3~4歳児の特徴
「ものわかり」がよくなる3歳
おもちゃの安全基準は3歳以前・以降で異なります。3歳になると小さな部品をなめたり、飲み込みにくくなるので、細かく分解可能なおもちゃも、(大人の監督のもとで)与えられるようになります。はさみなどの道具も、世界的に3歳以降に与える規準があります。
3歳児は言葉で教えることが可能になる年齢なのです。このように、言葉で指示を聞いて従えるようになる3歳児は、「話せばわかりそうな」存在です。しかし、彼らに対して言語的説明を豊富にした教材をどんどん与えてよいかというと、そう単純ではありません。
3歳児は「非言語的理解」と「言語的理解」の境界にいます。自然の実写映像や、それをわかりやすく加工した映像は、特に3歳児にふさわしいもの。感覚的に知っていることを、ていねいな言葉で説明された映像・音声こそ、子どもたちに必要な刺激です。戯画化したアニメやCGばかりの視聴にかたよるのは望ましくありません。
またこの時期の子どもは、視聴した内容を記憶し、同じものを身の回りで発見したときに、「あの消防車、ビデオ・DVDで見たね」などと話します。映像で理解したことを実際の生活で確認することはとても大切。大人が対話の内容を広げることで、子どもの言語と思考はさらに深まります。
「自分の社会」や、「自分の考え」を組み立てる4歳
4歳になると、家族や友達とのやりとりを通じて人の考えや気持ちへの関心を深めるようになります。日常生活の中で、人の見方が自分と違うことに気づき始め、家族や友達との関係について自分なりに解釈するようになるのです。同様に、関心をもった事象について、自分の考えを述べようとする態度もできてきます。たとえば物の形について、「細長い」「へびみたい」「ひらべったい」「おせんべいみたい」と複数の表現ができるようになるため、言い間違えたり、その子独特の珍妙な解釈をすることも。だからこそ、この時期の子どもの認知発達途上の間違い反応は落語のように面白く、対話相手として魅力的です。
好奇心旺盛な4歳児とともにテレビ・ビデオ・DVDの映像を見るのは興味深いことです。自然や人間の社会、動物の暮らし、人の気持ちの多様性や変化、物語世界の豊かさを表現した本物の映像を身近な大人と共に視聴し、それについて大人と話し合うことは、「自分の考え」を組み立てようとする4歳児にとって貴重な経験です。映像教材と子ども、それを支える大人とが三角形を作ったときに初めて、教材は教育の力を持ちます。知識を増やしつつある時期だからこそ、映像を視聴するときに、大人が子どもに寄り添うことが大切なのです。