文部科学省の中央教育審議会「学校健康・安全部会」はこのほど、学校における子どもたちの安全確保、健康の維持・増進の取り組み方針などを示した
審議経過報告をまとめました。内容は、災害、学校事故、犯罪、心身の健康、食育など多岐にわたっていますが、子どもを守るために各学校が基本計画をまとめ、必要な体制を組むことを法律で義務づけるよう求めています。また、子どもの安全や健康を守るには家庭や地域との連携が不可欠であるとして、学校と家庭、地域の連携強化を打ち出しているのが特徴です。
同部会は審議経過報告の中で、学校は子どもたちが安心して学習し、生活できる場でなければならないと強調しています。このため、文科省による指針にすぎなかった「学校環境衛生の基準」「学校給食実施基準」などを法令へ格上げして、すべての学校に衛生環境や給食の水準の確保を義務づけるほか、災害や事故、犯罪などに対する学校安全計画の策定、学校施設・設備や通学路の定期的な安全点検を行うよう、学校保健法を改正することを提言しています。
具体的な対策としては、大学における教員養成でアトピーやアレルギー、感染症、メンタルヘルス、食育といった、子どもたちの健康にかかわる知識や指導方法を習得する機会を設けるほか、養護教諭については1校に複数を配置したり、退職した人も活用したりすることなどを求めています。また、学校給食の関係では、食材をとおして地域の文化、自然、産業などに対する理解、郷土への愛着などを深めることができるように、地場産物を積極的に活用するよう学校給食法を改正することも盛り込まれています。
通学路を含めて現在の学校は、事故や犯罪などかつては考えられなかったようなさまざまな事態に対応することが求められています。さらに、子どもの安全や健康だけでなく、地震などの災害時には地域住民の避難場所としても学校の果たす機能は大きいものです。しかし、これらの対策は学校の教員だけでは不可能です。また、事件・事故が発生した当時は積極的に対策を取っても、時間の経過とともに緩みが生じやすいのが実情でしょう。
審議経過報告では、子どもたちの健康・安全は家庭や地域との協力関係を基礎として形成されなければならない、と強調。これを具体化するために、各市町村に保護者、地域住民、関係者らで構成する「学校地域保健連携推進協議会(仮称)」「地域食育推進委員会(仮称)」を設置するほか、学校ごとに「地域学校安全委員会(仮称)」を設置することを提案しています。
子どもたちの健康と安全を守ることは、行政や学校教員だけでなく保護者や地域の大人たち全員の責任であるということでしょう。