5~6歳児の特徴
社会性の発達を支える、認知の発達
5歳になると、遊びに大きな変化が見られます。子ども同士のいざこざを自分たちで解決できるようになります。
たとえば3人の子どもが一つの遊具で遊ぶとき、Aちゃん、Bちゃん、Cちゃんと順番に使えば公平なことを理解し、いざこざが起こる前にルールを決めて遊べるようになるのです。このように、5歳以上の子どもがルールを作ったり守ったりする背景には、認知の発達があります。ABCABCABCという系列の規則性を理解し、一人3回ずつとか、全部で何回といった数の概念が理解できれば、平等の概念も次第に理解できるようになるのです。
幼児期の社会性は、周囲の人々と付き合う経験から身につきますが、社会性の発達の基礎として、認知の発達は重要です。論理・数量・図形などを学ぶとき、ビデオ・DVDなどの教育的な視聴覚映像は、抽象的な概念を理解する助けになります。三角形の形の性質、仲間わけによる集合概念などの数学的、図形的な概念は、日常の環境からはなかなか見出しにくいもの。しかしそれを簡明にわかりやすく象徴的に表現できるのが、教育的に配慮された視聴覚映像の強みです。おうちの方と一緒にそうした映像を見て、その意味について話し合うことができれば、幼児の思考を深める機会になるでしょう。
物語理解と感情の分化
5歳半を過ぎた頃から、物語の理解において著しい発達が見られます。過去にさかのぼった話や、劇中劇のように入れ子構造になった複雑な物語も理解できるようになるのです。テレビ番組の好みが広がり、アニメ番組ならハイエイジもの(7歳~12歳向け)を喜んで見るようになります。この背景には、相手の感情を理解したり、その感情に言葉を与えたりする力が飛躍的に伸びることがあります。喜怒を中心にした単純な感情表現から、微妙で陰影に富んだ感情表現へと分化し、社会で通用する感情表現の語彙やその理解が子どもに定着してくるのが、およそ5歳半から6歳の頃と見られています。
複雑な物語がわかり、感情の分化が大人に近づくことは、互いに補いあいながら、大人の話をかなり正確に理解できる子どもへと発達を促します。ですから5歳以上の子どもに与える視聴覚映像は、多少内容が複雑であっても、骨格のしっかりした物語展開のもので、大人の鑑賞にもたえる上質な映像・音声のものを選ぶほうが望ましいのです。
自然科学へのいざない
高いレベルの言語を理解し始める5歳以上の子どもに最も与えたいのは、自然科学への興味を豊かにし、科学的思考へといざなう教材です。宇宙や地球の姿、生物の成長や進化など、自然科学のイメージを本というメディアだけで理解させるのは至難のわざです。これこそ映像・音声の恩恵を受け入れ、活用すべき分野でしょう。昆虫の生態などを記録した映像は、実際の自然観察へと子どもをいざないます。おうちの方がたとえ虫嫌いだったとしても、ビデオ・DVDなどのメディアが、そうしたものへの知的好奇心を育んでくれるのです。
ファンタジーの物語に浸る時間と、自然科学的な観察に親しむ時間とのバランスがうまくとれていることが、この時期の子どもとって望ましいことであり、就学後の多様な教科への興味につながっていきます。ビデオ・DVDなどの視聴覚教材を選ぶ際にも、それらのバランスに配慮し、さまざまな映像を親子で楽しむことが、メディアを用いた子育てで大切だと言えましょう。