【特集17】学生の学びと成長のプロセスを可視化する <武蔵野大学×ベネッセ 共同研究>

1.研究の目的

 武蔵野大学グローバルコミュニケーション学科は、2018年度入学生より「全員留学」プログラムをスタートさせました。このプログラムでは、2年次前期の3月から8月の約5か月間、全米で最大の留学生受け入れ機関であるELS(English Language Schools)へ10名程度の小グループに分かれ留学、全員がホームステイを体験します。また現地でのプログラムは、英語力という言語スキルだけでなく、異文化環境での学びを通じて表現能力、忍耐力、適応能力など人間の成長に結びつく能力を身につけることを目的としています。そこで武蔵野大学とベネッセ教育総合研究所は、学生がそれらの能力をいつ、どのような「きっかけ」で向上させたのか、成長とそのプロセスを可視化し、人間としての成長全体を分析することを目指し、共同研究を立ち上げました。
 留学中の生活における学びや成長実態を具体的に記述できれば、それは留学プログラムの改善につながり、また、個人の成長とはどのようなプロセスに基づくのかについての理解を深めることにつながります。本研究では、量的研究と質的研究の両方の研究方法を用いながら、グローバルコミュニケーション学科全体の傾向だけではなく、留学後の学生の変化を追跡、個別の事例分析も進めていく予定です。

2.研究体制 ◎は研究代表者

<武蔵野大学>
◎古家 聡 グローバルコミュニケーション学科 学科長・教授
 石黒 武人 グローバルコミュニケーション学科・准教授
 小塚 高志 グローバルコミュニケーション学科・講師
 成毛 祐二郎  学務課・課長
 松本 淳 学務課 全員留学担当
 寺門 明日香 国際課 全員留学担当
<ベネッセ教育総合研究所>
◎谷山 和成 所長
 佐藤昭宏 高等教育研究室 主任研究員
 渡部春香 高等教育研究室 研究員

3.概要とプロセス

 武蔵野大学グローバルコミュニケーション学科が実施する「全員留学」に参加した2年生(2019年度)124名が、留学やその前後に用意された教育プログラムを通じて、英語運用能力だけでなくどのように人間的成長を遂げているかを複数の量的・質的データ(※1)から把握するとともに、今後の教育プログラム改善のポイントを明らかにする目的でインタビュー調査を実施しました。
※1 分析に利用した質的・量的データ
 対象者は、上記の質的・量的データの中の「留学当初の目的や計画に対する達成度」や「留学生活の充実度」、「英語力の伸び」について特徴的な態度変容が見られた学生を計8名抽出。英語運用能力や人間的成長の要因や転機を探索しました。その結果から、「全員留学」を通じた複線的な英語運用能力の向上や人間的成長とそれらに影響を与えている「転機」や「出来事」を分析、「全員留学」プログラムの質をどのように高めていくかを考察します。

4.途中経過・活動報告

2019年6月1日
共同研究開始
2019年7月~10月
質的・量的データの分析
※GTEC(英語4技能運用能力)スコア、異文化コミュニケーションAレポート、GPSスコア(問題解決に必要な3つの思考力)、留学振り返りアンケート、リフレクションシートの分析
2020年1月
質的・量的データの分析から特徴的な態度変容のみられた学生8名に対するインタビュー調査
2020年2月
「全員留学」に関わる教職員でプログラムの成果と今後のさらなる改善に向けた座談会を実施

5.研究成果

(1) 研究レポート(2020年5月)
「全員留学」に関わる武蔵野大学教職員と分析結果に基づき行った「全員留学」プログラムの成果と今後のさらなる改善に向けた座談会の研究レポートを作成しました。
大学教育研究フォーラム

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