質疑応答・議論
本報告では、アンケートサイトを開設して、報告中に会場から質問や意見を入力してもらいました。また、それらを基にした質疑応答のあとに、会場から自由に質問や意見を述べてもらい、活発な議論が行われました。
質問:高校時代の学習経験と大学の入試形態に関連性が見られないという点について、どのようにお考えですか。
木村:高校時代のALの経験の多さと入学者選抜の関連を見てみましたが、両者には明確な関連性は見られませんでした(図15)。総合型選抜を受験しようと考えるならば、高校時代に探究的な学びを多く経験してもよいのではないかと思いますが、入試では必ずしもそこが問われていないのだと感じさせる結果でした。
川嶋:高大接続改革は、高校教育・入学者選抜・大学教育の三位一体改革でしたが、入学者選抜の改革は頓挫しました。しかし、高校ではAL型授業にシフトした今、大学はそれに対応していくことが課題となります。高校では観点別学習状況の評価が本格化します。学校推薦型選抜や総合型選抜では、観点別学習状況の評価に対応できると思います。一般選抜では探究活動をどう評価していくかは大きな課題です。
木村:高校時代のALの経験の多さと入学者選抜の関連を見てみましたが、両者には明確な関連性は見られませんでした(図15)。総合型選抜を受験しようと考えるならば、高校時代に探究的な学びを多く経験してもよいのではないかと思いますが、入試では必ずしもそこが問われていないのだと感じさせる結果でした。
川嶋:高大接続改革は、高校教育・入学者選抜・大学教育の三位一体改革でしたが、入学者選抜の改革は頓挫しました。しかし、高校ではAL型授業にシフトした今、大学はそれに対応していくことが課題となります。高校では観点別学習状況の評価が本格化します。学校推薦型選抜や総合型選抜では、観点別学習状況の評価に対応できると思います。一般選抜では探究活動をどう評価していくかは大きな課題です。
図15 高校時代の学びの経験と大学の入試形態の関係
質問:「生徒」タイプが「学生」タイプに変わるためには、どのような支援が必要だとお考えですか。
杉谷:第3回調査(2016年調査)の結果では、「知的に喚起される授業」「内省がある授業」「社会との関連性を実感する授業」「大学の特色ある授業」を受けた大学生に、「学生」タイプが多く見られました。また、大学が学生に対して、「面倒見がよい」「子ども扱いをする」よりも、「突き放す」「大学らしい授業をする」方が、「学生」タイプになれるのではないかと結論づけました。それらが参考になるのではないかと考えています。
杉谷:第3回調査(2016年調査)の結果では、「知的に喚起される授業」「内省がある授業」「社会との関連性を実感する授業」「大学の特色ある授業」を受けた大学生に、「学生」タイプが多く見られました。また、大学が学生に対して、「面倒見がよい」「子ども扱いをする」よりも、「突き放す」「大学らしい授業をする」方が、「学生」タイプになれるのではないかと結論づけました。それらが参考になるのではないかと考えています。
質問:コロナ禍における大学外での人間関係、また学びとの関連について調査していたらお聞かせください。
谷田川:大学内と同様に、大学外の友人が「いない」「1人」が増加していました。コロナ禍では、全体的に人間関係が縮小したと言えます。大学外の人間関係が担保されていれば、社会に向けての学びの姿勢につながると考えられますが、そうではありませんでした。大学内外の人間関係が遮断された影響は、注意深く見ていく必要があり、大学内でできる支援は積極的に講じていくべきだと思っています。
谷田川:大学内と同様に、大学外の友人が「いない」「1人」が増加していました。コロナ禍では、全体的に人間関係が縮小したと言えます。大学外の人間関係が担保されていれば、社会に向けての学びの姿勢につながると考えられますが、そうではありませんでした。大学内外の人間関係が遮断された影響は、注意深く見ていく必要があり、大学内でできる支援は積極的に講じていくべきだと思っています。
