2014/10/10
シリーズ 未来の学校 第4回 | 石巻市雄勝町のムーブメント、地域住民と支援者がつくるホンモノの自然学校【前編】[4/6]
【前編】 廃校になった小学校を、世界中の子どもたちとの交流の場へ [4/6]
企業から出向するケースも
学校再生プロジェクトには、昨年の4月からこれまでにのべ2500人以上がボランティアとして関わってきた。また、ボランティア以外にも、企業が社会貢献事業としてこのプロジェクトを支援するために、sweet treatに社員を出向させている。製薬会社の復興支援室に勤める今村明子(いまむらあきこ)さんもそのひとり。今村さんは雄勝に来て約1年半、小学校の修復作業にも従事してきた。彼女に旧桑浜小学校の修復作業について聞いた。
「ここは教室だった場所です。黒板には学校が閉校する時に卒業生たちによってチョークで書かれた文字が残っていますが、これからもずっと保存していく予定です。修復作業は昨年の4月にスタートしたのですが、当時この教室の床下はすべて土砂で埋まっているような状態でした。また、校舎全体が傾いていたので、200箇所にジャッキを入れ傾きを直しました。全部壊して新しく建て直した方が安くて早いのですが、地域住民に愛されていた旧桑浜小学校のすがた形をできるだけ残しながら、修復にチャレンジしています」
多くの人が参加できるアイデアを
以前の校舎を残しながら修復している様子は、校舎内のあちらこちらに散見される。例えば、柱ひとつとっても、昔からあった柱と新しく継ぎ足した柱をひとつの柱として蘇らせている。これまでのべ2500人以上がボランティアとして関わり、「人の手」だけで修復を進めてきたという。建設重機を入れた方が修復は早く進むかもしれないが、sweet treatとしては、ここに多くの人に来てもらい関わってもらうことで、交流人口を増やす狙いもある。
今村さんは、sweet treat以外にも前出の漁師の佐藤一さんが代表を務める漁師の会社「株式会社雄勝そだての住人」でも働いている。
「自分が地域を元気にすることに少しでも関わらせてもらえるとしたら、何ができるのか。考えてみると、何かひとつのことだけやるよりも、教育、産業、交流などさまざまな分野の活動に参加して、限定するのではなく、あちこちに関わること、とにかく現場に関わることが第一歩だと感じています。今はすごく楽しいです」彼女は満面の笑みで話してくれた。