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子どもが一生役に立つチカラを身につけるには?新しい時代にたくましく生き抜く力を育てるために

5年後、10年後、
子どもたちはどのような社会を生きるのでしょう。
「人工知能(AI)やロボットなど技術革新の影響で
今ある職業がなくなる」かもしれない…?
これからの子どもたちの多くは将来、
「今は存在していない職業に就くだろう」とも
いわれています。

こんなことを聞くと、ちょっと不安になりますね。
でも、どんな時代になっても
「幸せに生きてほしい」というのが
親として共通の願い。

お子さんと時代の変化を乗り切っていくために
どんな力をつければいいのか?
0歳から就学まで、おうちのかたが
今できることは何なのか、
専門家のかたがたにうかがいました。

幼児期のお子さんとの関わり方を
一緒に考えてみませんか?

子供の未来はどうなる?予測できない時代に「一生役立つ力」とは?
完璧ではなくほどほど子育てのすすめ
主体的・能動的に学ぶ子どもを育てるために今できること
子どもの未来はどうなる?予測できない時代に「一生役立つ力」とは?
21世紀の子どもにはどんな力が必要?
子どもたちが大人になる頃には、どんな社会になるのでしょうか?
未来はどうなるのか、どんな力を育てておけばいいのか、専門家に聞いてみました。
過去にはなかった仕事を作り出していく時代に
人工知能が進化して自動化されるとどんな社会になる?

今、社会はめまぐるしく変化しています。特に著しいのは、科学技術や人工知能(AI)の進化がもたらす、産業構造の加速度的な変化です。今の子どもたちが就職する頃には、AIやロボットに代替されて、なくなってしまう職業や、逆に今はない新たな職業の登場も予測されています。その頃に大人になるお子さまには、これまでにない新しい価値を生み出すなど、「機械にはできない」創造性を発揮する力が求められます。また、グローバル化も加速し、自分の考えを相手に明確に伝える力や、その基盤となるコミュニケーション力も不可欠となりそうです。

解説 黒木研史 くろきけんし ベネッセ教育総合研究所主任研究員。教育におけるICT活用の効果について外部機関との共同研究や、WEB教材用動画コンテンツの制作支援などを経て現職。現在は、教育行政動向等をはじめとする教育環境変化についての情報収集・分析、予測等を行う。
AI時代に必要なのは好奇心と伝える力

人工知能の進化とともに、デジタル教育に注目が集まっています。「子どものうちから、プログラミングを習わせたい」という声も多く聞きます。しかし、プログラミングや情報技術という分野は日進月歩で、今の常識や知識がたった数年で古くなってしまいます。
そのような中で大事なのは、知識そのものを覚えることよりも、アウトプット・インプットをし続ける姿勢、いわば新しいものへの知的好奇心です。
また、デジタル化が進むこれからの世界であっても大事になってくるのがコミュニケーション力。さまざまな人と関わって意見を聞き、自分の考えも伝えながら問題を解決していくような、人とともに生きていく力です。AIやデジタルツールを使って新しいことを生み出していくためには、こうした力が、今以上に大切になるでしょう。

聞く力、伝える力を伸ばすには? 週末に家族が集まる食事の時間などに、「今週あったこと」の報告会などを開いてコミュニケーションの機会をつくる

好奇心を引き出すには? 「おもしろそう!」と思わせる声かけやおうちのかたが楽しんでいる様子を見せる

五十嵐悠紀先生 明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科准教授。著書に「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい脳力55」(河出書房新社)、「スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子(ネット社会の子育て)」(ジアース教育新社)。
幼児期に育んだ知的好奇心が将来の土台に
幼児期には、どのような関わり方をするとお子さんが小学校以降も伸びていくのでしょうか。
脳科学の専門家、瀧靖之先生にうかがいました。
子どもの「好きなこと」に熱中する体験が将来の「自ら学ぶ力」につながります

私は、人の一生を対象にして脳の発達や加齢のメカニズムを研究しています。大量のMRI画像を用いて、何が脳の発達や加齢に影響するのかという分析を行っています。そんな最新研究から私が考える「賢い子」とは、自分からいろいろなことを知りたいと思える、「知的好奇心が旺盛な子」です。例えばテストで同じ点数だったとしても、仕方なく勉強している子と、勉強がおもしろくてやっている子とでは、その後の伸びがまったく違いますよね。知的好奇心は、学力の土台でもあるのです。
脳のしくみからいうと、脳のネットワークを張り巡らす時期は幼児期です。ですから、知的好奇心は、5歳くらいまでの幼児期に引き出すことがとても大切なのです。お子さんの熱中できるものを見つけて、そこから「なぜ?」を探究していくとよいでしょう。

子どもの知的好奇心を引き出すには?どんなことでもよいので、お子さんが好きなことに熱中できる環境を用意してあげることが大事

解説 黒木研史 くろきけんし ベネッセ教育総合研究所主任研究員。教育におけるICT活用の効果について外部機関との共同研究や、WEB教材用動画コンテンツの制作支援などを経て現職。現在は、教育行政動向等をはじめとする教育環境変化についての情報収集・分析、予測等を行う。

DATA

「自分の時間が十分にとれない」と
感じる1・2歳児の母親は8割も!

