コンピューターテクノロジーの幅広い解説書

本書は、発行以来200万部以上販売されつづけている『How Computers Work』の第10版の和訳本です。日本では2015年に発売され、その年、コンピュータ関連の書籍を発行する出版社5社が加盟する「コンピュータ出版販売研究機構(CPU)」が主催する「CPU大賞」で「書店員さんが選んだ第1位」にも選ばれました
さらについ先日も、同じくCPUが主催する「プログラミング書籍品評会」で「プログラミング教育に関する推薦図書10冊」にも選ばれています。

これ一冊で、ハードウェアやソフトウェアの基本的な概念から、パーソナルコンピュータ、最新のスマートフォンや3D映像、3Dプリンターのしくみ、そして今後注目すべき技術まで、幅広くコンピュータ関連の技術を学ぶことができます。

厚さ2.8cm、重さ915gもある重厚な本の中身でまず目を惹くのは、鮮やかで緻密なイラストです。
それらをふんだんに掲載し、箱の中を開けてのぞいてみてもわかりにくいコンピュータのしくみを、波(パルス)の説明から始まって、徐々にハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、そして各技術の活用方法などに発展させて、細かく解説していきます。

本書は7つのPartと、22のChapterに分かれており、非常に幅広い分野をカバーしています。

Part1:コンピューターを支えるサイエンスとハードウェア技術
Part2:ソフトウェア-コンピューターが紡ぐ詩
Part3:コンピューターの進化
Part4:私たちの感覚を広げるコンピューター
Part5:インターネットの誕生と発展
Part6:プリンターがデータを形にする仕組み
Part7:今後の展望

様々な読み方をしてみよう

全部で376ページもある本書は、持ち運んで読むには大変ですし、1ページ目から順に読み進めるタイプの書籍でもありません。
その代わり、据え置いてたまに手に取って読むという楽しみ方ができる本です。

索引から読んでみよう

巻末には記号、アルファベット、五十音で引くことができる18ページ分の索引が用意されています。
この索引で、興味のあるキーワードを見つけて関連する部分から読み始める事ができます。
また、ほかの本や新聞で見かけた気になるコンピュータ関連のことばをこの索引から探して、さらに深い知識を得ることもできるでしょう。

テーマを決めて読んでみよう

本書は非常に幅広い技術や技術の活用法をカバーし、解説しています。
たとえば、「スマートフォン」「写真に関すること」「3D技術」「不正とセキュリティ」「情報と人のネットワーク」など、興味関心が高いテーマを決めて、関連するページはどこか、関連する技術は何か、と本の中を探すような読み方をすると、様々な発見がありそうです。
これはチームで実施しても良いかもしれません。

パッと開いたページを読んでみよう

この本は、どのページを開いても見開きの2ページで区切りよく読めるようになっています。ゲーム感覚で、ランダムにパッと開いたページを読んでみるのも、何かしら新しい発見があるでしょう。
学校ではペア活動で、家庭では親子やきょうだいで、互いに1回ずつ開いてみるのも楽しいかもしれません。

今後の展望コーナーにも注目

本書の最後のPart「今後の展望」では、この『How Computers Work』シリーズを20年間に渡り執筆してきた筆者が、今後注目すべきとする技術を挙げています。
『予測というのは過去から未来を類推した物に過ぎず、後から振り返れば誰も予想しなかった事が起こっている』と言う前置きをしながらも、これから研究の進歩が予測される5分野を教えてくれます。

・量子
・量子ドット
・ディープラーニング
・グラフェン
・3D印刷

これらは2015年の出版当時の予測ですが、なかなかの読みではないでしょうか。

楽しみながらテクノロジーの仕組みを理解できる本

身の回りのテクノロジーの裏側に隠された原理を知ったり、これまで全く聞いたことがないものであっても様々な仕組みの元に作られていることに気付いたり、今後注目される分野のいとぐちだけでも知ったりしておくことは、これからの時代をつくる子どもたちの想像力の翼を広げる一助となることでしょう。
もちろん子どもたちだけでなく、大人たちにも一緒に手に取って美しいイラストを眺めながら様々なテクノロジーの仕組みを理解し、楽しんで欲しい本です。

出版社 SBクリエイティブ
著者 ロン・ホワイト (著), Ron White (著), トップスタジオ (翻訳)
発売日 2015/9/19
ISBN 4797384298
価格 2,916円 (税込)
仕様 376ページ、B5変/フルカラー

出版社による解説はこちら
Amazonの掲載ページはこちら