2015/12/22

[第4回] 少子化社会の課題 未婚化に焦点をあてて -若者の交際・結婚・子ども観を知る- [1/3]

 日本において、少子化の最大の要因は、「未婚化」と「夫婦の持つ子どもの数の低下」に分けられますが1)、第4回では、「未婚化」に焦点をあてます。前提として、日本は欧米諸国と異なり、婚外子の比率が低く、未婚化が少子化に直結します。そこで今回は、現代の若者の交際・結婚・子どもを持つことについての意識について取り上げたいと思います。まずは、データから見てみます。次に、大学生を対象に、ライフデザインの授業を実施されている白河桃子さんに、授業を通して感じる課題について講演をいただきました。最後に、現役の大学生男女に集まっていただき、交際・結婚・子どもを持つことについて、当事者の気持ちを語っていただきました。
1)松田茂樹「少子化総論:日本の少子化の実態と要因」より
(ベネッセ教育総合研究所 教育フォーカス 特集9.少子化社会と子育て)

1.少子化の課題と若者の意識・実態 (ベネッセ教育総合研究所 持田聖子)

 現代の若者の交際・結婚・子どもを持つことについての意識・実態をデータで見てみましょう。交際については、20代前半の男性の60.8%、女性の46.4%は交際相手がいません(図1)。結婚については、20代の未婚男女の約3割は、結婚を「無理してしなくても良い」「しなくて良い」と考えています(図2)。結婚を希望する年齢、実際に結婚をした年齢はともに上昇し、婚外子比率の極めて低い日本(2.1%, 2008年)では、女性の第1子出産時年齢も上昇し、2012年には30歳を超えています(図3)。
 ベネッセ教育総合研究所の調査「未妊レポート2013-子どもを持つことについて」では、25~29歳の未婚男性の55%、未婚女性の65%は、「ぜひ子どもが欲しい」「できれば子どもが欲しい」と回答しましたが、一方、男性の45%、女性の35%は、「子どもはいてもいなくてもよい」「子どもは欲しくない」「子どもを持つことについて考えていない」と回答しており、意識が二極化していました(図4)。子どもについての考えは、男性・女性とも4割以上が「経済的な負担が重くなる」と回答しました(表1 「あてはまる」と回答した割合)。特に女性は、「子どもを持つと自分の自由な時間が制限される」「仕事との両立が大変である」についても4割以上が「あてはまる」と回答しました。
 妊娠・出産についての正しい知識は、学生のうちに知っておくべきと考える若者が多くなっています(図5)。
図1.交際の実態
*2010年
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」(独身者調査)より作成
図2.結婚についての考え方
*2014年
(出典)内閣府「平成26年度結婚・家族形成に関する意識調査」より作成
図3.結婚希望年齢・結婚時年齢・女性の第1子出産時年齢推移
(出典)内閣府「平成26年度版 少子化社会対策白書」厚生労働省大臣官房統計情報部 人口動態統計 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」より作成
表1.子どもについての考え
*2013年
*13項目中、「あてはまる」と回答した%の上位6項目。
(出典)ベネッセ教育総合研究所「未妊レポート2013-子どもを持つことについて」
図4.子どもを持つことについて
*2013年
(出典)ベネッセ教育総合研究所「未妊レポート2013-子どもを持つことについて」
図5.妊娠・出産の医学的情報について知っておくべきと考える時期
*2014年
(出典)内閣府「平成26年度 結婚・家族形成に関する意識調査」より作成