第2部 ワークショップ・パネルディスカッション 保育記録の活用による子ども主体の保育の実践[1/3]
ワークショップ:保育記録の活用についての課題を考える
第2部には、保育記録の活用についてのワークショップが行われました。まず、参加した先生方に、保育記録の記録や活用における4つの課題(7)を提示し、自分の園での最も大きな課題を選択し、対応する色の画用紙に具体的に書いて頂きました。
7.保育記録の記録・活用における4の課題
その後、同じテーブルに着席した参加者同士(2~3人)でグループになり、15分間、課題の事例の共有とディスカッションをしてもらいました。
グループディスカッションの後、参加者に自園の課題を書いた色画用紙を掲げてもらいました。会場では、全ての色の画用紙が上がりました。
この結果を受けて、汐見稔幸先生が次のように話されました。
「私が若い頃はビデオカメラなどがなく、保育の検討を行う際は、一人の先生が保育を行い、その横でもう一人の先生がノートに保育の様子を書き込み、1日の保育を記録し、保育の振り返りを行っていました。現在では、ビデオカメラなどで簡単に保育の様子を撮影できるようになりましたが、記録のための記録で終わってしまっているケースもあるようです。『レッジョ・エミリア』では、保育記録は保育の一環であると言っています。保育記録は、保護者に見せるためのものではなく、自分たちの保育を振り返り、より良い保育に修正していくためのものです。今日は、保育記録を何のために行っているのか、その位置づけを再度議論してほしいと思います」(汐見先生)
その後、会場から保育記録に関する課題について、意見をいただきました。
「保育をしながら写真を撮影することは、難しい場合もあります。昔は、保育記録は監査のためのもので、今ほど重要視されていませんでした。その分、一緒に子どもと遊び込むことが大事だとされていたと思います。子どもと一緒に過ごすことと、子ども主体の遊びを記録することをどのようにバランスをとっていくべきでしょうか」
「既に園では、写真付き記録に取り組んでおり、保育者がすぐに写真を撮れるようにしています。写真付き記録を次の保育計画に生かす際、保育者ごとに考え方や子どもの遊びの見方も異なるので、園の中でどのように生かしていくかが課題です」
その後、大豆生田先生から、どのくらいの頻度で写真付き記録の作成を行っているか、会場の参加者に質問がありました。「1カ月に1度」程度が多いようでしたが、「毎日」「1週間に1度」にも手が挙がり、園によって頻度はさまざまであることがわかりました。