2014/08/06
Shift│第3回 夢の病院で始まる、「IT」と「デザイン」から生まれた教育の新しいカタチ 【後編】「メディカル・デザイン」から見える、教育へのヒント [4/7]
ファッションと医療の運命的な出合い
於保氏は、チャイルド・ケモ・ハウスのアートディレクターとして、「はじまりのプロダクト」の授業以外に、施設内のデザインにも関わっている。美しく快適なこの施設のそこかしこに、遊びと学びの要素が散見できるのは、そのおかげでもある。
ドアを開けたその向こう側は、しばらくの間この施設で過ごす子どもたちが属する社会でもある。どんな子どもでも自分の居場所を見つけられるように、ソファに腰掛けて本の世界に没頭できる読書スペースがあれば、大人の監視から離れて息抜きができるちょっとした隠れ家の雰囲気を持つ一角もある。
そうしたスペースの合間には、子どもたちが遊びながら社会性を身につけられるデザイン的な工夫がこらされている。ここでいうデザインというのは単なる色やカタチのことだけではない。人間が快適に、文化的に過ごすことができるための計画や設計のことだ。
彼女にとって「デザイン」の原体験は「赤い羽根共同募金」だと語る。
「子どもの頃、募金そのものに興味があったわけではないが、先輩が胸に赤い羽根を付けているのを見てかっこいいと思い、自らも募金した」という。「赤い羽根共同募金」のような仕組みやきっかけをつくることもデザインの重要な仕事だ。
「子どもの頃、募金そのものに興味があったわけではないが、先輩が胸に赤い羽根を付けているのを見てかっこいいと思い、自らも募金した」という。「赤い羽根共同募金」のような仕組みやきっかけをつくることもデザインの重要な仕事だ。
於保氏はチャイルド・ケモ・ハウスとの出合いを通して、こうしたデザインが医療の分野でも求められていることを知る。その出合いは2010年に開かれた「がん患者・家族支援イベントの中で行われたファッションショー」だったという。このイベントの主催者から、当時彼女が教えていた専門学校の生徒に参加して欲しい、と頼まれたことがきっかけだ。
この運命的な「ファッションショー」に、チャイルド・ケモ・ハウスも参加団体のひとつとして関わっていた。
於保氏は、この施設の話を聞くうちに「もっと関わりたい」と思い、アプローチを試みる。結果、チャイルド・ケモ・ハウス側も於保氏の人柄とやる気を見込んで仕事を依頼するようになった。
於保氏は、この施設の話を聞くうちに「もっと関わりたい」と思い、アプローチを試みる。結果、チャイルド・ケモ・ハウス側も於保氏の人柄とやる気を見込んで仕事を依頼するようになった。