2015/06/03
シンポジウム開催報告[4/4]
シンポジウム開催報告 【第二部】ディスカッション
フリーディスカッション
社会情動的スキルを伸ばすためには何が大切か
パネリストからは、「乳幼児期の他者との身体的接触は社会情動的な側面の成長と深くかかわっており、今はそれが減っているのではないか。親子で泥んこになって外遊びをするなどの光景はほとんど見られないが、何かそうした部分の支援をしていけないか」「ともすると育児中の母親はゴールが見えにくく、見えやすい方向、たとえば認知的スキルの向上などへ逃げてしまいがち、その際に社会に出ている父親の役割が大きくなるのでは」などの意見が交わされました。
会場との質疑応答
年齢に関係なく育てられる?
Q:中学校教師です。中学生でも社会情動的スキルが身に付いていない学生もいますが、その時期はもうスキルを育てることはできないのでしょうか。
A:(宮本)思春期は、第1部のオリバー・ジョーン氏の投影資料でもこうしたスキルの発達が急落下していく時期ではあります。ですが、近年経済学者が出したデータでは、幼児期以降も社会情動的スキルが十分伸びるというデータも出ています。また、アメリカでの縦断調査では、むしろその時期の方が伸びやすいという結果もあります。ですが、長い期間をかけて育成(投資)をすることで効果が持続することを考えると、やはり幼児期からの育成が大切ということは変わりません。
パネリストプロフィール
●コーディネーター●
秋田喜代美 東京大学大学院教育学研究科教授。日本保育学会会長。専門は保育学、発達心理学、教育心理学、教師心理学。著書に『続 保育のみらい:園コンピテンスを高める』(ひかりのくに)など。内閣府子ども・子育て会議委員。
●パネリスト●
無藤隆 白梅学園大学子ども学部教授、同大学院子ども学研究科長。内閣府子ども・子育て会議座長、文部科学省中央教育審議会委員などを歴任。専門は発達心理学、教育心理学。著書に『認定こども園の時代』(ひかりのくに)など。
大豆生田啓友 玉川大学教育学部教授。専門は、幼児教育学・保育学・子育て支援。編著書に『子ども主体の協同的な学びが生まれる保育』(学研)、『子どもを「人間としてみる」ということ』(ミネルヴァ書房)など。
高岡純子 ベネッセ教育総合研究所 次世代育成研究室室長。乳幼児領域を中心に子ども、保護者、教師を対象とした意識や実態の調査研究などを担当。千代田区子ども・子育て会議委員、経団連女性の活躍推進委員会子育て支援部会委員など。