2014/10/24
シリーズ 未来の学校 第4回 | 石巻市雄勝町のムーブメント、地域住民と支援者がつくるホンモノの自然学校【後編】[2/6]
【後編】 雄勝の自然学校の先生は、地元の人々 [2/6]
雄勝は環境学習の絶好のエリア
徳水さんは、前編でも伝えた「雄勝学校再生プロジェクト」を運営する、地元住民が中心となって結成した「ぬくもり実行協議会」のメンバーのひとりでもある。もともと雄勝町で教員をしていた彼は、「学校再生プロジェクト」では環境教育を担っている。「ぬくもり実行協議会」について次のように語った。
「ぬくもり実行協議会とは、地域住民とsweet treat 311(以下、sweet treat)が一緒に旧桑浜小学校を再生させようと組織した実行委員会です。学校再生プロジェクトの方向性は、あくまでも実行協議会が決めます。そのなかで私の役割は、『環境自然学校』というコンセプトのもと、具体的には、外部アドバイザーとして旧桑浜小学校と雄勝湾の周辺でできる体験学習の体験プログラムの作成協力と指導方法を助言することです」
徳水さんは妻の出身地である雄勝町に移り住んでみて、雄勝町の生態系が持つ「環境教育の教材的価値」を発見した。教師としても20年以上前から雄勝町で環境教育を実践してきた。著書「森・川・海と人をつなぐ環境教育」(2004年明治図書刊)等で、町内の学校で行ってきた環境教育の実践を外部に発信してきた。徳水さんによると、雄勝はわずか4キロの範囲のなかに、川の源流から河口までコンパクトにおさまっているとても珍しい場所だそうだ。
「地元の人は、この自然環境の希少価値に意外と気づいていません」と、徳水さん。
「地元の人は、この自然環境の希少価値に意外と気づいていません」と、徳水さん。
雄勝石を地域の象徴に
「sweet treatの立花さんや油井さんも外部から来た人たちですが、雄勝の地域資源の新しい価値、その「事業的価値」を発見した人たちです。ここにある地域資源、具体的には豊かな自然や海の食材、雄勝石などです。なかでも、雄勝石を雄勝のブランド商品にしようというアイデアは地域にとって新鮮でした。震災復興のための大切なブランド商品になるという考え方は、地域復興に携わっている住民を励ましてくれました」(徳水氏)
雄勝石は今から2、3億年前の古生代に雄勝湾に溜まった泥が固まってできた粘板岩で、スレートともよばれる。雄勝は天然スレートが獲れる日本で唯一の場所なのだ。実は、東京駅舎の屋根には、この雄勝スレートが使われ、雄勝学校再生プロジェクトの拠点、桑浜小学校の屋根にも敷かれている。学校再生プロジェクトでは、「雄勝スレート屋根のオーナー」になることもできる。雄勝石は、今や地域ブランドとして雄勝を象徴する存在になっている。