2016/02/18

[第5回] 変わりゆく乳幼児の家族の実態とは? [1/3]

 第5回は、少子化が進行し、家族を取り巻く環境がさまざまに変化する中で、乳幼児を持つ家族の生活や意識はどのように変わっているのかに焦点をあてます。今の父親・母親の状況と今後の課題について、小﨑恭弘先生、大日向雅美先生に解説していただきます。

■ 今回の課題のまとめ ■

① 労働環境の変化により、今後は父親も育児に主体的にかかわることが重要。
② 母親・父親・祖父母といった家族それぞれが二極化しており、閉塞状況にある。
③ 父親の子育てへの支援や、地域での子育て支援の充実が求められている。

1.乳幼児の家族を取り巻く環境の変化(ベネッセ教育総合研究所 高岡純子)

 ベネッセ教育総合研究所では、2005年から、3回に渡り、首都圏の就学前の子どもを持つ父親を対象にした「乳幼児の父親についての調査」を実施しました。調査結果等から見えてきた、乳幼児家庭の変化として次の4点があげられます。
  1. 共働き家庭が増加するにつれて、保育園児が増加している。
  2. "イクメン"という言葉が広がり、乳幼児の父親の育児・家事への意欲は増加している(図1)。一方、実際の育児・家事へのかかわりはあまり増加していない(図2)。
  3. 晩婚・晩産化により、親となる人の年齢幅が広がり、生活スタイルや価値観が多様化している。
  4. 父親の平日の帰宅時間はこの9年間で変わっていない(図3)。父親の帰宅時間の背景には、柔軟な働き方を認める職場風土が関連している(図4)。
図1.家事や育児に、今以上にかかわりたいと思いますか
(出典)ベネッセ教育総合研究所「第3回乳幼児の父親についての調査」(2014年)
図2.現在、父親が関わっている家事・育児
*「ほとんど毎日する」+「週に3~5回する」の%。「*」は「いつもする」+「ときどきする」の%。
(出典)ベネッセ教育総合研究所「第3回乳幼児の父親についての調査」(2014年)
図3.父親の仕事からの帰宅時間
*現在の職業で「無職」「その他」と回答した人は除外。
(出典)ベネッセ教育総合研究所「第3回乳幼児の父親についての調査」(2014年)
図4.ワークライフバランスについての父親の職場環境
*現在の職業で「内職・在宅ワーク」「無職」「その他」と回答した人は除外。
そのうち、大卒以上の父親について、帰宅時間が20時間台以前と、21時間台以降の2群に分けて分析。
*「とてもあてはまる」+「まああてはまる」の%。
(出典)ベネッセ教育総合研究所「第3回乳幼児の父親についての調査」(2014年)