2014/10/24

シリーズ 未来の学校 第4回 | 石巻市雄勝町のムーブメント、地域住民と支援者がつくるホンモノの自然学校【後編】[5/6]

【後編】 雄勝の自然学校の先生は、地元の人々 [5/6]

交流人口拡大への期待

 行政は「雄勝学校再生プロジェクト」について、どのように評価しているのだろうか。石巻市雄勝総合支所の千葉茂(ちばしげる)支所長に話を聞いた。

─ 学校再生プロジェクトの印象をお聞かせください

 「プロジェクトで再生している旧桑浜小学校のスレート屋根の建物は、震災でも倒壊しませんでした。明治時代、初めてスレートをつくったのが雄勝であり、現在日本で産出しているのは雄勝だけです。その象徴として、旧桑浜小学校のスレートはとても重要です。スレートを保存しながら活用する考えは、行政としては歓迎しています」

─ プロジェクトの課題は何でしょうか

 「現在、小学校は修復の途中ですが、どのように使っていくかはこれからです。sweet treatは地元の人たちを巻き込みながらやっているので、それがうまくいくといいなあと思っています。また、震災以降、町に残っているのは漁師や硯産業、お年寄りの方々が中心で、人材が不足しています。特にsweet teatの立花さんや油井さんのような立場の人がいません。新しい価値観を持ち込み、マネジメントをできる人材が増えてくることを期待しています」

─ 今後、雄勝町にはどのようになってほしいですか

 「外から来る人と地域の人がうまくいってほしいですね。特に子どもたちにいい思い出が残れば、将来も雄勝の交流人口の増加に繋がるはずです。
 高齢化も進み、今のままでは町が消滅してしまう恐れがあります。最近、我々がこれまで当たり前だと思っていた自然資源が、とても価値があることに気づいてきました。そういう資源をみなさんに知っていただき、少しでも人口が戻ることに繋がってほしいですね。

─ ジャーナリスト 林 信行の視点 ─

 旧桑浜小学校は、雄勝町の人々をつなぐ軸であり、忘れがちな自然と世界中の現代人をつなげる軸でもある。外の人にこの学校を知ってもらい、地元との関わりのはじめの一歩を踏み出してもらうために、廃校を活用した地域再生のためクラウド・ファンディングという新しい手法を使っている点も、「未来の学校」らしいところだ。