ニガテな数学にも興味がわく!中学数学おもしろ豆知識

中学生になり「数学」がニガテ科目に…という声は多いです。
「数学は将来の役に立つの?」と、なかなか身近に感じないことも原因かもしれませんね。
そこで、数学教育がご専門の芳沢光雄先生に、中学数学を身近に感じるとっておきの
数学トピックスをご紹介していただきました。

Topic1 知ってるだけで有利になる?「じゃんけん」の秘策! グー・チョキ・パーのイラスト

コインの表が出る確率は「2分の1」、サイコロの目の確率はどれも「6分の1」
では、じゃんけんのそれぞれの手は? もちろん確率は「3分の1」、と思うのですが…。
見方を変えるとこれが3分の1ではなくなるんです。
ここで登場するのが「統計」の学習です。

どうしてそうなるの?

実際に725人の人に、10~20回のじゃんけんをしてもらい、のべ11567回のじゃんけんデータを取りました。内わけは、グーが4054回、チョキが3664回、パーが3849回。

グー4054回、チョキ3664回、パー3849回のイラスト

結果から、グーがもっとも多くチョキが少ないとなります。そこから、パーが有利と言うことがわかります。
また、この調査で「続けてじゃんけんを行う」場合がのべ10833回あったうち、同じ手を続けて出した回数は2465回でした。すなわち、同じ手を続ける割合は3分の1よりも低い4分の1もない。そこであいこの場合、相手は出した手とは違う手を出してくる可能性が高いということです。
ここから、「2人でじゃんけんしてあいこになったら、自分が出した手が負ける手(1回目にグーを出したら、次はチョキ)を出すと有利」ということになります。

じゃんけんを有利にする秘策のイラスト

じゃんけんを有利にする秘策。試してみませんか?
ただし、あくまでも「有利」ということ。必ず勝つわけではありませんのであしからず。

Topic2 意外と世間は狭い?!「知り合い」を3人たどれば日本国民の過半数を超える 知り合い同士手をつなぐイラスト

転校先ではじめて知り合ったクラスメート、でもよくよく話を聞いてみたら共通の友人が。
「えっ、そのひと、わたしも知ってる!」・・・といった、
出会いの偶然に驚いたことがみなさんにもあると思います。
けれど実はこれ、そこまで偶然というわけでもないんです
計算を用いて、世間の狭さを実感してみましょう。

どうしてそうなるの?

まず、準備として次のような状況を図に表してみましょう。Aさんに3人の知り合いがいたと考えて、さらにその知り合いそれぞれに、また別の3人の知り合いがいたとします。

知り合いの知り合いのイラスト

そうすると、Aさんの「知り合いの知り合い」はEさん〜Mさんまでの全部で9人。これは3×3=9という式で表します。そこに、Aさんの「知り合い」もあわせると、式は3+3×3=12。
ひとりの人が子どものころから大人になるまでで面識を持つ「知り合い」の人数が、重複する人を除いて500人ほどとして図にあてはめると・・・

「知り合い」の「知り合い」の「知り合い」までで1億2500万人のイラスト

「知り合い」の「知り合い」の「知り合い」までで1億2500万人、ほぼ日本の人口と同じ人数に達するという計算になります。このことから、おおざっぱな計算ですが多くの人は「少なく見積もっても知り合いの知り合いの知り合いで国民の過半数を超える」ということは言えそうです。このように、概算を使って考えてみると、「偶然!」と思っていたこともいつもとは違った見かたをすることができます。

Topic3 海の向こうになにがある・・・?意外と○○な水平線までの距離 水平線のイラスト

海岸に立つと、遥か遠くに見える水平線。
邪魔するものがないぶん、随分と遠くまで見通せているように感じますよね。でも実際は・・・?
水平線までの距離、実はこれも数学の応用でわかってしまうんです

どうしてそうなるの?

地球はおよそ半径6400㎞の球体です。地球の中心を点Oとして、図のように水平線を見る人の視線の高さを点Aとすると、Aが見わたせる最も遠い場所が点Bになります。

地球の上に立つ少年のイラスト1

ここで使うのは中学校の数学でも扱う、有名なピタゴラスの定理(三平方の定理)。

AB²+BO²=AO²

というものです。この式に、以下の数字をあてはめると…

BO=6400㎞ AO=(6400+h)㎞ 視線の高さは仮に150cmとして h=0.0015㎞と考えましょう。 答えは、AB=√19.2≒4.4(㎞) 地球の上に立つ少年のイラスト2

約4.4㎞と考えると、時速20kmの自転車で15分かかりません。意外と水平線は近くにあったんですね。この要領で、「〇〇の展望台から、どこまで見わたせるか」も分かりますよ。

実は身近なことにも応用ができる数学。この考え方は、数学を勉強する上でも大切なようです。

「どうしてだろう?」という疑問が数学への入り口

数学とは1つ1つを数にまつわる決まりごとを使って、「なぜそうなるのか」ということを正しく説明できることをポイントとした学問です。ここまでにとりあげたお話のように、数学のアイディアを使えば、さまざまなことを導くことができます。「どうしてそうなるの?」そのことを、しっかり証明できるのが実は数学の魅力。
どうやって答えにたどり着くのかを考えることが、もっとも大切、かつもっとも面白いところなのです。中学生のお子さまをお持ちのご家庭は、今まさにお子さまがこの「数学のユニークなアイディア」を学んでいるところです。

時間を使ってゆっくり考えることが数学を好きになるポイント

数学を好きになるポイントは、時間をとってじっくり取り組むことです。わからないからと、すぐに答えを見るのではなく、「何か方法がないか」と時間をかけて考え、自分なりに試行錯誤することが理解の幅を広げます。考えた過程があれば、後で答えを知ったときに「なるほど、それならばさっき考えた方法も使える」などと、答えを導く別の方法を得ることもできます。1つの問題にじっくり考え取り組むことが、お子さまが数学の面白さを知るきっかけにつながっていくはずです

学習のワンポイント 数学に対して自信が持てるようポジティブな声かけを

数学はつまずくと不安心理につながり「どうせできない」と意識してしまう傾向があります。ニガテ意識をもつと、考える前に投げ出してしまうことも。「できる」と自信があれば、考える意欲が高まります。まずおうちのかたは「あなたは数学できるはずよ」と、ぜひ前向きに声かけをしてあげてください。

芳沢光雄先生

桜美林大学学長特別補佐。理学博士。算数・数学の面白さを訴え、考える力と理論力の重要性についての啓蒙活動に励んでいる。『ほんとうに使える数学 基礎編』『ほんとうに使える数学 レベルアップ編』『算数・数学が得意になる本』など著書多数。

数学の学習を好きになるには、正解を出すだけでなく、どうやって答えを導くのか、解答へのプロセスを学ぶことが大切のようです。

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