「日々の生活に追われて時間がない」と感じていらっしゃるかたは多いと思います。データを見ても、1・2歳児の母親は自由な時間がとれていないようです。

「(子どもが)どんなことに対しても
自信をもって取り組める」と
感じている年長児の母親が6割以上

幼児期に「子どもの意欲を尊重して支える」子育てが、その後の子どものがんばる力(学びに向かう力)などの育ちにつながるという研究結果も出ています。また、それは親の就労の有無による違いの差は見られませんでした。子育てや仕事に忙しい中でも、コツをつかんで上手にお子さんをサポートすることもよい方法かもしれませんね。

※1「乳幼児の生活と育ちに関する調査2017-2018」(東京大学Cedep・ベネッセ教育総合研究所)

※2「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」(ベネッセ教育総合研究所)

忙しくても大丈夫!完璧ではなくほどほど子育てのすすめ
行かないで
「少し後ろから見守る」子育てで子どもは伸びる!
お子さんのそばに寄り添い関わることがよい子育てというイメージがありますよね。
実は、そうとはいいきれないのです。
子どもにたくさん働きかけることが子どもを伸ばすとは限らない

子育てに時間を割けないことに罪悪感を感じているおうちのかたが増えているようです。しかしたくさん子どもに働きかけた方が、働きかけが少ないおうちのかたより親子関係が良好とは限らないので安心してください。例えば、お子さんが集中して遊んでいるときに、「こうした方がいい」「この遊びも楽しいよ」など、多くの横やりを入れられたお子さんはどうなるでしょう。せっかくの遊びが中断してしまったり、複数の課題をこなさなければいけなくなり、混乱してしまうかもしれません。
一方、ほどんど言葉かけはしないけど、子どものすることをそばで静かに見守ることが多い、というおうちのかたのケースを考えてみましょう。子どもが「見て!」などと反応を求めてきたときだけ「すごいね!」「すてきね」と関わった場合は、お子さんの遊びを邪魔することがないのです。
おうちのかたが子どもの近くにいて遊びを見守り、子どもが求めてきたときに反応を示す、といった「少し後ろから見守る」関わりで、子どもの探究遊びを保証することができます。

おうちのかたが働きかけすぎると、お子さんの研究遊びが減ってしまう。子どもの遊びを見守ると、お子さんが遊びに集中できる。

内田伸子先生 IPU・環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園女子大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授。学術博士。専門は発達心理学、認知心理学。NHK Eテレのコメンテーター、子どもの絵本や映像の監修などで活躍する。
子どもが困っているときはフォローが必要
お子さんが遊んでいるときに横やりを入れない方がいいものの、関わっていただきたいポイントもあるのです。
フォローしてもらうことで、最後まで取り組むことができる

お子さんがじっくり遊び込むためには、遊びを邪魔しないことが大切ですが、勝手に遊ばせておけばよいということではありません。お子さんが関心をもったことに取り組みやすいように環境を整えたり、使いやすいようにおもちゃを準備したり。そうすることで、お子さんは集中して遊ぶことができるでしょう。
また、うまくいかず投げ出してしまいそうなときがあるはず。そのようなときは、手助けが必要です。おうちのかたにフォローしてもらうことで、最後まで取り組むことができるのです。
毎日1時間など、家事も仕事も放り出して、子どもの隣でべったり遊びを見守る必要はありません。子育ては、濃く関わった時間が大切。1日5分や10分でもよいので、子どもの気持ちに敏感に気づいて反応してあげることをおすすめします。
子どもの様子を見てうまく反応すれば、お子さんは喜び、おうちのかたへの愛着や信頼感がいっそう深まるでしょう。そうすると、子育てもより楽しくなります。限られた時間で構いませんから、お子さんとの遊びを一緒に楽しんでみてください。

内田伸子先生 IPU・環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園女子大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授。学術博士。専門は発達心理学、認知心理学。NHK Eテレのコメンテーター、子どもの絵本や映像の監修などで活躍する。

DATA

「学習指導要領の改訂」は
なぜ必要なの?

