アンケート期間 2008/7/23〜2008/7/29 回答者数:374人
※百分比(%)は小数第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある。
就職は子どもの人生の一大事であり、保護者にとっても重大な関心事です。実際、今回の調査では、高校生以上の子どもを持つ保護者の80%が、就職や仕事に関して子どもと話をしていることがわかりました。
しかし、時代が変われば就職活動に対する考え方も変わります。昨今の就職活動に対する保護者の本音を掲載するとともに、就職活動の「今」と、親子のジェネレーションギャップについてご紹介します。
最初に、就職や仕事について親子で話し合うことがあるかどうかをお伺いしました。
【図1 就職についてお子さまと話し合うことはありますか?】
【図2 話し合いの内容は、次のどれですか? いくつでも選んでください】
将来の就職について親子で「よく話す」「ときどき話す」というご家庭は、全体の79.1%でした。話し合いの内容は、1位が「どんな仕事がしたいのか」で、「仕事の種類について」「仕事に就くために必要な学力について」が続きました。一方、「自分や知人の仕事について」「仕事の報酬・給料について」話すご家庭は、意外に少数でした。
また、資格試験に関しては親子の間で話題に上ることは少ないものの、今回の調査では保護者から「公務員試験の競争率は高いのか」「資格試験の予備校はどのように選ぶべきか」といった不安や疑問の声が多く寄せられました。保護者の資格試験についての関心は高いにもかかわらず、知識や情報を思うように得られないため、資格試験を家庭で話題にすることができないというのが現状なのかもしれません。
では、保護者は就職活動の「現在」をどの程度ご存じなのでしょうか?
【図3 就職活動に関する次の言葉をご存じですか?】
これらの言葉は、現在の就職活動に欠かせないと言っても過言ではないはず。ところが、「エントリーシート」は4割、能力適性テストを意味する「SPI」は7割もの保護者が「名前も内容も知らない」と答えました。「名前も内容もよく知っている」「名前も内容もまあ知っている」の合計が最も高かったのはグループディスカッションですが、それでも54.2%にすぎません。就職活動への関心は高い反面、子どもの世代との情報の溝がうかがえます。保護者のかつての体験が、そのままの形では参考にならないほど、現在の就職活動は大きく様変わりしています。子どもと就職活動について話し合い、具体的なアドバイスを行うには、保護者にも勉強が不可欠なようです。
就職活動を行う際には、スーツ代などのお金の問題も重要です。では、保護者は、就職活動にどのくらいお金がかかると見ているのでしょうか?
【図4 就職活動にどの程度お金がかかると思いますか?】
10万円との回答が最も多く、平均は15.6万円でした。しかし、この見通しは少し楽観的すぎるかもしれません。まず、就職活動のユニフォームとも言うべきスーツですが、ほぼ毎日着用することもあり、1着だけでは着崩してしまうこともあり得ます。やはり2着以上あったほうが安心です。加えて、シャツやブラウス、カバンなど、身の回りの品々に意外とお金がかかります。
さらに、地元を離れての就職を考えているのなら、就職活動中の宿泊費や、遠方での就職活動のための交通費を無視するわけにはいきません。就職活動は数カ月に及ぶため、ウイークリーマンションを借りる場合もあるようです。通年採用や秋採用など、近年は企業側の姿勢も一様ではなく、それによって就職活動期間の長さも変わってきます。大学1、2年生のうちから、就職活動の費用を作るためにアルバイトをする学生もいるほどです。子どもがどんな企業を志望し、どんな就職活動を行おうとしているのか、早い段階で話し合い、保護者としてできる現実的な支援について考えたいものです。
子どもが成長するに従って、保護者が子どもの行動に関与するシーンは確実に減ってきます。では、人生の大イベントの一つである就職において、保護者はどこまでかかわるべきなのでしょうか。就職活動では、「過保護」のラインはどのあたりに引かれるのかを聞きました。
