5年後、10年後、
子どもたちはどのような社会を生きるのでしょう。
「人工知能(AI)やロボットなど技術革新の影響で
今ある職業がなくなる」かもしれない…?
これからの子どもたちの多くは将来、
「今は存在していない職業に就くだろう」とも
いわれています。
こんなことを聞くと、ちょっと不安になりますね。
でも、どんな時代になっても
「幸せに生きてほしい」というのが
親として共通の願い。
お子さんと時代の変化を乗り切っていくために
どんな力をつければいいのか?
0歳から就学まで、おうちのかたが
今できることは何なのか、
専門家のかたがたにうかがいました。
幼児期のお子さんとの関わり方を
一緒に考えてみませんか?
今、社会はめまぐるしく変化しています。特に著しいのは、科学技術や人工知能(AI)の進化がもたらす、産業構造の加速度的な変化です。今の子どもたちが就職する頃には、AIやロボットに代替されて、なくなってしまう職業や、逆に今はない新たな職業の登場も予測されています。その頃に大人になるお子さまには、これまでにない新しい価値を生み出すなど、「機械にはできない」創造性を発揮する力が求められます。また、グローバル化も加速し、自分の考えを相手に明確に伝える力や、その基盤となるコミュニケーション力も不可欠となりそうです。
人工知能の進化とともに、デジタル教育に注目が集まっています。「子どものうちから、プログラミングを習わせたい」という声も多く聞きます。しかし、プログラミングや情報技術という分野は日進月歩で、今の常識や知識がたった数年で古くなってしまいます。
そのような中で大事なのは、知識そのものを覚えることよりも、アウトプット・インプットをし続ける姿勢、いわば新しいものへの知的好奇心です。
また、デジタル化が進むこれからの世界であっても大事になってくるのがコミュニケーション力。さまざまな人と関わって意見を聞き、自分の考えも伝えながら問題を解決していくような、人とともに生きていく力です。AIやデジタルツールを使って新しいことを生み出していくためには、こうした力が、今以上に大切になるでしょう。
私は、人の一生を対象にして脳の発達や加齢のメカニズムを研究しています。大量のMRI画像を用いて、何が脳の発達や加齢に影響するのかという分析を行っています。そんな最新研究から私が考える「賢い子」とは、自分からいろいろなことを知りたいと思える、「知的好奇心が旺盛な子」です。例えばテストで同じ点数だったとしても、仕方なく勉強している子と、勉強がおもしろくてやっている子とでは、その後の伸びがまったく違いますよね。知的好奇心は、学力の土台でもあるのです。
脳のしくみからいうと、脳のネットワークを張り巡らす時期は幼児期です。ですから、知的好奇心は、5歳くらいまでの幼児期に引き出すことがとても大切なのです。お子さんの熱中できるものを見つけて、そこから「なぜ?」を探究していくとよいでしょう。
DATA
「自分の時間が十分にとれない」と
感じる1・2歳児の母親は8割も!
「日々の生活に追われて時間がない」と感じていらっしゃるかたは多いと思います。データを見ても、1・2歳児の母親は自由な時間がとれていないようです。
「(子どもが)どんなことに対しても
自信をもって取り組める」と
感じている年長児の母親が6割以上
幼児期に「子どもの意欲を尊重して支える」子育てが、その後の子どものがんばる力(学びに向かう力)などの育ちにつながるという研究結果も出ています。また、それは親の就労の有無による違いの差は見られませんでした。子育てや仕事に忙しい中でも、コツをつかんで上手にお子さんをサポートすることもよい方法かもしれませんね。
※1「乳幼児の生活と育ちに関する調査2017-2018」(東京大学Cedep・ベネッセ教育総合研究所)
※2「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」(ベネッセ教育総合研究所)
子育てに時間を割けないことに罪悪感を感じているおうちのかたが増えているようです。しかしたくさん子どもに働きかけた方が、働きかけが少ないおうちのかたより親子関係が良好とは限らないので安心してください。例えば、お子さんが集中して遊んでいるときに、「こうした方がいい」「この遊びも楽しいよ」など、多くの横やりを入れられたお子さんはどうなるでしょう。せっかくの遊びが中断してしまったり、複数の課題をこなさなければいけなくなり、混乱してしまうかもしれません。