約10年に1度、時代の変化に合わせて、学校の
教育内容の基準となる「学習指導要領」が
見直されています。2020年がその10年に1度
の年。4月から小学校の学びが変わります。
その背景とポイントをご紹介します。

時代背景

あと10〜20年で、49%の職業が
機械に取って代わられる
可能性がある

野村総合研究所・オックスフォード大学
マイケル A. オズボーン准教授の試算(2015)

約1/3の企業が
外国人留学生を採用している

ディスコキャリアサーチの「外国人留学生/高度外国人材の採用に
関する企業調査」(2017年11-12月)

変化の激しい時代を生きる
子どもたちが、社会で活躍できる力を
つけるための教育が必要

学習指導要領の改訂のポイント

何ができるようになるか
これまで重視されてきた知識だけでなく、それをどう使うか(思考力・判断力・表現力)、どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか(学びに向かう力・人間性)の育成を目指しています。
どのように学ぶか
講義形式の一斉授業だけではなく、グループワークやディスカッション、体験学習など、子どもたちの主体的・対話的で深い学びを促す授業も増えます。
何を学ぶか
小学校の3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で「英語」を学ぶことになります。また同じく小学校では「プログラミング教育」が必修となり、各教科の中で「プログラミング的思考」を養います。
主体的・能動的に学ぶ子どもを育てるために今できること
ほめる
幼児期はおうちで生活習慣をしっかり身につけましょう
ここからはお子さんの主体的・能動的に学ぶ姿勢を育むために、まず何をしたらいいか、今できることをご紹介します。
がんばる力も生活習慣が土台

年少児期から、小学1年生までの縦断データをもとに、前の学年の力が次の学年にどう影響しているのかを分析した調査で(※)、「生活習慣」が土台となり、好奇心やがんばる力などの「学びに向かう力」や「文字・数・思考」に影響していくということがわかりました。また、年長の時期にこれらの力が高く身についているいる子どもは、小学1年生になると、自ら進んで勉強する学習態度が高く身につく傾向がみられました。例えば食事が終わるまで席に座って待っているというような生活習慣が、遊びや学びの中でも、続けて取り組む力の土台になるのです。
お子さんの生活習慣の自立を支えながら、学力につながる力も育てていきたいですね。

※「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」 ベネッセ教育総合研究所

生活習慣
  • 夜、決まった時間に寝ることができる
  • 食事が終わるまで、席に座っていられる
  • 好き嫌いなく食事ができる
  • 脱いだ服を自分でたためる
  • ひとりでトイレでの排泄、後始末ができるなど

学びに向かう力
  • わからないことについて、「なぜ、どうして」など、まわりに質問ができる
  • 自分が何をしたいかを言える
  • 遊びなどで友だちと協力することができる
  • 物事をあきらめずに、挑戦することができるなど

文字・数・思考
  • かな文字を読める
  • 「1個、1本…」などの数え方ができる
  • 自分の言葉で順序を立てて、相手にわかるように話せる
  • 身のまわりにあるものの長さや大きさ、高さを直接並べて比べられるなど

年少児期に「生活習慣」をしっかり身につけると、年中児の「学びに向かう力」につながり、年長児の「文字・数・思考」の力を育てる!

生活習慣や学ぶ力を育てるために家庭でできること
幼児期の今、どのような関わりで、生活習慣の自立を促し、学びに向かう力や学力を育てるとよいのでしょうか。
生活習慣 コツをおさえて楽しく身につけて

生活習慣を身につけるにはテクニックがあります。例えばトイレでの排泄を習慣づけたいときは、暗くて怖いトイレのイメージを払拭する遊びを行う、早寝の習慣をつけたいときは日中にしっかりと遊ばせるなどです。専門家や先輩ママなどのテクニックやアイディアを試すことも、生活習慣を楽しく、早く定着させることにつながります。

学びに向かう力 お子さんに合った環境を用意して

お子さんの知的好奇心を伸ばすために、お子さんの興味と発達に合った絵本やおもちゃを選びましょう。難しすぎるものを与えると、途中で「できない!」と諦めてしまう可能性も。お子さんに合った課題の中で、おうちのかたとのやりとりを通して、「なぜ、どうして?」と考えたり、自分の考えをもてるように、おうちのかたが上手にうながすといいでしょう。

文字・数・思考 生活や遊びの中で文字や数に触れて

文字や数・思考は、生活や遊びの中でお子さんが必要になったときに教えるのが一番定着しやすいものです。お菓子の数をかぞえて、楽しいおやつタイムにしたり、お手紙をもらったときにひらがなを覚えたり。お子さんがやりたいと思う遊びを通して、自分なりに工夫して取り組むことが「学びに向かう力」の育ちにつながっていきます。

イラスト/市川彰子,nao.sy

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