2016/04/12

[第3回] 大学を卒業して実感できる大学での学びの意義 [6/7]

Ⅳ.大学在学時の教育と学習(3)

 最後に、大学時代に力を入れたことがらについて確認しておきたい。図4では留学などの回答率の低い項目を外して、正課内・外の7項目について示している。どちらの世代も正課内の教育・学習面にとどまらず、正課外の活動でも「興味・演習」を支持する層が「単位・講義」を支持する層よりも「力を入れた」という率が多い。正課外ではあまり差がみられないが、教育・学習面に関しては大学教育の経験に関する項目よりもその差は開いている。「とても力を入れた」+「まあ力を入れた」の合計比率は、「大学の授業」(23~34歳で16.6ポイント差、40~55歳で19.3ポイント差)、「ゼミ、研究室活動」(23~34歳で19.4ポイント差、40~55歳で21.8ポイント差)、「卒業論文や卒業研究」(23~34歳で18.4ポイント差、40~55歳で18.2ポイント差)となっている。また、これらの項目では「とても力を入れた」の比率が倍以上にもなっている。
 ここからみてとれるのは、「興味・演習」をよいとする層はすでに述べてきたような大学教育・指導の機会に恵まれているばかりでなく、ゼミや卒業論文を中心にして、自ら学習活動に力を入れる傾向にあったということである。この点もまた重要である。実際、「興味・演習」を選んだ層は「単位・講義」を選んだ層よりも、大学時代全体を通しての学びが充実していたという回答が多い。特に、ゼミの学習や卒業論文にとりかかる3~4年次の学びが充実しており、4年制大学卒業生のみに限定した場合、23~34歳では3年次の学びが「とても充実していた」という回答は「興味・演習」(28.1%)、「単位・講義」(13.3%)、4年次の同回答は「興味・演習」(29.9%)、「単位・講義」(16.7%)であり、40~55歳では3年次の学びが「とても充実していた」という回答は「興味・演習」(18.4%)、「単位・講義」(8.5%)、4年次の同回答は「興味・演習」(23.3%)、「単位・講義」(10.3%)と、いずれも2倍程度の差がついている。
図4 大学教育に対する考え別にみた大学で力を入れたことがら