポイント

ChatGPTに質問や頼みごとをする体験は、お子さまにとっても保護者のかたにとっても新鮮なものになるでしょう。
ただ、お子さまと一緒に使うときには、注意しなければならない点もあります。
保護者として知っておきたい5つのポイントを押さえておきましょう。

1.お子さまが使うときは必ず一緒に
現在の技術では、ChatGPTなど生成系AIの回答から不適切な内容や誤情報を完全に排除することはできません。

しかしお子さまが一人で使うと、間違った情報などをうのみにしてしまう場合もあります。
小学生はもちろん、13歳以上のお子さまでも、「使うときは一緒に」を徹底しましょう。

2.「自分の頭で考える」習慣を伝える
言語生成AIは、こちらが質問したことに対してインターネット上の過去のさまざまな情報を組み合わせて答えを出してくれます。
しかし、その答えが正しいとは限りません。
そこで求められるのが、聞く側の「考える力」です。
「AIはこういう答えを出したけど、あなたはどう考える?」といった声かけを通じて、自分の頭で考える習慣を伝えていくことが大切です。

3.AIの回答内容が正しいかを必ず確認
AIの回答の中には、誤った情報が含まれている場合もあります。
その前提を押さえたうえで、AIが出した回答が正しいか、誤っているならどこが違うのかをインターネットや図書館で一緒に調べてみましょう。
正誤チェックのクセをつけることで、お子さまも「AIは必ずしも正しいわけではないんだな」という事実をしっかり理解できるはずです。

4.個人情報には特に注意を
例えばChatGPTに住所や名前などの個人情報を入力すると、その情報が蓄積され、ほかの人が質問したときに回答の一部として利用される可能性も否定できません。
個人情報が流出する危険もあるので、求められても絶対に入力しないようお子さまと一緒に確認しておきましょう。

5.AIが作成した文章をそのまま使わない
AIはインターネット上の関連のありそうなテキストを組み合わせて文章を生成するため、著作権などのルールを考慮しません。
つまり、AIが作成したものをそのままSNSやインターネットに書き込んだり、学校の宿題として提出したりすると、ルール違反になってしまう場合もあるのです。
あくまで「考えるためのヒント」だということを言い聞かせておきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

ChatGPTは、適切な使い方をすればお子さまの可能性を無限大に広げてくれる頼もしいパートナーになりえます。
ただ、便利であるが故に留意すべき点もあり、思考力や質問力、そして批判力が求められるのも事実です。
お子さまが安全に、楽しくAIにふれるためには、まず保護者のかたが使ってみてはいかがでしょう。
ご自身で体感することで、「こんなふうに使えば一緒に楽しめそう」「ここはちょっと注意が必要かな」といったポイントがわかり、お子さまと一緒に使うときに生かせるはずです。

プロフィール


安藤明伸

広島工業大学教授
文部科学省のICT活用教育アドバイザー。
「小学校プログラミング教育の手引」の作成に参画している。
宮城教育大学名誉教授