2024/09/30

実践現場レポート① 散在地域での支援 山形こども日本語サポートネット/(公財)出羽庄内国際交流財団

外国にルーツをもつ子どもの指導・支援は、地域によって背景が異なることもあり、他の学校や団体、自治体の取り組みを知る機会が少ないという実態があります。多様な実態や取り組みをお知らせする意義は大きいと考え、実践の現場に伺ったり、指導者・支援者の方々にお話をお聞きしたりした機会をもとに、実践現場レポートとしてご紹介します。
散在地域(外国籍の住人が地域内に少数点在する地域)である山形県で、外国にルーツをもつ子どもの指導・支援に携わる2つの団体の実践について、伺ったお話からレポートします。
文部科学省の令和5年度の調査※1によると日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の在籍人数は、山形県全体で50名ほどですが、全体の結果と同様増加傾向にあり、前年度の1.7倍となっています。山形市を中心に県の東側で活動する、山形こども日本語サポートネット副代表・長藤節子さんと、県の西側に位置する鶴岡市の(公財)出羽庄内国際交流財団事務局次長・佐藤幸さんにお話を伺いました。
※1:文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和5年度)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/genjyou/1295897.htm

どのような支援を行っているか

山形こども日本語サポートネットは、民間の任意団体として、山形市、天童市、上山市、寒河江市などを対象に約25名のメンバーで活動しています。具体的には、教育委員会と連携し、日本語の指導・支援が必要な子どもたちに、学校へ出向き日本語教育の指導・支援を行っています。支援員は、教育委員会に人材として登録し派遣されており、約40名の児童・生徒を支援しています。また、団体では、山形市内で大学生がボランティアで実施する日本語・学習支援教室の運営のサポートも行っているとのことでした。
公益財団法人出羽庄内国際交流財団が運営する出羽庄内国際村では、外国にルーツをもつ子どもの支援だけでなく、国際交流や多文化共生に関わる事業を実施しています。子どもの支援としては、対象となる児童・生徒がやってくると教育委員会から団体に連絡があり、学校と共に打ち合わせをして支援について相談。教育委員会からの要請をうけて、支援員を学校に派遣、半年から1年ぐらい、担任の先生と相談をしながら、取り出しまたは在籍クラスで指導・支援を行っています。また、団体でも日本語教室を開催しており、子どもクラスには幼児から留学生の高校生を含む8名が通っているとのことでした。

どのような課題を感じているか

外国籍の住民がまとまって居住する「集住地域」に比べて、「散在地域」では、必要となる情報・知見の共有や人材、予算の確保がしづらいと言われます。2つの団体で異なる点もありますが、日本語指導をいつまでとするかを含め、日本語・教科の指導・支援のカリキュラムデザインの難しさ、対象となる子どもが増えた場合に現在と同じ対応ができるか、県全体で情報や知見を共有し対応できる拠点が必要ではないか、など他の散在地域にも共通する課題についても聞かせていただきました。貴重なお話をありがとうございました。