学習障害(LD)や注意欠陥/多動性障害(ADHD)などの「発達障害」のある子どもに対する支援が法制化され、一般の小・中学校では、対応が進みつつあります。それに比べて高校では、対応が遅れているのが実情です。高校は義務教育ではありませんが、子どもの約98%が進学している国民的教育機関です。適切な対応が早急に望まれます。
学校教育法の改正で、従来の「特殊教育」は2007(平成19)年度から「特別支援教育」に改められました。その際、それまで特殊教育の対象外だった発達障害のある子どもに対して、特別な支援を行うことにしたのが、大きなポイントの一つです。発達障害のある子どもに対する特別支援教育は、幼稚園から高校まで、すべての学校に求められています。
ところが実際には、高校における対応は、あまり進んでいません。これに対して、文部科学省の「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議 高等学校ワーキング・グループ(WG)」は、対応が遅れていることを批判し、障害の特性に応じた指導方法の工夫や、支援員の配置、高校入試における配慮などを求めた
報告書をまとめました。
では、発達障害の生徒は、高校にどの程度いるのでしょうか。文科省の推計によると、発達障害のある子どもの割合は、小・中学校の全児童・生徒のうち約6%とされています。これに対して高校では、各種のデータを基に、生徒全体の約2.2%程度だと、同WGでは推計しています。内訳を見ると、全日制課程が1.8%、定時制課程14.1%、通信制課程が15.7%となっており、多くが定時制と通信制の高校に進学していることがうかがえます。
しかし、これはあくまで推計であり、実際のところはわかりません。というのも、
文科省の調査結果によると、小・中学校の96.0%が発達障害の子どもの実態を把握しているのに対して、高校は63.6%(公立71.0%、私立41.6%)にとどまっているうえに、把握内容もあまり正確ではない、と言われているのです。
高校での対応が遅れている背景には、「高校は義務教育ではない」という意識が、関係者に根強く残っていることがあります。高校入試を経て入学したからには、勉強についていけないのは本人の責任だ、というわけです。ですが、発達障害のある子どもの中には、適切な援助があれば、きちんと学習できる子どもも少なくありません。今や高校はほとんどの子どもたちが進学しているのですから、やはり、適切な対応が取られるべきでしょう。
このほか同WGは、高校で「特別支援学級」を設置することには慎重な姿勢を示しているものの、小・中学校と同様に、生徒が通常の学級に在籍しながら一部の教育を別室で受ける「通級指導」を、「将来の制度化を視野に入れ」たうえで実践をするよう提言している点が注目されます。
ただ、社会全体でも発達障害に対する理解は十分とは言えない面があり、対応に当たっては「本人や保護者の心情に十分配慮」する必要があると、同WGは指摘しています。