えり好みしなければ、どこかには入れる……。そんな「大学全入時代」が来ると言われて、久しくなりました。しかし、先頃発表された
学校基本調査の結果を見ると、どうやら、まだまだ先のことになりそうです。進学をめぐる状況は、いったいどうなっているのでしょうか。
事の発端は、もう10年以上も前
(1997<平成9>年)に出された文部省の大学審議会(いずれも当時)が答申の中で示した推計値にあります。大学・短大の志願率が上がっても、実際には18歳人口全体が減少するため、いつかは志願者数と入学者数が同じになってしまう。その時期を、2009(平成21)年度と予測しました。その後、志願率が伸び悩んだため、
2005(平成17)年2月の文部科学省・中央教育審議会の答申では、もっと早い2007(同19)年度に全入時代が来ると修正しました。
ところが実際には、当の2007(平成19)年度になっても、全入にはなりませんでした。そもそも志願率は大卒就職の動向に大きく左右されるのですが、「超氷河期」から「売り手市場」に一転した最近の好調な就職状況を反映して、4年制大学を中心に志願が急増したのです。具体的に見ると、2008(平成20)年度の入試で大学・短大を志願したのは、約74万4,000人でした。これに対して実際の入学者は約68万4,000人ですから、約6万人がどこにも入学できなかった、あるいは、しなかったということになります。
志願者に占める入学者の割合(収容率)は92%で、前年度より1.5ポイント増えました。この数値は、全入時代に向かって着実に進んでいるとも読めますし、100%になるにはまだ時間がかかるとも読めます。2005(平成17)年の予測が外れたことは昨年度、すでに明らかになっていたのですが、これで1997(同9)年の予測も外れることになりそうです。
ところで、2005(平成17)年予測の前提となった数字を見てみましょう。ここでは、2007(同19)年度の現役志願率を55.8%、志願者数を67万4,000人、全体の進学率を51.9%と仮定していました。それが、今年度はそれぞれ、60.1%、74万4,000人、55.3%となっています。つまり、いずれの数も、予測を上回っているのです。それだけではありません。志願者数の推計値より1万人も多い68万4,000人が、実際に入学できているのです。
ここで改めて、もう一つの数字に注目してみましょう。大学・短大の数です。短大は417校で、前年度に比べて17校減っているのですが、4年制大学のほうは逆に9校増えて765校となっています。両者を合わせると1,182校で、18歳人口が減少に転じた1993(平成5)年度の1,129校と比べても、進学先は増えていることになります。
大学は今後も年々新設が続きそうな気配ですから、今以上に入りやすくなることは確実です。だからこそ、進学先をどう選ぶか、そこで何を学びたいのかが、いっそう問われる時代になっていると言えそうです。