2015/09/18

【調査レポートのご紹介】第2回 放課後の生活時間調査 報告書 [2013]

初等中等教育研究室 研究員 木村聡

子どもたちの1日のすごし方や、時間に関する意識はどうなっているのか

ベネッセ教育総合研究所 初等中等教育研究室では2013年11月に、日本全国の小学5年生から高校3年生までを対象にした生活時間調査を実施しました。この調査は第1回を2008年に行っており、子どもたちの時間の使い方や意識について5年間の変化をとらえることができます。
この調査では、様々な生活行動の1日あたりの平均時間、1週あたりの活動回数(日数)と活動時間、1年あたりの活動回数などを回答してもらう「アンケート調査」と、子どもたちの平日24時間の生活を15分単位で回答してもらう「24時間調査」の2種類で子どもたちの生活時間を把握しています。
このうち、「アンケート調査」については結果を「速報版」として、また「24時間調査」については「ダイジェスト版」としてまとめ、報告・公開しています。
そしてこの度、調査結果を元に分析した研究レポートを報告書としてまとめ、公開しました。
「報告書」では、この調査の設計・分析にご協力いただいた
●明石要一先生(千葉敬愛短期大学 学長)
●都筑学先生(中央大学 教授 文学部長)
●藤川大祐先生(千葉大学 教授)
●佐藤香(東京大学 教授)
●西島央(首都大学東京 准教授)
およびベネッセ教育総合研究所の研究員が、「アンケート調査」と「24時間調査」の結果から、子どもたちの生活時間を「学年」「性別」「居住地域」「意識」「親子関係」「スマホ利用」といった観点で、以下のような分析を行いました。
■長くなった「学校滞在時間」は、子どもたちのどんな行動時間を減らしたのか?
■男女の生活時間における「行動」や「空間」にどんな違いがあるのか?
■「忙しい」けれど「時間の使い方はむだではない」と感じているのはどんな子どもか?
■居住地域によって、子どもたちの生活時間にはどんな違いが見られるか?
■学校週五日制が定着した今、子どもたちはどんな土曜日のすごし方を望んでいるのか?
■母親の学歴や就業形態は、子どもの生活時間にどんな影響を与えているか?
■スマホの「ヘビーユーザー」と「ライトユーザー」にはどんな特徴が見られるか?

小学生の「学校の時間」と「遊びの時間」との関係は・・・

「報告書」から分析データを1つご紹介します。
以下のグラフは、小学生(5・6年生)の「学校滞在時間」の長さと「生活(身のまわりのこと、食事)」「遊び(学校外)」との関係を示しています。
小学生の生活の時間(全体平均時間・学校の時間の長さ別)
小学生では「学校滞在時間」が長いほど、 小学生の「生活」や「遊び」の時間が短くなっています。相関関係をみても、「学校」と「生活」「遊び」の間には逆相関の関係が見られました。
現在の学習指導要領の下で小学生の年間標準授業時数は増加しており、その影響か、学校滞在時間は2008年実施の第1回調査と比較して長くなっています。そうして「学校滞在時間」が長くなったことに対して、小学生は放課後の「生活」や「遊び」の時間を短くして対応していると考えられます。
この他にも「報告書」にはさまざまな分析を掲載しています。
ぜひご覧ください。