2010/03/16

授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす—学力向上のための基本調査2008より

報告書の概要

概要

授業と連動させた家庭学習の充実を図ることが、これからの学力向上の重要なキーであるという仮説のもとに、教師・校長の家庭学習充実への取り組みや保護者の働きかけが子どもの総合学力の育成にどのように関わっているのかを探ることを通して、学力向上に向けての総合的な取り組みに資するデータ・知見を提供する。

調査時期

2008年5月15日~6月7日(各校は期間内の任意の日程で実施)

調査対象

[A]子ども調査:小学5年生児童(50校、約 2,941名)、中学2年生生徒(38校、約 4,056名)
[B]教師調査:小学校教諭(220校、877名)、中学校教諭(156校、793名)、小学校校長(220校、209名)、中学校校長(156校、143名)
[C]保護者調査:小学5年生の保護者(50校、2,515名)、中学2年生の保護者(38校、3,640名)

調査方法

北海道・東北・関東・中部・北陸・中国・四国・九州の各ブロックから募った調査協力校小学校 50校、中学校 38校に対して、学校通しの自記式にて実施。なお、全国の元学力向上フロンティアスクールに対しては、教師・校長対象の調査のみを郵送にて依頼。

調査報告書の目次・詳細

※プロフィールは『授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす—「学力向上のための基本調査2008」より』2009年6月発刊時のものを記載しています。
第1章 子どもの家庭学習力を育てる教育の創造
早稲田大学大学院教職研究科教授 田中博之
1 研究課題の設定にあたって
2 子どもの家庭学習力とその理論モデルの提案
3 教師の家庭学習指導力と授業連動力の構想
4 保護者の家庭学習支援力の構想
5 学校(校長)の家庭学習充実力の構想
6 おわりに
第2章 授業改善と結びつけた家庭学習充実の取り組み構造モデルの提唱
-「学力向上のための基本調査2008」の設計と結果概要
2-1 家庭学習充実の取り組みに関する構造モデルの設計
ベネッセ教育研究開発センター主任研究員 田中勇作
2-2 測定問題の設計と実施結果
(株)ベネッセコーポレーション小中学校事業部 アセスメント制作課 郡 宏暢
2-3 子どもの家庭学習と総合学力との関係
ベネッセ教育研究開発センター 小林 洋
2-4 教師による家庭学習充実と授業との連動の取り組み状況
ベネッセ教育研究開発センター 小林 洋
2-5 保護者の学校・授業への意識と子どもへの働きかけの状況
ベネッセ教育研究開発センター 小林 洋
2-6 校長の家庭学習充実に向けた取り組み状況
ベネッセ教育研究開発センター 小林 洋
第3章 「教師の指導力」「家庭の教育力」「学校の経営力」と子どもの総合学力との関係-基本仮説の検証
3-1 教師の指導力と子どもの総合学力の関係
ベネッセ教育研究開発センター主任研究員 田中勇作
3-2 保護者の家庭学習支援力と子どもの総合学力との関係
ベネッセ教育研究開発センター 小林洋
3-3 校長の家庭学習充実に向けた校長の経営力について
ベネッセ教育研究開発センター主任研究員 田中勇作
3-4 家庭学習充実に向けた総合的な取り組みについて
ベネッセ教育研究開発センター主任研究員 田中勇作
第4章 家庭学習充実と授業改善を結びつけた取り組み-実践編
4-1 梅島小学校の「夢プラン構想」実現に向けた取り組み
東京都足立区立梅島小学校前校長 川上 彰久
4-2 思考力・表現力の育成を目指した家庭学習の工夫と授業改善
広島県三次市立三和小学校教諭 愛甲 昌弘
4-3 学習意欲を高め家庭学習の充実につなげた多面的な取り組み
栃木県栃木市立皆川中学校校長 石嶋 和夫
4-4 授業と結びつけた家庭学習の充実
— 習得から探究につなげる活用の授業づくりを通して
大阪教育大学附属平野中学校 井寄 芳春
>> 実践報告に学ぶ
大阪教育大学教授 木原 俊行
第5章 家庭学習力向上への学校・教師の取り組み
-家庭学習力向上へのトータルデザイン
5-1 家庭学習の指導と授業改善をどう結びつけるか
大阪教育大学教授 木原 俊行
5-2 自己マネジメント力が子どもの総合学力を伸ばす
早稲田大学大学院教職研究科教授 田中 博之
5-3 家庭学習充実への校長のマネジメント戦略
兵庫教育大学大学院准教授 大野 裕己
終章 今後の展望と子どもの学力を高める提言10か条
早稲田大学大学院教職研究科教授 田中 博之
1 これからの学力向上教育の方向性
2 イギリスの保護者憲章に学ぶ学校と家庭の連携
3 子どもの学力を高める提言10か条

監修者プロフィール

田中 博之
(たなか ひろゆき)
北九州市生まれ。大阪大学助手、大阪教育大学教授を経て、現在、早稲田大学大学院教授。教育工学および教育方法学が専門。フィンランド・メソッドを活用した指導法の開発、21世紀型学力の調査研究、活用型学習および児童英語教育の単元開発などをテーマとして、全国の小中学校の研究協力校と実践的な研究に取り組んでいる。
著書に、『総合的な学習で育てる実践スキル30』(明治図書、2000年単著)、『フィンランド・メソッドの学力革命』(明治図書、2008年単著)、『子どもの総合学力を育てる』(明治図書、2009年単著)など多数。
木原 俊行
(きはら としゆき)
広島県三原市生まれ。大阪大学助手、岡山大学助教授、大阪市立大学助教授を経て,大阪教育大学教授。授業改善・カリキュラム開発を通じた教師の成長に関する研究、および情報技術の利用等による授業改善の研究を専門としている。
著書に、『総合的学習の授業づくりを深める』(明治図書、1999年共著)、『新しい学びをひらく総合的な学習』(ミネルヴァ書房、2002年共編著)、『授業研究と教師の成長』(日本文教出版、2004年単著)、『教師が磨き合う学校研究』(ぎょうせい、2006年単著)、『情報教育マイスター入門』(ぎょうせい、2008年共編著)など多数。
大野 裕己
(おおの やすき)
福岡市生まれ。大阪教育大学講師、准教授を経て、兵庫教育大学大学院准教授。専門分野は、学校経営学および教育制度学。学校評価システムや学校のビジョン形成など、自律的学校づくりに関わる実践的研究を学校現場との協働で展開している。
著書に、『課題を克服するための総合的な学習成功のカギ』(ぎょうせい、2002年執筆分担)、『スクールマネジメント』(ミネルヴァ書房、2006年執筆分担)、『学校のための法学(第二版)』(ミネルヴァ書房、2008年執筆分担)など。
中間報告書(ウェブサイト上で詳細をご覧いただけます)
中間報告「学力向上のための基本調査2008」(2008年11月発刊)