【図5 次の事柄を保護者が行うのは「過保護」でしょうか? お気持ちに近いものを選んでください】
「企業そのものの情報」や「企業の就職情報」の収集への協力、「希望する企業や職種の知人を紹介する」は、「過保護」という意見が上回りましたが、その差はわずかでした。それに対して、明確に差が開いたのが「就職活動全般の相談に乗る」。87.8%の保護者が「過保護ではない」と回答しました。たしかに保護者は人生の先輩。子どもにとって頼れる相談相手であることは事実でしょう。悩んでいる時などは積極的に相談に乗ってあげたいものです。とは言え、最後に決断するのは子ども自身。我が子の自主性や判断を尊重しつつ、適切な距離でサポートしてあげたいですね。
最後に保護者に伺ったのは、ニートやフリーターの増加傾向や、就職しても早期に退職・転職する若者についてです。
【表1 昨今、フリーターやニートの増加を心配する報道が増えていますが、これについてどう思いますか?】
| <心配だ> |
「自分の将来の目的や方向性を固めることが解決への第一歩」 |
| 「雇用形態は何であれ、働こうとする意志が大切。それがないのは問題だと思う」 |
| 「子どもの自立を促さない親にも責任があるのではないか」 |
| 「いつまでも若いわけではないので、先のことも考えてほしい」 |
| 「仕事への責任から逃げようとしていると思う」 |
| 「働くことの楽しさをもっと知ってほしい」 |
| 「企業の雇用拡大に向けて政府が対策を講じるべきだ |
| <しかたがない> |
「世の中の動きなので、しょうがない」 |
| 「働くも働かないも、その人の選択次第だから」 |
【図6 最初の就職から3年以内の退職・転職についてどう思いますか?】
フリーターやニートの増加ついては、ほとんどの保護者が「心配である」と答えていました。フリーターやニートの増加の背景には目的意識や労働意欲の不足があるとする意見が多く、その原因を、親の過保護や甘やかしとする見方もありました。
一方で、「働きたくても職がない」「個人の力では解決できない」と若者の置かれた境遇そのものを問題視する声も。確かに、一口にフリーターやニートと言っても、個々人の状況はさまざま。本人のやる気や努力だけでは解決策が見えてこない場合もあるはずです。社会全体の問題として考えることも必要でしょう。
また、最近の若者の早期退職・転職に関しては、「やや違和感がある」「非常に違和感がある」と答えた保護者は67.3%に上りました。「就職の動機が中途半端なことの表れ」「早く辞めてしまっては職場での責任を果たせない」「安易な転職はフリーター増加の温床になる」などがその理由です。「石の上にも三年」ということわざを引用して、若者たちを戒める回答が非常に多く、保護者の「せめて3年辛抱すれば、仕事にも慣れ、うまくいくはず」との思いが伝わってくるようです。
一方で、「まったく違和感はない」「あまり違和感はない」も1割以上。回答では「終身雇用の時代ではない」「展望を持っての転職ならかまわない」「相性があるのでやむをえない」という意見が多数でした。
多くの保護者の考えが「就職に対して目標や展望を持っていてほしい」という点で一致することがわかりますね。
調査結果から伝わってきたのは、子どもの就職活動にはできるだけ協力したいという保護者としての当然の気持ちでした。しかし、最後に決めるのは子ども自身。子どもの意見を尊重しつつ、社会人の先輩として的確なアドバイスをするために、保護者も昨今の就職活動についての情報や知識を集めていくことが今の時代はとても重要になってきているようです。
子どもの就職に対する支援は、就職活動に限定されるものではありません。たとえば、小・中学生であれば、博物館の実験教室や企業の見学ツアーに一緒に出かけたり、高校生であれば、子どもが興味を持っている分野に詳しい知人を紹介したりして、子どもの興味・関心を広げ、職業意識を高める働きかけをしてみることも大切な支援の一つです。「就職」についても、子どもの成長段階に応じた働きかけを日々考えていきたいものですね。