質問:対面授業と遠隔授業のベストバランスは7:3ということでしたが、それは1つの科目内での割合なのか、履修科目全体でのバランスなのか、どちらでしょうか。
山田:質問項目は、「対面授業とオンライン授業は、どれくらいの割合で行われるのがよいと思いますか」としたので、学生は履修科目全体での割合を想定して回答していると捉えています。
質問:オンラインが3割というのは、学生にとって、15回の授業のうち数回は大学に行きたくないという感覚ではないかと思ったのですが、その点はいかがでしょうか。
山田:学生の履修状況を見ると、対面授業の科目を特定の曜日にまとめ、通学しなくてよい日を設けようとしている傾向があります。授業日によって、対面か遠隔かが変わると調整が大変となるため、履修科目全体でのバランスと捉えています。ただ、本調査ではそこまでは質問していないため、あくまでも推測となります。
山田:質問項目は、「対面授業とオンライン授業は、どれくらいの割合で行われるのがよいと思いますか」としたので、学生は履修科目全体での割合を想定して回答していると捉えています。
質問:オンラインが3割というのは、学生にとって、15回の授業のうち数回は大学に行きたくないという感覚ではないかと思ったのですが、その点はいかがでしょうか。
山田:学生の履修状況を見ると、対面授業の科目を特定の曜日にまとめ、通学しなくてよい日を設けようとしている傾向があります。授業日によって、対面か遠隔かが変わると調整が大変となるため、履修科目全体でのバランスと捉えています。ただ、本調査ではそこまでは質問していないため、あくまでも推測となります。
質問:学生生活について教員から指導・支援を求めるというのが意外でした。実際のところはどうなのでしょうか。
杉谷:大学生が教員に求める指導・支援の具体的な内容は、本調査ではわかりませんが、生活指導を求める学生群では、大学の支援サービスを利用している割合が高く、また、経済的な理由で中退を考える、心理相談に行く、授業の課題を提出できず不安を抱えているといった大学生が多くいました。その結果から推測すると、「指導」というより、大学に「サポート」を求めているのではないでしょうか。全体的には、生活指導派の学生は割合が少ないため、コロナ禍の影響によるものか、世代的な気質の問題なのかは、今後も継続的に調査をしなければその要因はわかりません。ただ、単に受動的で他者に依存しているとは断定せずに、大学生の学びを支援する方法を見直す機会として捉えたいと思います。
杉谷:大学生が教員に求める指導・支援の具体的な内容は、本調査ではわかりませんが、生活指導を求める学生群では、大学の支援サービスを利用している割合が高く、また、経済的な理由で中退を考える、心理相談に行く、授業の課題を提出できず不安を抱えているといった大学生が多くいました。その結果から推測すると、「指導」というより、大学に「サポート」を求めているのではないでしょうか。全体的には、生活指導派の学生は割合が少ないため、コロナ禍の影響によるものか、世代的な気質の問題なのかは、今後も継続的に調査をしなければその要因はわかりません。ただ、単に受動的で他者に依存しているとは断定せずに、大学生の学びを支援する方法を見直す機会として捉えたいと思います。
上記以外にも、会場からは質問が活発に出され、参加者との双方向のやり取りがありました。
最後に、山田教授から、「今回は大規模調査であり、個々の学生の顔までは見えにくいですが、大学生に対するコロナ禍の影響は引き続き注意深く見ていく必要があります。今回の経験を今後の大学教育に生かしていくことが重要でしょう」と締めくくりの言葉があり、ラウンドテーブルは閉会しました。
最後に、山田教授から、「今回は大規模調査であり、個々の学生の顔までは見えにくいですが、大学生に対するコロナ禍の影響は引き続き注意深く見ていく必要があります。今回の経験を今後の大学教育に生かしていくことが重要でしょう」と締めくくりの言葉があり、ラウンドテーブルは閉会しました。