2003/06/23

英語can-doアンケート調査分析報告書(抜粋版) [2002年~2003年]

英語can-doアンケート調査分析報告書(抜粋版)

上智大学 吉田 研作
清泉女子大学 長沼 君主
調査協力:(株)ベネッセコーポレーション
英語コミュニケーション能力テスト編集部

調査目的、より

 本調査は、文部科学省より提案された「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」を受け、第1研究グループ(代表:上智大学・吉田研作)の英語教員を対象とした意識調査を活用して実施された。本調査は学習過程・成果の現れとして実際の生徒が、教室内あるいは教室外の様々な場面・状況下の言語活動において、どれほど『英語が使える』のかに関する調査を行うことで、文部科学省の「戦略構想」において検討課題とされたテーマに関連した研究資料として活用を主眼におくとともに、『英語が使える』ことの指標と英語コミュニケーション能力の評価を目的としたテストスコアの妥当性の検証を目的としている。

まとめ、より

 can-do項目は、学習者の英語活動に対する「自信」を反映していると考えられるが、学習者が教室におけるオーラル活動や教室外における英語活動で「できる」と感じていることが、教師や学校の英語教育に対する姿勢とかなりの程度の相関関係があることが分かった。また、国外においては、その自信は、国外の学校で必要とされる英語活動とも関係があることが分かった。しかし、その反面、教科書を中心とした活動と、教師の教え方の間には、国際社会における英語の役割、という理念以外に、実際の教育活動自体との相関は見られなかった。また、国外における学校外の社会的場面での英語活動は教師の理念、教え方のどちらとも相関を示さなかった。
 この他にも、今回の研究で明らかになったことに次のような点がある。
can-do調査の結果から。
● 生徒が授業内で行っている英語活動が授業外での英語活動の間に有意な関係がある。
● 授業外の英語活動は、授業での音読や辞書の積極的な利用とも相関を示している。

● 国内において、生徒が授業外でも英語を実際に使う機会があることが、国外での実際の英語使用にとって大切である。

教師の理念と教え方の結果から。

● 国際理解を高めるといった抽象的な態度や、基礎基本を重視したベーシックな英語よりも、生の英語に触れさせることを重視する態度がより学習指導要領に記されている英語教育の実践活動に結びついている。

● 文法訳読は、どの因子との相関も低く、特に、コミュニケーション活動に関する因子とは、相関が全くない。