一方、ほどんど言葉かけはしないけど、子どものすることをそばで静かに見守ることが多い、というおうちのかたのケースを考えてみましょう。子どもが「見て!」などと反応を求めてきたときだけ「すごいね!」「すてきね」と関わった場合は、お子さんの遊びを邪魔することがないのです。
おうちのかたが子どもの近くにいて遊びを見守り、子どもが求めてきたときに反応を示す、といった「少し後ろから見守る」関わりで、子どもの探究遊びを保証することができます。
お子さんがじっくり遊び込むためには、遊びを邪魔しないことが大切ですが、勝手に遊ばせておけばよいということではありません。お子さんが関心をもったことに取り組みやすいように環境を整えたり、使いやすいようにおもちゃを準備したり。そうすることで、お子さんは集中して遊ぶことができるでしょう。
また、うまくいかず投げ出してしまいそうなときがあるはず。そのようなときは、手助けが必要です。おうちのかたにフォローしてもらうことで、最後まで取り組むことができるのです。
毎日1時間など、家事も仕事も放り出して、子どもの隣でべったり遊びを見守る必要はありません。子育ては、濃く関わった時間が大切。1日5分や10分でもよいので、子どもの気持ちに敏感に気づいて反応してあげることをおすすめします。
子どもの様子を見てうまく反応すれば、お子さんは喜び、おうちのかたへの愛着や信頼感がいっそう深まるでしょう。そうすると、子育てもより楽しくなります。限られた時間で構いませんから、お子さんとの遊びを一緒に楽しんでみてください。
DATA
「学習指導要領の改訂」は
なぜ必要なの?
約10年に1度、時代の変化に合わせて、学校の
教育内容の基準となる「学習指導要領」が
見直されています。2020年がその10年に1度
の年。4月から小学校の学びが変わります。
その背景とポイントをご紹介します。
時代背景
あと10〜20年で、49%の職業が
機械に取って代わられる
可能性がある
野村総合研究所・オックスフォード大学
マイケル A. オズボーン准教授の試算(2015)
約1/3の企業が
外国人留学生を採用している
ディスコキャリアサーチの「外国人留学生/高度外国人材の採用に
関する企業調査」(2017年11-12月)
変化の激しい時代を生きる
子どもたちが、社会で活躍できる力を
つけるための教育が必要
学習指導要領の改訂のポイント
年少児期から、小学1年生までの縦断データをもとに、前の学年の力が次の学年にどう影響しているのかを分析した調査で(※)、「生活習慣」が土台となり、好奇心やがんばる力などの「学びに向かう力」や「文字・数・思考」に影響していくということがわかりました。また、年長の時期にこれらの力が高く身についているいる子どもは、小学1年生になると、自ら進んで勉強する学習態度が高く身につく傾向がみられました。例えば食事が終わるまで席に座って待っているというような生活習慣が、遊びや学びの中でも、続けて取り組む力の土台になるのです。
お子さんの生活習慣の自立を支えながら、学力につながる力も育てていきたいですね。
※「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」 ベネッセ教育総合研究所
生活習慣を身につけるにはテクニックがあります。例えばトイレでの排泄を習慣づけたいときは、暗くて怖いトイレのイメージを払拭する遊びを行う、早寝の習慣をつけたいときは日中にしっかりと遊ばせるなどです。専門家や先輩ママなどのテクニックやアイディアを試すことも、生活習慣を楽しく、早く定着させることにつながります。
お子さんの知的好奇心を伸ばすために、お子さんの興味と発達に合った絵本やおもちゃを選びましょう。難しすぎるものを与えると、途中で「できない!」と諦めてしまう可能性も。お子さんに合った課題の中で、おうちのかたとのやりとりを通して、「なぜ、どうして?」と考えたり、自分の考えをもてるように、おうちのかたが上手にうながすといいでしょう。
文字や数・思考は、生活や遊びの中でお子さんが必要になったときに教えるのが一番定着しやすいものです。お菓子の数をかぞえて、楽しいおやつタイムにしたり、お手紙をもらったときにひらがなを覚えたり。お子さんがやりたいと思う遊びを通して、自分なりに工夫して取り組むことが「学びに向かう力」の育ちにつながっていきます。
イラスト/市川彰子,nao.sy
| サイトマップ | ベネッセ教育情報サイトとは | 利用規約 |
| お問い合せ | よくあるご質問(FAQ) | 著作権について |
個人情報に関するセキュリティ対策・
拡散防止等の取り組み進捗 : ベネッセお客様本部