2014/11/10

[第1回] 一人1台のタブレットを活用した家庭学習で、自ら学ぶ子どもを育てる [3/5]

「自主学習ノート」をクラス全員で共有

研究のより具体的な内容をお聞かせください。
 稲垣:最初に、現段階の仮説である学習モデルをご覧ください(図)。子ども自身が「a.計画」「b.遂行」「c.相互省察」の三つのプロセスを回して学習を進めていきます。このモデルは、教育学者のバリー・J.ジマーマンが提唱する「自己調整学習」の理論などを基に、先生方へのヒアリングを踏まえて作成しました。
 まず、子どもは、学校で自主学習の目標や学習方略を検討し、学習計画を立てます。家庭で学習する時には、「目標や計画の通りに進んでいるか」といった自己モニタリングをしながら進め、その後の振り返りに結び付きやすくしています。そして、再び学校ではクラス全体で交流する時間を設け、自己評価と同時に、互いに成果物を承認し合います。そうした学習の流れを管理しやすくするツールとして想定しているのがタブレット(今回はiPad)です。
タブレットをどのように活用しているのでしょうか。
 稲垣:この学習モデルに基づき、ある小学校では、一人1台のタブレットを配付して初期の研究実践をしています。この小学校では、以前から宿題として、子どもが自分で学習したいテーマを決めて家庭で取り組む「自己学習ノート」の取り組みを進めています。子どもは、学校で毎日、タブレットのカメラで自分の「自己学習ノート」を撮影し、取り組んだ内容、教科、学習法をアプリケーション上に記入し、「楽しかった」「むずかしかった」「もっとやりたい」「自信がついた」の各項目について5段階でチェックします。「自己学習ノート」の記録はクラス全員で共有できるようにしていて、週1回、帰りの会で行う交流の時間(15分間)に、自分のタブレットから友だちのノートを見ます。そして、「ふりかえり→計画シート」に、自己評価、特に友だちに見せたい日のノート、今後取り組みたい自主学習の内容を記入し、次の学習につなげています。「自己学習ノート」と「ふりかえり→計画シート」を共に蓄積し、自分の気づきや成長の軌跡をたどれるようにしたいと考えています。「ふりかえり→計画シート」はあえて紙にしました。ノートのように束ねて振り返りやすくするためです。デジタル一辺倒でなく、アナログがよければ活用することを心がけています。
図 学習モデル(仮説)