報告1「学校・自宅での情報端末利用と、性別・学校段階・成績との関連」
東京大学 特任准教授 大野志郎
東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。駿河台大学准教授を経て、2022年4月から現職。専門分野は、社会情報学、教育心理学。
成績上位層はデジタル機器を家庭学習に活用する頻度が高い
最初に私から、子どもたちのデジタル機器の利用状況についてのクロス集計結果を報告し、その後に3名の詳細な分析の報告とディスカッションを行います。
まず、メディアの利用時間についての結果をご紹介します。端末の種類を「パソコンやタブレット」「携帯電話やスマートフォン」「テレビゲームや携帯ゲーム機」の3つに分類し、性別・学校段階・成績別に集計を行いました。すると、成績下位層では、いずれの端末も「3時間以上」使用している割合がやや高いという結果でした(図1)。
次に、学校でのデジタル機器の活用について見てみると、活用時間は「学校で1日1時間以上」と回答した比率が、小学4年生〜6年生で13.3%、中学生で16.1%、高校生では22.8%でした。さらに、活用頻度は、すべての学校段階で「週2回以下」が半数を上回り、「家に持ち帰らない」割合は6割以上という結果でした。こうした学校で使う時間や持ち帰りの頻度には、成績による違いは大きくありません(図2)。
次に、学校でのデジタル機器の活用について見てみると、活用時間は「学校で1日1時間以上」と回答した比率が、小学4年生〜6年生で13.3%、中学生で16.1%、高校生では22.8%でした。さらに、活用頻度は、すべての学校段階で「週2回以下」が半数を上回り、「家に持ち帰らない」割合は6割以上という結果でした。こうした学校で使う時間や持ち帰りの頻度には、成績による違いは大きくありません(図2)。
続いて、家庭や子どもが個人所有するデジタル機器の用途について分析すると、成績上位層では「勉強のことをインターネットで調べる」「デジタル機器を宿題以外の勉強に使用する」などの割合が高いことがわかりました。また、「メールやSNS(LINE など)で友だちにわからないところを質問する」という使い方は、男子よりも女子のほうが多く、学校段階では高校生がよく行っていました(図3)。
一方、学校デジタル機器に限って用途を見てみると、学校では「インターネットで学習内容を調べる(調べ学習)」が最も高く、「動画を見て学ぶ」「発表用の資料をまとめる」「友だちと意見を共有する」がそれに続きました。家庭での用途でも、最も高いのは「インターネットで学習内容を調べる(調べ学習)」で、次は「計算や漢字などの問題を解く」といった利用が多く、「友だちと意見を共有する」といった使い方はあまりされていませんでした。
一方、学校デジタル機器に限って用途を見てみると、学校では「インターネットで学習内容を調べる(調べ学習)」が最も高く、「動画を見て学ぶ」「発表用の資料をまとめる」「友だちと意見を共有する」がそれに続きました。家庭での用途でも、最も高いのは「インターネットで学習内容を調べる(調べ学習)」で、次は「計算や漢字などの問題を解く」といった利用が多く、「友だちと意見を共有する」といった使い方はあまりされていませんでした。
このように、小・中学生は、GIGAスクール構想で1人1台端末が配備されたからといって、学校でずっとデジタル機器を用いて学習しているわけではありません。また、その活用の仕方を学校や教員が決めているためか、学校でのデジタル機器の用途に成績との大きな関連は見られませんでした。一方で、家庭や個人が所有するデジタル機器の用途については、成績による違いが見られました。
図1 メディアの利用時間
注)成績は、教科(小学4年生は4教科、小学5年生〜高校生は5教科)の成績について5段階で回答した合計点を均等に3分割した。図2と3も同様。
注)成績は、教科(小学4年生は4教科、小学5年生〜高校生は5教科)の成績について5段階で回答した合計点を均等に3分割した。図2と3も同様。
図2 学校デジタル機器の活用頻度
図3 デジタル機器の用途