2024/11/01

実践現場レポート② 集住地域での支援 岐阜県可児市立蘇南中学校・国際教室

外国にルーツをもつ子どもの指導・支援は、地域によって背景が異なることもあり、他の学校や団体、自治体の取り組みを知る機会が少ないという実態があります。多様な実態や取り組みをお知らせする意義は大きいと考え、実践の現場に伺ったり、指導者・支援者の方々にお話をお聞きしたりした機会をもとに、実践現場レポートとしてご紹介します。
今回は、岐阜県の可児市立蘇南中学校 国際教室の訪問レポートです。

蘇南中学校の国際教室について

可児市立蘇南中学校は、生徒数が約1,000人、その約2割が外国籍の生徒であり、国際教室が設置されています。外国籍の住人が多く住む集住地域である可児市※1では、初期指導のためのばら教室KANI※2があります。日本の学校に初めて通う日本語指導が必要な児童・生徒は、ばら教室KANIにて、約4か月、初期指導を受け、基礎的な日本語や算数・数学、学校のきまりや箸の使い方などの文化について学んだ後、在籍する小学校・中学校に通います。
※1:可児市は、人口約9万9,800人(2024年7月1日現在、可児市統計)、製造業が盛んであることからフィリピンやブラジルなどの外国籍市民が多く在住。市の調査によると永住を希望する外国籍市民も増えている。
※2:ばら教室KANIについてhttps://www.city.kani.lg.jp/23216.htm
2024年度、蘇南中学校の国際教室で学ぶ生徒は、約80名。生徒数が1000人を超える同校の校舎は広く、国際教室も4教室、それぞれの教室に代わるがわる生徒がやってきます。時間割が壁に貼られていますが、国際学級で学ぶ全生徒の在籍クラスの時間割とその生徒が国際教室で学ぶ教科(国語、社会など生徒により異なる)とを考慮して組まれています。

見学した授業の様子

今回の訪問では、中学1年生、2年生、3年生の国語の授業と、日本語2の授業を見学しました。蘇南中学校では、日本語1,日本語2のクラスは、生徒の日本語の力にあわせて、学年を問わず1クラスとして授業を行っており、国語については学年ごとに授業をしているとのことでした。

(日本語2の授業の様子)
この日、日本語2の教室では、教室を半分に区切って、日本語2と数学の授業が行われていました。日本語2の授業では、読解のプリントで主語と述語の関係に取り組んでおり、10名ほどの生徒を、先生と母語支援員の方の2名で指導・支援を行っていました。1年生の国語の授業では、教科書の物語文の登場人物と流れを先生と一緒に確認しているところでした。2年生の国語では、先生や国際教室の他の生徒がつくった短歌にふれたあと、自分でも短歌を作ってみていました。スピーチに取り組む3年生の授業では、前の授業で録画した自分の練習の様子を確認、よいスピーチはどんなものか考えた後、修正点を定めてあらためてスピーチの練習を行っていました。どの学年も先生の支援のもとで、クラスメートとやりとりをしながら、活動に取り組んでいました。

(日本語2の教室の棚につまれた教材)
蘇南中学校の国際教室の担当教員は4名、他に日本語の非常勤講師と日本語スクールサポーターの方がそれぞれ1名いらっしゃるとのことでした。当日は、授業の後、先生方にお話を伺うことができました。お忙しい中、学校訪問を受け入れてくださりありがとうございました。