2015/11/06
英語教育研究・調査 2015年夏の学会発表
グローバル教育研究室 研究員
福本 優美子
福本 優美子
グローバル教育研究室では、中高の英語教育について、質(インタビュー調査)と量(大規模調査)、学習(生徒)と指導(教員)といったさまざまな角度から調査・研究を続けています。質で得られたものを量で確かめたり、量で捉えたものをより深く知るために再び質に戻ったり、あるいは生徒の意識や実態として捉えたものを先生に対するインタビューや調査で確かめたりと、調査・研究を積み重ね相互に関連させることによって、中高の英語教育についてより深い理解を目指しています。今年(2015年)は、それらの中から、「中高生の英語学習に関する実態調査2014」と「中高の英語の先生に対する聞き取り調査」について、調査・研究の成果を夏の学会で発表しました。
「中高生の英語学習に関する実態調査2014」については、①学年ごとの学習実態と、②学習実態と英語力の関係性という2つの観点から分析しそれぞれ発表*1しました。本調査から、中高生が将来、英語を使うイメージをあまり持っていないことが分かっていますが、その原因として、日常的に英語を使う環境ではないということ以外に、学校や家庭での学びの中でも英語を「使う」機会が少ないということが浮かび上がってきました。そこで、学会発表では、中高生は実際、どのような指導を受け、学習をしているのかということを掘り下げました。英語力が高い(自己評価)と回答している生徒ほど、学校の英語の授業において自分の気持ちや考えを英語で「書く」「話す」という活動を行っている割合が高いことなどが見えてきました。
また、「中高の英語の先生に対する聞き取り調査」については、英語で授業を行っている先生が大切にしていることを、TAE(Thinking at the edge)という理論構築法で分析し、その結果出てきた代表的なキーワードについて発表*2しました。英語で授業を行っている先生方は、大切にしている共通のことがあることが浮かび上がってきました。
いずれも、今後の中高の英語教育について考える材料になると考えますので、是非、ご一読ください。現在、これらの調査・研究を経て、中高の英語の先生を対象とした調査の分析もしており、近日公開予定です。多くの調査研究から得られた知見を、よりよい英語教育の実現の検討材料とするために、今後も積極的に研究成果を発表していきたいと考えています。